読書人間📚『キッチン・ブルー』遠藤彩見

『キッチン・ブルー』遠藤彩見


2015年発行、著者初の単行本。

5つの短編
▶︎ 食えない女
▶︎ さじかげん
▶︎ 味気ない人生
▶︎ 七味さん
▶︎ キャバクラの台所
▶︎ ままごと

私には珍しいタイプの装画を選びました。
正にブルー、青色は爽やかな食卓をイメージさせ、食にまつわる豊かな物語を想像させます。
バタークッキー、スープ、カキ氷、ビール、ムニエル、小籠包、ステーキ、ロブスター、サンドウィッチ. . .
お腹が空いていたのでしょうか。食い意地が先行したチョイスです。


と、ところがドッコイ。裏切り系です。
ブルーって、蒼白の青。なるほど〜。
先に言ってしまいます。どれも面白かったです。
食に関するお話ですが、切り口が新しく、ひねられた装画も良いですね。


▶︎ 食えない女
世の中には人前で食べる事を我慢する、せざるを得ない人が居ます。ですが、"どんなに好きな人といても、人はお腹が空いてれば幸せにはなれない" 。ひもじさは心を豊かにできません。私はお腹を減らすデートは御免なさいです(＞＜)


▶︎ さじかげん
人が羨む程、上手なお料理の腕前を持っていても他人にはわからない、見えないその家庭の事情がありますね。○○ハラなんて言葉、独身の私には想像つきませんでした。


▶︎ 七味さん
食べてる姿はその人の素が見えますね。本能ですから。若い時分、私も男性の前で食べるのが恥ずかしい時代がありました。が、いつから恥じらいが無くなったのでしょうね。


▶︎ ままごと
"本当の主役は自分で名乗りを上げない"、このSNS時代、世界は主役だらけです。
それはそうと、私の大好きなチョコレートもそうですが、マイルドドラッグなる料理はたまに食べるから元気になるのです。毎日食べていたら体も心も壊します。注意しなくちゃ。


読みやすく、どのお話もゾッとも、ヒヤッとも青ざめる、わたし好みの怖いものばかりで、旨味たっぷり美味しく頂く事ができました。
料理好きではない方にも面白く読んで頂けると思います。
脚本家でもある遠藤さんの、他の作品も読んでみたいです。


まんぷく満腹、大満足です。



装画　かとまり
装幀　新潮社装幀室

単行本と文庫本で装画デザインが違う様です。私のは文庫本です。単行本はリアルですね。

キッチン・ブルー (新潮文庫)

#料理  #脚本家 #遠藤彩見　

🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン／東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。