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#読書

今野 元 (著)ドイツ・ナショナリズム-「普遍」対「固有」の二千年史 書評

トイトブルクの戦いからメルケル引退まで網羅しているにもかかわらず、もう、学習指導要領的ドイツ史観を見事に洗い直してしまって、最新の筆者の知見を紹介しているという、密度が高い本です。

そもそも従来の歴史用語(地名から党名まで)、全部みなおしてる。

エステルライヒ、シュヴァルツ、ベートホーフェンなんて序の口。

フランス革命なんて完全に相対化。

ローマ帝国(断じて「神聖」を頭につけない)は、ドイ

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スイスの宗教的エッセイスト、「幸福論」のヒルティとフォーカシング

スイスの宗教的エッセイスト、「幸福論」のヒルティとフォーカシング

最近自分でもやっとはっきり気がついてきたのは、

「ひとつの対象にずっとのめりこむ」とエネルギーが容易に枯渇する、

という、当たり前のことです。

「仕事の対象を分散させ、一度にでなく、少しずつ、代わる代わるにやるのがいい」

これは、スイスの宗教家、カール・ヒルティが幸福論(第1部)「幸福論」第一巻の

「仕事の上手な仕方」という、「幸福論」の中でも、ドイツ語の教科書として使われるくらいに有名

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エリオット S.ヴァレンスタイン著「 精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構」

エリオット S.ヴァレンスタイン著「 精神疾患は脳の病気か?―向精神薬の科学と虚構」

この著作は、少なくとも精神科で使われる薬の処方について最低限の入門的知識とそれに関わるとされる神経伝達物質仮説についてのこれまた入門的知識(統合失調症、躁うつ病、うつ病、不安神経症だけでいい)を持っている人にとっては、非常に興味深く、かつ実に読みやすい本だと思う。

それこそ、最初の統合失調症薬がクロルプロマジンやハロペリドールであり、躁うつ病の最初の薬がリーマス(炭酸リチウム)であることを知って

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