鹿の子(かのこ)

かのこといいます。書き食い聴き撮る人です。

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マガジン

  • 採集の詩

    鹿の子が皆さんから https://odaibako.net/u/canocoproducts に投げてもらったキーワードや一文を使って文章を書こうと奮闘する試みです。出来上がった文章に合う自分の写真も添えます。詩かエッセイか小説か、なんなんでしょうね。

最近の記事

2023年好んでいた曲、全部聴き直す

高校1年生の頃から、何かの曲にハマったらそれを時系列順にプレイリストに放り込んでおいて、年末に聴き直すという儀式を続けています。 どこかで流れていて思わず立ち止まった曲、 死んだ目でYouTubeを見ていたら頭にこびりついてしまった曲、 大好き人(びと)たちを通して知った曲、 などなど。 通して聴いていると、不思議と日記以上に思い出が蘇ってくるんですよね。 年始に転職先での精神の平穏を祈って聴いた星野源から、 昨日初めてちゃんと聴けたODDTAXIまでの時系列プレイリス

    • 安アパートのようなこころ

      最近流行りの性格分析や心理テストを受けるときによく出てくる、 みたいな類の質問、みんなどうやって答えているんですか。 私は自意識過剰で神経過敏なところがあるので、誰かと相対しているときは無意識に相手の気持ちを読もうとしている気がする。他者の表情・言葉の間合いの微妙な変化などを受け取れば、脳がそれを言葉にする前に、精神が「相手の感情」という情報に勝手に変換して心にさざ波を立てる。 ただ! ただそのことだけを以ってこの質問に「よくある」だなんて答えていいのか!?という葛藤。

      • 電車が最寄りに着くまでの間、たまには日記を書く

        今日の仕事はなんかすごかった。個人の方ではなく、サブとしてやっている非正規雇用の仕事。充実感ときょとん感が両立したまま1日が過ぎ去り、脳がギチギチに覚醒したまま帰りの電車で揺られている。 まず昼間の定時に着いたらいつも通り掃除をして、屋上の洗濯機に使ったふきんをぶち込みに行く。屋上菜園のナスやオクラ、バジルがむくむくと成長しているのに誰からも気づかれないまま茎に繋がれているので、後でふきんを取り込みに行く時に収穫しようと思う。めちゃくちゃ晴れている。 階段を降りて、朝会を

        • 屋号を抱えた生活

          「margoという写真撮りを始めました!」 と発表してはや3ヶ月。 正直今年の最初とかは秋冬頃に開業できたらばんばんざいだと思っていたので、ずっと2023年は季節感覚がぐちゃぐちゃです。今が初夏のような気もしているし、もう晩秋のような気もしている。 前の仕事を辞めて、精神的に元気が出てきた今年の春頃に「今始めないと一生開業しない気がする」と危機感を持つようになって「個人事業主 始め方」とかでググっていた時、一番よくわからなかった概念が「屋号」だった。 屋号をつけるのは

        2023年好んでいた曲、全部聴き直す

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        • 採集の詩
          2本

        記事

          いつかあのまちで暮らしてみたい

          パートナーが初めて東京から離れる展望を口にしたのは、今から5年くらい前の付き合って間もない頃だった。特に北海道に惹かれていると。 他愛もない会話の中でライフプランに触れる時にはよく聞く台詞だと思うのだが、私はこれを聞いた時に と根拠もなく直感したのを覚えている。 普段はどちらかと言えば慎重派のパートナーだが、自分の中で「正解」が見えた時の瞬発力は凄まじい。きっといろんな条件がそろった時、あっという間にこの人は飛んで行ってしまうぞ…… そして時間をかけてゆっくりと、着々

          いつかあのまちで暮らしてみたい

          2020年のよろこびと、それを見ようとしない私

          "目が覚める。左手を枕元に伸ばす。細いそれを手に掴み、脇に挟む。1,2,3...…ピピピと鳴って、36.6。身が起きて、布団畳んで胃を満たし、PC開いてあなたと話す。日が照って、夜が来て、布団を敷いて、ごろんとなって明日が来る。 2020年なんて、総じてこんな感じの日が300日くらいあった印象だ。 ……" うるさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!! どうせ自分が2023年になってこんなことを言い出すことは初めから目に見えていた。ここまで書いたものを見返して悪い意味で

          2020年のよろこびと、それを見ようとしない私

          【晴れている】

          わたしが明日葬式を開くとして、遺影に写るのはいつのわたしなんだろう、あなたがわたしの訃報を聞くのはいつなんだろう、わたしはわたしの不在をどうやって知るんだろう みんなには喪服の心配をしないでほしい、なにが正装でなにが略式とか関係ないから、一番好きな服で来てほしい、それでわたしの葬式がビタミンカラーで溢れたらそれはそれでいいなと思うから、気を遣った結果みんな黒い服を着るのだけはマジ勘弁、あさってからもみんなの生活はつづいていくのだから いま死んだらこいつはグーグルドキュメン

          【晴れている】

          病院で内診台に乗ったことがあるすべての人に一杯奢りたい

          体調、ひさしぶりに崩しました。 「いやお前しょっちゅう寝込んでるやん」と思うかもしれませんが、社会人になってからは専らそういう機会が減っていただけに、ひさびさに自分の身体の脱げなさに直面して、ちょっと落ち込んでいます。 浜辺の泥みたいな重たい睡眠の中で夢を見ました。 内診台の夢です。 内診台というのは、婦人科などに置いてある診察用の椅子のこと。 最近ちょっとSNS上であんまりよくない意味で話題に上っていることもあり、こういう夢を見たんだと思います。 コートを着てリュッ

          病院で内診台に乗ったことがあるすべての人に一杯奢りたい

          6年残る歯形の味

          吹奏楽部に入っていた。 この事実を自分事として咀嚼すると、ほかの人の人生の回路にうっかり入ってしまったような強烈な違和感を覚える。私が?吹奏楽部に?あまりにも遠くて、そのほかの出来事とはあまりにも質の違う記憶だ。 そんな時、私は決まって口をもぞもぞさせる。 下唇の裏側、すこし奥の方。 そこには、私がサックスを吹いていたころに出来た、上の前歯の歯形がうっすら残っている。 イメージが湧きにくいかもしれないけど、腕とかをがぶっと噛んでみると皮膚に前歯のギザギザのへこみが残るで

          6年残る歯形の味

          手のひらを太陽に

          私は小さく傷つかないと文章が書けない人間なんだな~と気付いてしばらく時間が経ったけど、こんなにも露骨に書けなくなったり、書きたくなったりするとは思わなかった。 過去に同級生から受けた暴力を忘れきれないとか、周りに前例がない中でピルを飲み始めるか悩んだりとか。今までの私が勝手に書いたものは大なり小なり全部そういうきっかけで書いた文章ばかりで、変化の渦中から外に向けてキリキリと手を伸ばすような、そういう行為が私にとって文章を書くということなんだということを、ひしひしと感じている

          手のひらを太陽に

          就活を始める前はいつも頭のどこかに隙間があったが、今は脳細胞の1つ1つ、頭蓋骨のわずかな隙間にまでタスクが流れ込んできている気がする。目の前のことを自分事として捉えにくくなっていて、作業の質も低い。本来なんでも自分事にし過ぎて周りから心配されるような人間のはずなのに。暇をせねば。

          就活を始める前はいつも頭のどこかに隙間があったが、今は脳細胞の1つ1つ、頭蓋骨のわずかな隙間にまでタスクが流れ込んできている気がする。目の前のことを自分事として捉えにくくなっていて、作業の質も低い。本来なんでも自分事にし過ぎて周りから心配されるような人間のはずなのに。暇をせねば。

          ありがとう おめでとう

          この前、歳の離れた弟が誕生日を迎えた。 弟が離席するとふと父が 「あの人は姉さん女房(と結婚することになるの)かな」 と言ったので、 「女房じゃないかもしれないけどね」 と咄嗟に返したら、父が 「…そうだ、そうだね」 と微笑んだ。 本人のいない場でそんなやりとり、ただの自己満足だろと思われるかもしれないが、弟が今日まで生き延びたことと同じくらい私は父の反応が嬉しくて、つい口いっぱいにウイスキーを含んで胃を熱くしてしまった。 同性愛を否定しなかったことだけでは

          ありがとう おめでとう

          命綱を手放さない私、私たち

          また大学から「君たちが疫病に気をつけろよ」というメールが、届いてしまった。 どんな前置きやフォローをされても、「企業」としての大学を運営している人たちがその面子を保つために私たちに釘を刺しているのだと、痛いほど感じる。 スゥーーーーーー… もうみんなめっちゃ気を付けてるけどね!?!? フーーーーー… 失礼いたしました。 頑張ってレポート書いても単位落とす時は落とす。 頑張って仕事探しても見つからない時は見つからない。 そしてどんなに頑張って生きてても、体が言うこと

          命綱を手放さない私、私たち

          路上で泣くなら逃げてしまえ

          2018年11月14日の朝、 私は埼玉県の新座駅前で路上に膝をついてべそをかいていました。 その頃は大学に入って半年ほどで、 新しい生活の勝手がわかったような気分になって予定を詰め込んだ結果、 休日まで課題や授業で埋もれ、 慣れないバイトや確定申告まで土足で生活に踏み入ってきて精神が少しずつすり減っていました。 集中力がなくなって睡眠も浅くなり、朝二度寝をして。 気が付けば時間は遅刻すれすれで、 なぜか電子辞書を認めてくれないフランス語の先生に買わされた紙辞書と、冷食をぶ

          路上で泣くなら逃げてしまえ

          50歳で完全な阿呆になるために

          この前、Twitterでこの漫画を読んで「ワ…」と思いました。 「私だ~~~~」 別に怒られなくても、日頃から絶望しっぱなしの幼少期でした。 人生で記憶している限り一番最初の絶望は3歳で家のふすまに穴をあけたとき。 当時の感情をいま言語化するなら、「罪悪感のあまり消えてしまいたい」の状態です。 多分そこから1年も経たない内におもらしした時も、今でいう土下座をして泣きながら詫びてました。親、3歳女児に土下座されてさぞかし気まずかったと思います。 うちの親は別にそこまで

          50歳で完全な阿呆になるために

          「金髪ショート」でいられる日々を、買う

          例えばねこを思い切り撫でること。 例えばプレゼントに頂いた入浴剤をお風呂で楽しむこと。 例えば人の家に泊まっているとき、咄嗟に洗い物を素手のまま手伝うこと。 例えば好きな人と会う前の日に、傷跡を気にせずに剃毛をすること。 これらを、「諦めた」ことはありますか? 私はアトピー性皮膚炎という病気と、生まれたときから付き合ってきました。 人より皮膚のバリア機能が弱く、体質に合わないものに触れてしまうとその場所で炎症が起きて、何か月、場合によっては何年もそれが治らないことがありま

          「金髪ショート」でいられる日々を、買う