道連れ

もしも ここにあるのが道だけだったら
あなたと一緒に 歩いていこう
他にひとつも 選べないなら
あなたに決めて 歩いていこう

遠し遥か山々の 蒼い背すじ
柔らかな毛並み 撫でる光と影
歩き続けたらいつか
近づくこともあるかもしれない
その背に登って迎える朝は
初めての景色になるだろうか

道が途切れて海が見えたら
木の枝を集めて 船をつくろう
そして 海の端に辿り着いたら
がらくたを並べて 宇宙へ橋をかけよう

時間はまるで 永遠に飽和するかのようで
終わりだなんて 想像もできなくて
二度と戻らないとしても 全部覚えてはおけなくて
僕らは軽やかに 命を消費し続ける

もしも ここにあるのが道だけだったら
あなたと二人で 話をしよう
それだけでどこまでも 歩いていけるような
二人でいられて ほんとうによかった



2022/4/15 病院

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?