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病院の書く文章の方針
こんにちは、ハコモノ放送部所属の病院です。何事も中途半端に取り組みます。
何もせずPCの前に座っていることが多いので、気さえ向けばすぐ書きます。向かない時は全然書かないと思われます。
病院は
詩(自由詩、散文詩)や短い小説を好んで書きます。
文章の中身によって誰かに訴えたいことはあんまりありません。
好きな言葉や音の繋がり、想像される情景を自分で楽しむために書く傾向にあります。
自分が
ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/18 詩「嵐の訪れ」(おまけつき)
嵐の訪れ
暗い部屋にベルが鳴り 私は裸足で廊下に出る
心のあとさき 忘れさせるような甘い水の香り
土砂降りの下でドアの向こうにあなたは立っていた
薄い色の瞳 雷を秘めている
冷え切った手をとり のたうつ風の群れに乗り
夜を支配する嵐のなか あなたと二人で話したい
くだらぬ痛みの花を束ね 空ろな胸に抱かせたい
風が数多の声を隠し、雨はすべての過ちを霞ませ
目や耳や口を塞いで またひとつ増やす、不
ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/11 詩「クレバスとテレパス」(おまけつき)
クレバスとテレパス
断絶 凍り付いた星には無数の罅が走っている
踏み外せば死ぬかもしれない、底の見えない隔たり
だからみんな立ち止まっている 自分を守るために
一人でいても凍えてしまうのに
だから、これは奇跡のテレパス
顔も名前も知らない君と 時を忘れて歌い続ける
ずっと、ずっとこうしていたいよ
見えない火を焚いて 僕と踊ってよ
ありふれたテレパス きっと無数の超能力が
孤独な僕らを宙に浮かば
ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/4 詩「夜の断面」(おまけつき)
夜の断面
宇宙は透明な碧い色 隙間なく覆う 何重にも薄く
粒子を鏤める、炎の匂いがする 星の琥珀
静かに取り出された洋菓子
夜は透明な淡い色 冬のけはいがする
均等に冷やされた空気の匂いがする
澄んだバターの雫 音もなく光る流れ
夜を切り分けるのは、その目である 表面から底へ
あなたは慎重にそれをする 地面の下の受け皿に当たるまで
滑らかな断面 あなたは息をつく
夜の中にはひとつ まるい甘
エスパー、世界は君のもの
甘い雨降り 灰色の天幕、ペトリコール
ガラス越し、ビニール傘の人だかり 咲く花のような赤い傘ひとり
音が鳴る 君の愛する音階はほしいまま鳴り続ける
君の見るすべてが輝くのは当然
君の目が 輝いているから
だからエスパー、世界は君のもの
空に花を 地に星を ひっくり返し散りばめて
一秒を永遠に 四畳を庭園に変え
広がる宇宙に呼応して 超能力は伝播する
だからエスパー、世界は君のもの
今度は何を
眠りに落ちるようにさよならしたい
仲が良かったのにもう会うことのない人
好きで通ってたのにもう行くことのない場所
いつの間にか そうなる
「さよなら」せずに別れることのほうが
そう告げて別れることより 多い
眠りに落ちるようにさよならしたい
少しずつ波が攫うように
眠りに落ちるようにさよならしたい
喪失の瞬間に気づかないように
そんでいつか夢の中で
忘れた誰かにまた会いたい
そして
優しくてなんにもない朝が来て
また静かに忘