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事件備忘録@中の人
2023年7月10日 13:05
遠くから、夜、街の灯りを見ていると途端に恐怖に襲われることがある。目に見える範囲に、数えきれない窓があり、そこに灯りが見えればその数だけ、人がいて家庭があって大切な家族がいて、と考えるとなぜかソワソワしていてもたってもいられらなくなるのだ。それは多分、その灯りのもとで暮らす人々の全てが幸せではないことを知っているからだ。あたたかな灯りのもとで、今まさに悲しい選択をしようとしている人がいる
2021年10月11日 19:03
法廷にて「私、前に自分一人で解決しないといけないと思い込んでしまって、失敗したことがあるんです。だから今度は、ちゃんと相談しようと思っていました。」松山地方裁判所宇和島支部第一号法廷。証言台に座る女の無造作に束ねた髪には、その年齢にそぐわない白髪がのぞいていた。被告人席には、夫の姿。両脇を屈強な刑務官が固める。その傍らに、女性職員の姿。この事件の被告は、夫婦だった。女は時折涙をぬ
2021年10月10日 21:11
まえがき妊娠は、本来誰からも祝福されるものだ。新しい命が宿り、十月十日を一緒に過ごし、ともに親子へと成長するその過程は、母親となる女性にとっても素晴らしいことである「はず」。しかしその妊娠が、自分の人生をより困難に、時にはぶち壊す存在にしか思えなかったとしたら。その存在が、自分や今いる家族のなかでまったくの「不要」なのだとしたら。虐待とは少し違う、最初から要らなかった、生まれてもらっ