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【書評】 自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義

自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義

自由な自分を見つけよう!「本当の自分」の概念を超えた、個性と行動の科学

~内向家でも外向家のように振る舞える? 人生の主役は「自由特性」にあった!?~

現代社会において、「自分らしさ」や「本当の自分」という言葉が注目されています。しかし、私たちは固定的な「自分」ではなく、状況や目的によって様々な側面を表現している存在なのかもしれません。

本書『本当の自分とは?パーソナリティ科学の最前線』では、**「自由特性」**と呼ばれる、パーソナリティにおける変化できる側面に焦点を当て、従来の「自分」の概念を拡張します。

1. 遺伝的・社会的・個人的な動機から生まれる行動

私たちの行動は、生まれ持った性格である**「遺伝的動機」、社会的な規範である「社会的動機」、そして個人的な目標である「個人的動機」**の3つの要素から導かれます。

遺伝的動機は、5つの主要な因子である「誠実性」「協調性」「情緒安定性」「開放性」「外向性」を用いて理解することができます。しかし、個人的動機は複雑で、周囲からは理解しにくい場合があります。

2. 個性から生まれる「パーソナル・プロジェクト」

個人的な計画や目標は**「パーソナル・プロジェクト」**と呼ばれ、犬の散歩から人生最大の夢まで、様々なものが含まれます。その中には、普段の性格とは異なる行動をとるものも存在するのです。

例えば、レストランでステーキを突き返す男性は、単に「肉の焼き加減にこだわる」だけでなく、同席する上司に感心させるというパーソナル・プロジェクトがあったのかもしれません。

3. 異なる自分から生まれるストレスと回復

「自由特性」に導かれて本来の性格と異なる自分を演じることは、自分を偽ることではありません。しかし、長期間にわたって演じ続けることは、心身に負担をかける可能性があります。

著者は、カナダ王立軍事大学での講義後のストレス解消法として、ひとりでキャンパス近くの川沿いを散歩することを紹介しています。**「回復のための場所」**を見つけることで、本来の自分に戻ることができるのです。

4. コントロール感と幸福の関係

パーソナリティ心理学では、人生をコントロールできるか否かの信念が、幸福度や成功に影響を与えることが示されています。

しかし、介護施設の入居者を対象とした実験では、訪問日時を自分で決められるグループの方が、訪問日時が決まらないグループよりも、訪問が終了した際に健康や幸福感に著しい減少が見られました。

5. 人生の意味を見出すコア・プロジェクト

パーソナル・プロジェクトの中でも、人生そのものと言っていいほど大きな意味を持つものを**「コア・プロジェクト」**と呼びます。

停滞しているコア・プロジェクトを活性化する方法としては、プロジェクトの捉え方を変える「リフレーミング」が有効です。

例えば、ボストンのホテルの清掃係を対象とした研究では、部屋の清掃を「健康的な運動」とリフレーミングすることで、実際に健康的な効果が得られたことがわかりました。

6. 個性とプロジェクトの「フィット」が成功を後押し

パーソナリティ特性とパーソナル・プロジェクトが一致していると、プロジェクトの追求が容易になります。

また、従事するプロジェクトに対して得意分野だと自覚があるときには、もっとも幸福感が高まります。

7. 本書で得られる学び

本書を通して、私たちは以下のことを学ぶことができます。

 * 従来の「自分」の概念を超えた、「自由特性」の重要性

 * 状況や目的によって様々な側面を表現することの自然さ

 * パーソナル・プロジェクトと「自由特性」の関係

 * コントロール感と幸福感の関係

 * コア・プロジェクトを活性化する方法

 * 個性とプロジェクトの「フィット」の重要性

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本書を読んだ感想として

本書を読んだ感想は、一言で「目から鱗」でした。

これまで、「自分らしさ」とは、生まれ持った性格をそのまま表現することだと思っていました。しかし、本書を通して「自由特性」の存在を知り、状況や目的によって様々な側面を表現することが、より豊かな人生を送るために重要であることに気づきました。

また、パーソナル・プロジェクトやコア・プロジェクトといった概念は、自分の目標を再認識するきっかけを与えてくれました。

本書は、心理学の専門書でありながら、ユーモアを交えた語り口で読みやすく、幅広い読者にオススメできる一冊です。


本書を読んだと感想として

この本は、パーソナリティ心理学の視点から、私たちの行動や性格について深く掘り下げています。

日常生活で「あなたは○○タイプの人ね」と言われた経験や、他人の行動を即断してしまった経験は誰にでもあるでしょう。

本書では、そのような私たちの判断基準や解釈の仕方が、時には偏った見方を生み出してしまうことが指摘されています。

特に興味深かったのは、著者が提唱する「自由特性」という概念です。

これは、私たちが特定の状況や目標に応じて、いつもとは異なる自分を演じることができる一面を指しています。

たとえば、内向的な人が職場で外向的にふるまうことで、プロフェッショナルな役割を果たすことができるという話が紹介されています。

しかし、このような行動は一方で、心身にストレスを与えることもあるため、適切に「回復のための場所」を見つけることが重要であると説かれています。

また、本書では「コントロール感」の重要性についても触れられています。自分が状況をコントロールしていると感じることで、ストレスが軽減されるという実験結果が紹介されています。

逆に、そのコントロール感が突然失われた場合のショックも大きいことが示されています。

さらに、「コア・プロジェクト」という概念も興味深いです。

人生において大きな意味を持つプロジェクトに取り組むことで、私たちの行動や幸福感に大きな影響を与えることがわかります。

停滞したプロジェクトをリフレーミングすることで、新たな視点から再び取り組む意欲を持てるようになるという事例も紹介されています。

この本は、パーソナリティ心理学の基礎知識を学ぶだけでなく、自分自身や他者をよりよく理解し、幸せに生きるためのヒントが詰まっています。

著者のユーモアあふれる語り口も相まって、楽しみながら深い学びを得ることができるでしょう。ぜひ一読をおすすめいたします。


本書を特におススメしたい人

 * 自分自身をより深く理解したい人

 * 人間関係を円滑にしたい人

 * 仕事で成果を上げたい人

 * 自分に合った生き方


本書とあわせて読みたいおススメの書籍

パ-ソナリティを科学する: 特性5因子であなたがわかる ダニエル ネトル 他2名 著

Big Fiveパーソナリティ・ハンドブック 5つの因子から「性格」を読み解く 谷 伊織 他2名 著

性格とは何か-より良く生きるための心理学 小塩 真司 


本書のまとめ

本書は、私たちが他人の性格や行動を簡単に型にはめて判断する傾向について述べています。

しかし、これらの判断は時に偏った基準や限定的なシーンによるものであるため、自分勝手な解釈をしてしまうことがあると著者は指摘します。

そうした中で、著者が「自由特性」と呼ぶパーソナリティの変化できる一面に注目することが、他者を理解する上での柔軟性につながると述べています。

著者自身も、普段は内向的な性格でありながら、講義の際には外向的な自分を演じることで、学生たちに対して活気ある授業を提供しています。

こうした事例から、状況に応じて異なる自分を演じることが必要な場面もあると示されています。

しかし、このような異なる自分を演じることは、心身に負担をかけることがあり、本来の自分に戻れる「回復のための場所」を見つけることが重要であると述べられています。

さらに、著者はパーソナリティ特性の変化できる側面である「自由特性」によって、私たちは異なる自分を演じることで成長し、人生のコア・プロジェクトを成功させるための手がかりを得られると説いています。

また、自分の固定的な特性に合ったプロジェクトを遂行することは、プロジェクトの成功や幸福感の向上に寄与するとも述べています。

本書は、「主要五因子(ビッグファイブ)モデル」に基づく性格検査や、環境とパーソナリティの関係、サイバースペースが「回復のための場所」となるケースなど、興味深い内容が豊富に含まれています。

著者の経験や実験がユーモアを交えて語られており、パーソナリティ心理学について楽しく理解を深められる一冊です。ぜひ一読をおすすめいたします。



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