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わたしはあなたがいいのです


あなたがあなたをきらいでも

わたしはあなたがいいのです


あの輝かしい秋の日に

はっとしてふりむくと
あなたの横顔があったとき

わたしは世界が怖くなくなった


あの日が終わらないのです
あなたの横顔があったあの日が


だから人混みのなかでいつまでも
パイプ椅子に座って天井を見上げてた

高いところにひっかかったまま
忘れ去られている
バドミントンの小さなシャトル

粉雪のように
朝日に透けた埃が舞っていた

はじめてひとりを寂しいと思った
もっと時間があればと思った

死にたくなるような夜がきても
あなたがどこかで笑っているなら
まあそれでいいような気がしてた

世界でいちばん好きなあなた

卑屈にならないでね
ひとりきりで隠れないでね


あなたがあなたをきらいでも

わたしはあなたがいいのです


ほかに何億という人々がいても

わたしはあなたがいいのです


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