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20.【読み切り】エピローグ(れれこい)816

読み切り恋愛短編集【れれこい】

前日譚⤵️

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第20話 エピローグ


岩崎「れれ子さん、こっちです」


れれ子「岩崎さん、お待たせしました。
今日はこっちの席なんですね」


岩崎「カウンターしか空いてなくて……
狭くてすみません」


れれ子「うふ、近くて嬉しい」


岩崎「えっ?」


れれ子「いえいえ、何でも……」


岩崎「いつもの注文してきましょうか?」


れれ子「あの、フラフラフラ……」


岩崎「あ、フラペチーノ?
ケーキも適当に見てきましょうか?」


れれ子 (こくこくこくこく)


れれ子「わぁ〜、上がります」


岩崎「緊張しますか、今更?」


れれ子「いえいえ、気分が上がるってことです‼︎」


岩崎「れれ子さんに喜んでもらえると僕も嬉しいですよ。
そうそう、連載、このまま続けられそうなんです」


れれ子「えっ、1年間だけじゃなくって……?」


岩崎「『れれこい』が始まってから、読者層が若返って、配布部数が増えたんですよ。
『クローバー通信』って今までは主に子育て世代のお母さん読者が多かったんですけどね。
これってれれ子さんのお陰なんですよ」


れれ子「本当ですか⁇
う、嬉しい……」


岩崎「どんどん書いて、いつか一冊にまとめましょうよ」


れれ子「一冊って……?」


岩崎「そうです。
いつかは『秋実あきざねれれ子』名義で本を出しましょう。
是非とも僕も関わりたいですからね。
そうなったら共同作業ですよ」


れれ子「共同作業って、ケーキ入刀?」


岩崎「いやいやいや……
どうしてそうくるかなぁ?」


れれ子「じゃあFirst bite?」


岩崎「…………」


れれ子「もしかして『謝辞、編集の岩崎さんのお陰で最後まで書き切ることができました』とかって書くんですよね?」


岩崎「ははははははは。
そう思ってくれてるならね。
それにしても気が早過ぎますよ。
書籍化も決まってないのに謝辞だなんて」


れれ子「恥ずかしい……くすん……」


岩崎「れれ子ちゃ……
いや、れれ子さんこんなところで泣かないでくださいよ」


れれ子「今、れれ子ちゃんって言いましたね?」


岩崎「言ってませんよ、もう……」


れれ子「ふふ、岩崎さんってカ•ワ•イ•イ」


岩崎「ところでですね……」


れれ子「スルーした‼︎」


岩崎「真面目な話です。
僕、遠い将来ですけど、ひとり出版社を起ち上げようと思ってるんですよ」


れれ子「え、私を見捨てるの⁇」


岩崎「そんなに直ぐじゃないですよ。
れれ子さん、ご存知ですか、『ヘロヘロ日記』とか『クタクタ日記』とかいう本?」


れれ子「ああ、知ってるかも‼︎
一六いちろくなんとかじゃないですか?」



岩崎「ははははははは、近いけどそれって愛媛県のお菓子でしょう?
違いますよ、○五館シンシャですよ」


れれ子「岩崎さん、私のこと馬鹿だと思ってるでしょ?くすん……」


岩崎「泣かれても、もう引っかかりませんからね。
思ってませんよ、ちっとも。
れれ子さん ⚫︎ ⚫︎

れれ子「つまんない……」


岩崎「○五館シンシャってね、編集者ひとりで本を作ってるんですよ。
しかもそれなりに売れてるんです。
大手だと、売れる作家さん、売れるテーマしか本にしないんです」


れれ子「そうなんですね」


岩崎「でもね、ひとりだったら自分が売りたい本を売りたい部数だけ作ることができるんです。
例えば僕がれれ子さんを売り出すなんてこともできるワケです」


れれ子「わぁ〜、一石二鳥ですね‼︎」


岩崎「いやぁ、れれ子さん。
せめて一挙両得って言ってくださいよ」


れれ子「じゃあじゃあ、いつか岩崎さんが一六いちろく……じゃなかった、何とかシンシャみたいなのを起ち上げたら、ずっと一緒にいられるんですか♡」


岩崎「ずっと一緒って……」


れれ子「違うんですか……?
ひょっとして、嫌なんですか……?」


岩崎「もう、泣かないでくださいよ。
僕だってれれ子さんの成長を見守りたいと思っていますからね。
沢山いろいろなテーマを書いて、どんどんとスキルアップしてください」


れれ子「岩崎さん‼︎
私、これからも書いて書いて、岩崎さんとずっと一緒にいられるように頑張りますっ‼︎」


岩崎「あのぉ、れれ子さん。
頑張るのは一緒にいられるようにじゃなくて、良い作品を書くためですよ」


れれ子「岩崎さんは、私と一緒にいたくないんですか?」


岩崎「いや、そんなことは全然言ってませんけど……」


れれ子「じゃあ、一緒にいたいってことでいいですよね?」


岩崎「え?いやぁ……あ、はい?」


れれ子「今、はいって言いましたね‼︎」


岩崎「うん、いや?まぁ……」


れれ子「岩崎さん、これからは私と一心同体ですよ‼︎」


岩崎「れれ子さん、それを言うなら二人三脚とか一蓮托生とかじゃないですか?
いくら何でも体は別々ですよ」


れれ子「また馬鹿にしましたか?」


岩崎「してませんったら‼︎
でもね、趣味以上に書き続けるつもりなら勉強をしましょう。
沢山読んで沢山書けば、言葉をどんどんと吸収できますから」


れれ子「今からでも成長できますか?」


岩崎「いつからでもできますよ」


れれ子「成長期……」


岩崎「ん?」


れれ子「それって、私には未だ伸び代があるってことですよね?
私、岩崎さんと一心同体になれるように頑張りますからっ‼︎
だからだから、これからもずーっとずーっと一緒にいてくださいっ‼︎」


岩崎「いや、一心同体って…………」




おしまい

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#66日ライラン  26日目
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