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上司が異常だと気付いたとき

新卒入社、初めての上司。

この上司、部下に嫌われてんのかな?

そう初めて思ったのは、先輩二人の相づちを見たときだった。

先輩二人とも、私と話すときはすごく優しくてかわいらしい人たちだった。
一方で、課内のミーティングのときの顔は、控えめに言っても死んでいた。

「今からいい?」

そう上司に声をかけられた途端、死んだ魚の目になる二人。
ミーティング中は、上司と目を合わせず、明らかに話を右から左へ流しており、頭を上下に振るだけの機械と化していた。

 私と話すときは「うんうん」と二人とも愛想がいいのに、ミーティングのときの二人は、一言も言葉を発さなかった。

私は、こんなに愛想のない相づちを、22年間生きてきて初めて見た。

えっ、上司がかわいそう・・・
当時そう感じるほどピュアだった私も、1年後、先輩と同じ道を辿ることとなる。



 新卒入社した半年後に、先輩が辞めることになった。
新卒入社した1年半後に、もう一人の先輩も辞めることになった。
会社全体でこの2年間に辞めた人は、同じ課の先輩方二人だけだ。

この上司の下で働く部下は一人残らず、辞めていった。



この上司は、当然のように部下を見下すくせがある。
業務の話をするとき、容易に部下を貶める発言をする。

「あの人は仕事が遅くて信用ならない」
「あの人は仕事が雑でね・・・」

私は、そういった言葉を聞くたびに疲弊し、息が苦しくなった。

私は課の誰のことも、悪く思っていない。
なぜなら私は、課の人がみんないい人で、優秀な人達だと知っているから。

この優秀な人たちを活かしきれない彼に、正当な評価は下せまいということなのだろう。


私が彼に「業務量をなんとか減らしてください」と伝えると、こう返ってくる。

「ああ、もしかして睡眠が足りていなくてイライラしてる?」
「もしくは、イライラしやすい”そういう”時期なのかな?」
「一回寝たらスッキリすると思うから、今日は定時で帰ってたくさん寝てね」

 

定時で帰ってスッキリした頭で、もう一度モノを申すと、次はこう返ってきた。

「その言い方はよろしくないね。」

 

彼と話していると曲解して解釈されることがあるので、「私の伝え方が悪かったのかもしれません、私が言いたいのはこういうことなのですが」と伝えると、

「うん、確かにあなたの伝え方が悪かったね。」

 

彼の話しはかなり遠回りをするので、頭で考えながら聞く必要がある。
若しくは、具体的な指示に落とし込むために、質問を繰り返す必要がある。
いつものように彼の言い分を考えながら聞いていたら、こう言われた。

「分かったなら頷いてくれる?じゃないとあなたが分かっているのか、こちらも分からないんだけど。」

 

 

 

一方で、彼はこういうことも言ってくる。

「皆さんが大変なのは何よりも分かっています」
「これから人手が足りなくて大変な時期ですけど、この時期だけは仕事を趣味だと思って働きましょう!」
「皆さんには期待しています!一緒になんとか乗り切りましょう!」
(ただし自分は業務に携わらない)


私は、彼の二枚舌と、人の心を簡単に傷つける無神経さについていけなくなった。
彼の地雷は至る所にあるので、会話をしなくなっていった。
そして、先輩と同じ道をたどることになる。

上司とは絶対に目を合わさず、具体的な指示以外は聞き流す。
そして、頭を上下に振るだけの機械と化したのだ。

私は上司が異常だと気づくまで、1年半かかった。
「この人は実は分かってくれるのではないか」と期待し、その都度なじられ絶望した。
それを1年半繰り返した。

その姿を見たベテランの職員の方が、「あれはおかしい、上に相談したほうがいい。」と私に伝えてくれた。

そこでやっと、私の上司は異常なんだと気付いたのだ。

初めての上司は、比較対象がいないから、「異常」だと気付くことが難しい。

「私がおかしいのかな」
「私が非常識なのかな」
「私の仕事ができないから、こんな態度されるのかな」


彼は私にそう思わせることで、自分が異常だということをうまく隠していた。


その上、私の上司のような人は、”人を選んで”態度を変える。
外部の目が入らないように周囲を警戒しながら、部下を使ってストレス発散をする。

私は、人事異動に恵まれ、その後一緒に働くことがなくなったから心が壊れずにいられたが、人事異動があと1年遅かったら、手遅れだったかもしれない。

私はもう、彼に期待をすることはないだろう。
彼は、自分の利権のことしか考えられない、器の小さい哀れな人間なのだ。

今日も彼は、自身の無能さを隠すため、上司にゴマを擦る。

あなたの上司はいかがでしょうか?

そう心当たりがある方は、ぜひ周りに相談してみよう。
もしかしたらあなたの上司は、会社から見ても、おかしい人かもしれない。

 
(余談)
霜降り明星せいやさんによる「話聞いてるが最初から否定する気しかない人のモノマネ」を見たとき、ハッとした。
彼のふるまいに、あまりに似すぎていたから。

そう。
彼は、部下の話を聞いているように見せるだけで、全く受け入れる気はないのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=sELceP6v8DU

 (霜降り明星さん、大好きです)


どうしたらいいのか、回らない頭では正直判別がしがたいです。でも、はやくここから出ていかなきゃとも思っています。どうしたらいいの。