マガジンのカバー画像

散文

79
散文(のようなもの)をまとめました
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

わたしはあなたがいいのです

わたしはあなたがいいのです

あなたがあなたをきらいでも

わたしはあなたがいいのです

あの輝かしい秋の日に

はっとしてふりむくと
あなたの横顔があったとき

わたしは世界が怖くなくなった

あの日が終わらないのです
あなたの横顔があったあの日が

だから人混みのなかでいつまでも
パイプ椅子に座って天井を見上げてた

高いところにひっかかったまま
忘れ去られている
バドミントンの小さなシャトル

粉雪のように
朝日に透けた

もっとみる
あの明晰さが続くなら

あの明晰さが続くなら

無職になって約三週間。なんだかまるで人間の生活から引退したような気分でいる。これからは静かな余生を送りたい。そんな言葉さえ浮かんでくる。まだまだこれから頑張らなくちゃいけないのに……。

最近の午前中の過ごし方。朝、顔を洗って化粧をしたら、まず植物に水をやる。ブラッサイア、ナギ、ガジュマル、サボテン、寄せ植えの花。最近は室内でレタスも育て始めた。
それから猫のトイレを掃除したり、部屋をざっと片付け

もっとみる

滅ぶ美、その永遠性

昨日、用事があって市役所に行ったとき、駐車場のアスファルトの上に散らばる鮮やかな桜の花びらにふと意識が向きました。
それと同時に、作家の渡辺淳一さんがエッセイ集「退屈な午後」のなかで、桜の美しさと憂鬱さについて綴っていたことを思い出し、帰宅して読み直してみると少しだけ思うところがあったので、本の引用を交えてここに書き残しておきます。

✎︎__________________

渡辺さんは、桜があ

もっとみる