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【選書】僕を作った15冊の本たち

 どーも、筑前助広です。
 今回は、2023年1月13日に開催された馳月基也先生との特別対談&サイン会「時代小説のすゝめ」に際して展示された、僕が強く影響を受けた15冊の本を特別にnoteで公開いたします。
 どれもおすすめなので、気になったものは是非お手に取ってください。

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※イベントの様子を載せています。

◆ 宣伝

 本題に入る前に宣伝です。
 現在、僕はカクヨムコン8に2作品を出しています。どちらも面白い時代小説なので、読んでいただけますと嬉しいです。感想や拡散、ご評価も歓迎です。プロの作品が無料で読めるチャンスですぞ!

・独狼~念真流無間控

・その女の名は、ルージュ~公儀特務機関 逸撰隊捜査File~

◆選書コーナーは僕の夢だった!

 今回、イベントに際して「選書をしたい!」という提案をしました。
 というのも、僕は小説家である前に読書家であり、しかも「自分が面白いと思った作品を広めたい!」と思う、どちらかというとアクティブな読書家でした。なので、自分の選書コーナーを作るというのはある種の夢でした。
 それを叶えてくださった文喫福岡天神様には感謝感謝です。

<前提として……>

 まず前提として、今回の選書では以下の制約がありました。
・絶版ではないこと(会場となる文喫福岡天神で販売するので)
・センシティブなものではないこと(これは自主規制的な観点)
 ですので、本来なら真っ先に入るような「ムジナ」や「カムイ外伝」更には「血だるま剣法/おのれらに告ぐ」を選ぶことができませんでした。残念。

 以上の条件より、僕が選んだ15冊を紹介します。特別に却下されたものも載せますね!

◆ 筑前助広を創り上げた、15冊の本たち

1:夢をかなえる原動力は何か?

バッタを倒しにアフリカへ/前野ウルド浩太郎

 夢を叶える為の最大の原動力は、「好き」という気持ちです。何かを「好き」になることの素晴らしさや、夢を追うことの厳しさ、そして楽しさを気付かせてくれた一冊です。笑いあり涙あり人情ありの、これは人間賛歌!超おすすめ!

2-3:自分の行動意欲を奮い立てるもの

僕は猟師になった/千松信也
けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然/千松信也

「自分が食べる肉は自分で調達したい」という一心から猟師になった、著者のパッションと知識、行動力に本当に脱帽。こういう志を持って頑張っている人の本を読むと、僕は「うっし!頑張ろ!」ってなります。また、獣害や日本の里山、自然の在り方について考えるきっかけとなりました。

4:未知ほど恐ろしいものはない

ヤノマミ/国分拓

 剥き出しの生と、未知への恐怖。この世には自分の知らないことが多く、そして理解が及ばないものに出会った時、人間は恐怖するのだと痛感しました。善悪の規範に絶対性はありません。そして自分の当たり前は、決して当たり前ではありません。本書はそれを、読む者に鋭く突きつけてきます。作家として人間として、殻を一つ破ってくれた一冊だと思います。

5:三十六計逃げるに如かず

にげてさがして/ヨシタケシンスケ

 元々これは、妻が娘に贈った絵本でした。人間関係、或いは様々なことにしんどくなった時に、僕はこれを読みます。世の中嫌なことばかりですね。好きなことをして生きたいけど、そうはいかない。でも、しんどい。そんな時は自分を一番に考え、しんどい事から全力で逃げて、頑張れる場所を探すことの大切さを説いています。

6:笑いたいときに読むならこれ

いっさいはん/minchi

 笑いたいとき、癒されたいときに、ついつい家の絵本コーナーから引っ張り出しては、これを読んでしまいます。育児は大変ですよね。大変ですが、過ぎ去ってみると笑えたりします。この絵本はまさにそれ。一歳半を持つ時は笑えずとも、子どもが成長した後にこれを読むと爆笑します。いわゆる、育児あるある。何回読んでも笑えます。

7:傍にいてくれたら、それだけでいい

しろいうさぎとくろいうさぎ/ガース・ウィリアムズ

 彼女に盛大に振られて、「どうせ誰かと付き合っても、最後は捨てられるんだ」と絶望していた時に、この絵本をたまたま保育園で見つけて震えました。それから数年後、失恋を引きづっていた僕に対し、「はぁ? まだ未練がましく言ってんの!?ウジウジしてんじゃないよ!」と、蹴飛ばしてくれたのが、今の妻でした。この絵本のくろいうさぎは、僕なんです。でも結婚して10年が過ぎた今、くろいうさぎのように「いつも いつも、いつまでも、きみといっしょにいられますように」なんて妻に言ったら、無視されるか鼻で笑われます。でも、それでもいいのです。一緒にいられたら。

8:ウェットな作家が放つドライな傑作

麦屋町昼下がり/藤沢周平

 この作品がきっかけで藤沢周平を好きになり、結果的に僕を時代小説家に導いた作品です。藤沢作品は、日本人の深い情感をあますところなく描いたウェットな文学ですが、この作品に限っては全編通してドライ。読んでいて脳裏に思い浮かべるのは、西部の埃っぽい街にガンマンが二人。そう、これは西部劇のノリであり、ハードボイルドなのです。そういう意味では、僕の作風にも深く影響しています。収録された全3作、全てに於いて決闘に到るセリフが痺れます。

9:江戸の闇は夜より暗し

江戸の暗黒街/池波正太郎

 江戸の暗い世界、つまり裏社会を描いた短編集。人間と社会の闇を描いた本作は、僕が目指している作品世界です。池波は鬼平犯科帳で「人間というのは妙な生きものよ。悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事を働く」と語らせていますが、この作品も根底は同じ。複雑な人間の心境を描いてこそ、リアリティは生まれるものです。

10:生涯忘れ得ぬ一冊

秋月記/葉室麟

 僕が師と慕う、葉室麟先生の初期作品。この作品の出版記念講演で僕は葉室先生と出会い、福岡にフォーカスした作品を書こうと決めました。舞台は福岡県朝倉市の秋月。作品に登場する宮崎織部という実在の人物が特に好きで、彼の悪党として生きる覚悟に痺れます。この作品を読んで、秋月に行こう!

11:すべては生きていてこそ

いのちなりけり/葉室麟

 結婚してもなお、妻に恋をしている男の物語。男が女に惚れ抜き、女は自分を好いてくれている男を信頼している。そんな男女関係が、僕は大好きです。なお、この作品の主題である「春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり」の和歌を、結婚式で妻に贈りました。

12:僕をデビューに導いた作家は誰ぞ

壊れた世界の者たちよ/ドン・ウィンズロウ

 僕をプロデビューに導いたのは誰か? と聞かれたら、真っ先にドン・ウィンズロウと答えます。僕は彼の出世作、「犬の力」を読んで衝撃を受けた後、すぐに「それは、欲望という名の海」の執筆に入り、それがデビュー作となる「谷中の用心棒 萩尾大楽」となりました。彼の作品には、人生があります。それも、暴力と犯罪と貧困と野望に満ちた、アングラな人生。おおよそ、普通の生活では経験できないようなものばかりですが、それ故に暗く底の見えない魅力があるのです。本作は、そんな彼を知る為の短編集。この作品を読んで満足いただけたら、「犬の力」を手に取ることをお勧めします。

13:海外文芸の入門にはピッタリだぜ

IQ/ジョー・イデ

 僕は海外文芸が好きで、作風や世界観にも大きな影響を受けています。なので至る所でお勧めするのですが、高い確率で「翻訳はちょっと……」と言われます。ですが、ここでも敢えて推させてください。この「IQ」は最高に面白いです。まるで海外ドラマを見ているような感覚なので、海外文芸の入門には最適!

14:緻密な筆致に憧れる

悲しみのイレーヌ/ピエール・ルメート

 ヴェルーヴェン警部シリーズの三部作の第一作。僕にミステリーの面白さと、緻密で計算された筆致が人間の情感を濃くする事を教えてくれた作品。読者を翻弄するストーリー展開も最悪の読後感も、全ては丹精な文章が為せる技。文章の雰囲気も方向性も似ていませんが、こんな文章を書きたいなと思っています。

15:可愛いは正義!

ざしきわらしイラスト作品集 COLOR PALETTE/ざしきわらし

 可愛いは正義!それ以上の理由はありません。福岡出身で福岡を拠点に活躍されるイラストレーターである、ざしきわらし先生の作品は、ポップでキュートで、そして決して手が届かない、手が届いてはいけない可愛さがあります。見ているだけで十分。眺めているだけで幸せな、眼福な作品集。

番外:15冊以外の本たち

透明なゆりかご/沖田×華

 漫画でお勧めは? と聞かれたら、まず僕はこれを挙げます。出産というものは、どれだけ奇跡の産物なのか。生と死が交差する現場だからこそ、描ける命の物語は、僕のコアな部分を大きく揺さぶりました。とても涙なしでは読めません。凄く重いです。心にずっしり来るので、元気な時でなければ読めません。しかし、それだけに得られるものも大きいです。特に出産を経験しない男性には、是非読んで欲しい漫画。

半夏生/櫻井美知彦

 91歳の著者が、妻の為に妻だけに詠んだ愛の歌集。最愛の人を亡くしたとき、前を向いて歩むだけが良い選択ではないと、僕は常々考えています。思い出と共に、過去にすがって生きる道もあるのです。もし僕が著者と同じ立場になったのなら……。「君はいずこぞ」と探しても足掻いても、もう二度と妻に会えぬ喪失感に、圧し潰されるかもしれません。この歌集には、僕の作品にも込められている悲壮な恋愛観が凝縮されています。

◆終わりに……

いかがでしたでしょうか? 僕の選書に対し、ご感想などお聞かせ願えますと幸いでございます。また選書したいなー!

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