「自分を大事に、周りの人を大切に」みんながありのままで生きられる社会をつくる“WACS代表 吉村伊織”さん
カウンセラー、マヤ暦アドバイザー、父親支援のNPO理事、研修講師と様々な活動をされている吉村 伊織(よしむら いおり)さんにお話を伺いました。様々な活動の背景にある一つの想いとは何か、共有したいと思います。
吉村伊織さんプロフィール
出身地:熊本県
活動地域:福岡を中心とした九州圏内
現在の職業及び活動:大学卒業後、福岡市内のシステムコンサルティング会社に入社。
システムエンジニアの業務と並行して心理学を勉強し、プロ心理カウンセラーの資格を取得。
その後、2011年に独立し「WACS」を設立。
プライベートでは男児3人の父親。小学校のPTA会長を5年間務めたほか、NPO法人「ファザーリング・ジャパン九州」の理事を務める。
メンタルヘルスケアや部下育成といった企業研修や、父親の子育て、地域との関わり、ワークライフバランス等をテーマにした講演で、講師活動は年間120回を超えることもある。
経歴:心理カウンセラー、マヤ暦アドバイザー、父親支援のNPO理事、研修講師、地域の居場所づくり
座右の銘:「有縁を度す(うえんをどす)」
Q.どのような夢をお持ちですか?
吉村伊織さん(以下、吉村 敬称略):「自分を大事に、周りの人を大切に」ということを共有したいです。というのも、自分を大事にできないと、変な悩み方をするような気がするからです。「お母さんなのに、子どものことでなぜ悩んでしまうんだろう。」とか、悩んではいけないという悩みを持っている人が多いように感じています。でも、悩むことは全然OKなので、悩んじゃいけないと思うことを手放して欲しいんです。
子どもの前で話すこともあって、何年か前に小学校6年生に向けて話した時に、「悩んじゃいけないと思っている人に、悩んでもいいんですよ。と言ってあげるのがカウンセラーの仕事だよ。」と言うと、感想に「悩んでもいいんですよって言われたことが一番心に残りました。」とあったんです。今の子どもたちって大変です。私はポジティブでなければならない、とかもおかしな話だと思います。ネガティブであってはいけないとか、悩んでいる自分はダメだと思っている人に対して、そんなことないんだよということを伝えたいですね。
そして自分のことを本当に大事だと思えたら、一人ひとりが同じように大切な存在であることがわかって、相手や周りの人のことを大切にできるのではないかと思います。
Q.夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
吉村:あまり目標立ててそれに向けて頑張ろうぜというタイプではないので、計画立ててやっているわけではないですね。例えば、子どもを育てて生きていくために必要なことは、やらないという選択肢がなく、やるしかないですよね。目標は関係なく、ただやるということが大事なのではないかと。目標があるから頑張るのではなく、目標にとらわれずに、目の前のことに取り組むことを大事にしています。
記者:子育てで考えたことはなかったですが、わかりやすいですね。ある意味、仕事というイメージではなく日常の一部分のような感覚なのでしょうか?
吉村:そうですね。カウンセラーは仕事というより、生き方という感覚です。カウンセラーという生き方の人が、カウンセリングや講師などの仕事をしていると思っています。
Q.現在の活動指針は何ですか?
吉村:物事は必ず三つの視点があるという事を意識しています。たとえば、このコップに半分水が入っている時に、半分も入っていると思うのか半分しか入っていないと思うのかによってプラスにもマイナスにもなるじゃないですか。でもそんなものを取っ払って、水が半分あるんだったらそれ以上でも以下でもなく、「水が半分ある、以上。」って観ないと、物事ってありのままに観えてこないと思っているので、それを意識しています。
特にSNSの情報で、振り回されてしまう人ってすごく多い気がしています。インターネット上の情報を真実だと思い込んで、批判したり過剰に評価したり。自分自身が色眼鏡をかけた状態では、ありのままその事実を受け止めることは難しいです。
それから、何かができるからそこに居ていいというのではなく、「別になんもいらんけん」っていうところを大事にしています。そのことをベースにして、特に何かをするわけでもなくて、ただただ誰かの存在を感じながら居ることができる居場所を地域につくろうという活動もしています。
Q.吉村さんが「『自分を大事に、周りの人を大切に』ということを共有したい」という夢を持たれたきっかけにはどんな発見があるのですか?
吉村:実は大学を卒業して最初に就いた仕事はシステムエンジニア(SE)なんです。SEの仕事はいろんな会社の仕組みを作るお仕事でした。対企業であることが多いのですが、その企業が何に困っているのかを聞くのが当時から好きでした。それが対個人に変わったという感じです。
また、大学時代に、当時お付き合いをしていた今の妻が悩んでいたんです。でもその時に何もできなかった自分がいて、それが大きなきっかけになったのはあります。拒食症でみるみるやせ細っていく妻を目の前にして、病気の知識も心の知識もなく、「身近な人が困っているのに何もできないなんて、なんてダメなんだろう。」とそれこそ悩んでいることに悩んでいる状態でした。
その後、妻は就職もでき落ち着いて、結婚もしたのですが、ずっと摂食障害などで体を壊してたため、子どもを生むのも難しいような状態でした。その事を会社の先輩に話したら、心の勉強ができるところを紹介してくださり、それがきっかけでカウンセリングに出会いました。そこで、悩むこと自体が悪いわけではないということや、ただただ寄り添って話を聞くってことが大切だということを学んだんです。その時妻からも、「何もできないと思っていたかもしれないけどただ一緒にいてくれたのがすごく心強かったよ」と言ってもらえて、それでよかったんだと自分自身がすごく救われたように思いました。
Q.活動指針である、三つの視点やありのままを大切にされるようになった背景には何があるのですか?
吉村:地域で、子ども会と一緒に認知症について学ぶ機会に参加した時にすごく衝撃を受けたことがあります。その会は、「認知症になって家に帰れなくなり街を徘徊している方がいる」という設定で、その人を探して家までナビゲートしてあげるということを子どもたちと体験するイベントでした。まず「老いるってどういうこと?」とか「認知症って?」みたいなことを学んで、声の掛け方を勉強してから始めるのですが、その場が自分の中では衝撃的でした。
一つは老いることに対して、ネガティブに取るのではなく自然な営みだと観ていたことです。私はそれまで老いることにマイナスイメージを持っていたので、認知症になって記憶がおぼろげになっても、それを病気として捉えないようにしようというアプローチをされていたことは驚きでした。もう一つは、地域みんなで仲間になれば、もし家から帰れなくなっても、声をかければ家に帰れるし、施設の人や子ども、学校が連携していたら、時々心が折れても迷ってても生きていけるやんっていうことです。みんながありのままでいいんだってことを共有できる世界が作れるんだということがすごい衝撃的でした。地域のつながりとか、すでに足元にあるものや現場に目を向けることの大切さを改めて学びました。
Q.そんな吉村さんが目指したい人間像とはどんなものですか?
マヤ暦で私を見た時に、黄色い太陽というのを持っているんです。黄色い太陽というのは、みんなに公平に平等に接して、光を届ける人だそうです。私は、みんな太陽のおかげで生活していけているけど、太陽はありがとうと言われることを望んでいないだろう。と思うんです。みんなにいい影響を与えているけれど、「吉村さんのおかげです」と言われて、よかったと思っている時点では太陽ではないです。「吉村さんに言われたことがきっかけだ」ということを忘れるくらい自分の周りの人に対して真剣になっている姿を見て、喜べるような人になりたいですね。
記者:吉村さん、今日は本当にありがとうございました。
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【編集後記】今回インタビューの記者を担当した大野と高村です。これはこうだと決めつけず、あらゆる角度から物事を捉えていらっしゃる柔軟さや、人々が無条件に存在を認められる居場所を描かれている温かい心にとても感動しました。吉村さんの活動や想いがどんどん広がったら、もっとみんなが生きやすい社会が実現するように思います。これからもご活躍応援しております!
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
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