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#わたしの野菜づくり

むかしオーストラリアで暮らしてた青年の、
野菜づくりに携わり、毎日野菜を摂って暮らした記憶。
遠い昔の青春。

常夏のファームタウンにある、キャラバンハウスに住むことにした。
バナナやマンゴーの生産がさかんな所で、そこいらのファームで働いて生活費を稼ぐことができた。

キャラバンの同居人とよく出かけては、寝る間も惜しんで自然探索をした。

同居人『ガンジャマン』はヒップホップDJをやっていて、独特なオーラを放つ人物だった。
彼は暇があれば常にキャラバン内を装飾している。
我々の住処はいつも心地よい音楽と甘い香りが流れていた。

僕たちはファームタウンで暮らしているだけあって、美味しい野菜に目がなかった。
『ガンジャマン』と僕は、とあるヒッピータウンのジュース屋の店主が、新鮮な野菜を仕入れているという情報を手にした。
安く、高品質な野菜は多く持っているに越したことはない。
野菜好きはキャラバンに沢山住んでおり、分け与える相手にも事欠かない。

1時間車を飛ばせば『店主』の住む町に着く。
野菜を確認しに来た旨を伝えると、『店主』は家の奥へ連れて行ってくれた。
瓶詰めのそれを見せてもらった。
芳醇な香りを持つ種無しの上物であった。
1オンス90ドルでディールできた。
車を飛ばしてきた甲斐があった。
これで、今しばらくビタミン補給には事欠かない。
僕と『ガンジャマン』は固い握手を交わした。

続く

#わたしの野菜づくり

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