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どういうのを書くか、書きたいかの目安が最初の記事に書いてあります。よろしくお願いします。

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    ハコモノグループ文芸部門のマガジンが登場。うれしいね。みんな

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病院の書く文章の方針

こんにちは、ハコモノ放送部所属の病院です。何事も中途半端に取り組みます。 何もせずPCの前に座っていることが多いので、気さえ向けばすぐ書きます。向かない時は全然書かないと思われます。 病院は 詩(自由詩、散文詩)や短い小説を好んで書きます。 文章の中身によって誰かに訴えたいことはあんまりありません。 好きな言葉や音の繋がり、想像される情景を自分で楽しむために書く傾向にあります。 自分が楽しくて書いたものを、他のどなたかがほんの少しでもお楽しみいただけるのであれば幸

    • ネビュラ

      変わっていくさまに見とれて立ち竦んでいた 繊細な輪郭だけを残して 錆は剥がれ落ちる もう触れない結び目 掻き毟る想像をする 私のどこにも 一滴も残らぬほど 全てを凍らせて、すみずみを砕いて 赤と白の砂になるまで 全てを切り離して あなたの宙で静かに輝くひとつの渦になりたい ただ美しい 理想の姿で 吐いた泡 割れずに落ちる、どうして その愛を受けてなお こんなにも脆く 虚しいままなのだろう 頼りない指先 ぼやけていく 揺れる 切り離して 切り離して ただ息を潜めて 

      • ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/18 詩「嵐の訪れ」(おまけつき)

        嵐の訪れ 暗い部屋にベルが鳴り 私は裸足で廊下に出る 心のあとさき 忘れさせるような甘い水の香り 土砂降りの下でドアの向こうにあなたは立っていた 薄い色の瞳 雷を秘めている 冷え切った手をとり のたうつ風の群れに乗り 夜を支配する嵐のなか あなたと二人で話したい くだらぬ痛みの花を束ね 空ろな胸に抱かせたい 風が数多の声を隠し、雨はすべての過ちを霞ませ 目や耳や口を塞いで またひとつ増やす、不思議な傷を 嵐が来て朝を殺す 太陽を紙切れのように引き裂き 渦を巻いて今かと唸

        • ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/11 詩「クレバスとテレパス」(おまけつき)

          クレバスとテレパス 断絶 凍り付いた星には無数の罅が走っている 踏み外せば死ぬかもしれない、底の見えない隔たり だからみんな立ち止まっている 自分を守るために 一人でいても凍えてしまうのに だから、これは奇跡のテレパス 顔も名前も知らない君と 時を忘れて歌い続ける ずっと、ずっとこうしていたいよ 見えない火を焚いて 僕と踊ってよ ありふれたテレパス きっと無数の超能力が 孤独な僕らを宙に浮かばせる ずっと覚えていたいよ だからまだ、話していようよ 会えて嬉しいよ そのこ

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        • ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/18 詩「嵐の訪れ」(おまけつき)

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          ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/4 詩「夜の断面」(おまけつき)

          夜の断面 宇宙は透明な碧い色 隙間なく覆う 何重にも薄く 粒子を鏤める、炎の匂いがする 星の琥珀 静かに取り出された洋菓子 夜は透明な淡い色 冬のけはいがする 均等に冷やされた空気の匂いがする  澄んだバターの雫 音もなく光る流れ 夜を切り分けるのは、その目である 表面から底へ あなたは慎重にそれをする 地面の下の受け皿に当たるまで 滑らかな断面 あなたは息をつく 夜の中にはひとつ まるい甘露が隠れていた 2022/12/4 病院 以下はおまけですよろしければお付き

          ハコモノ放送部 アドベントカレンダー企画 12/4 詩「夜の断面」(おまけつき)

          部屋と遠雷

          あなたのような人のこと、遠い雷だと思っていた 雨は降らない 雲も晴れない 閉め切った窓の中でも 音や光で知っていた あの真下にいたなら、運が悪ければ死ぬだろうと 目を閉じて 眠ったふりをして 煌めく色彩 世界はガラス細工 たった一人の指の仕草で きらきらと砕け散る 誰もが歌う 液晶の向こうで あなたのような人のこと、ずっと、遠い場所にいると思っていた 今でも信じてやまない でも 窓の結露を一筋の水滴が撫でて線を引くように フォークの四角い切っ先が卵の黄身を割るように あな

          部屋と遠雷

          マエストロ

          理由なんてどうでもよかった 今も痛む肺がすべての証になった 閉じた目の空でまだ燃えている 踊るように靡くオーロラ あの日についた傷口から止めどなく注ぐ宇宙に ずっと溺れ続けている 声が出ない 波も立たない 触れた気がしてしまった その血の通う手に 薄い色の笑み 向けられてもいないのに ずっと奪われている 白い手の引いた線に 私にくれた 歌でもないのに こっちを見ないで 意味を与えないで、そのまま 教えて 近づいて、よく見せて 玩具みたいな自己矛盾 あなたは知らないでいい あ

          マエストロ

          道連れ

          もしも ここにあるのが道だけだったら あなたと一緒に 歩いていこう 他にひとつも 選べないなら あなたに決めて 歩いていこう 遠し遥か山々の 蒼い背すじ 柔らかな毛並み 撫でる光と影 歩き続けたらいつか 近づくこともあるかもしれない その背に登って迎える朝は 初めての景色になるだろうか 道が途切れて海が見えたら 木の枝を集めて 船をつくろう そして 海の端に辿り着いたら がらくたを並べて 宇宙へ橋をかけよう 時間はまるで 永遠に飽和するかのようで 終わりだなんて 想像も

          道連れ

          桟橋-1

             きりきりと巻き上げられた釣り糸の先に、黒い鉄屑が引っかかっている。釣り人はそれを左手で針から取り外す。右手に持った竿を自分の体の右隣に置き、空になった手で、竿よりまた一つ分右隣に置かれていた金槌を取る。釣り人は左手の鉄屑を右手の金槌でコンコンと叩き、それから鉄屑を、自分の左側にあるベルトコンベアの上に置く。コンベアは釣り人の向いている方向と真逆にまっすぐ伸びて、鉄屑を運んでいく。釣り人は見向きもせず釣り竿を手に持ち、糸を下へ垂らす。その繰り返しである。波の音もまた、寄

          桟橋-1

          夜の融解

          夜に飽和して 空を渡る火よ ガラスのような轍を残して 夜を凍らせて 星をまたぐ猫 街路灯は 溶けたバターの目 夜よどちらだ あなたの海は 何を沈め 何を浮かばせる 夜よ 私は帰路に就く あなたを遠ざけ 光から逃れ 滑らかにのばされた 柔い冷気の中を通って なあ、あなたはどこへ帰る 影なき虚空 とこしえに待つもの 夜よいつか私も行く あなたの帰る扉の先に 2022/2/19 病院

          夜の融解

          絵を描くAI

           実行ボタンのクリックひとつで一瞬で生成された画像のことを、芸術と呼んで然るべきか? たいていの人間にとってそれは特別問題視することではなく、当のAIはその発想にすら至らない。AIが絵を描くのに情緒は必要ないし、創作する苦悩も感動も理解できない。機械は機械。道具は道具だ。  機械に個性を持たせるにはどうしたらいいだろう。ヒタニは考えた。いい感じに「絵を描くAI」を作ったはいいが、このまま適当にSNSで公開しても他のコンテンツに埋もれて大した話題にはならないだろう。人に興味を

          絵を描くAI

          エスパー、世界は君のもの

          甘い雨降り 灰色の天幕、ペトリコール ガラス越し、ビニール傘の人だかり 咲く花のような赤い傘ひとり 音が鳴る 君の愛する音階はほしいまま鳴り続ける 君の見るすべてが輝くのは当然 君の目が 輝いているから だからエスパー、世界は君のもの 空に花を 地に星を ひっくり返し散りばめて 一秒を永遠に 四畳を庭園に変え 広がる宇宙に呼応して 超能力は伝播する だからエスパー、世界は君のもの 今度は何を試そうか 勿論望むままに せっかくだから集まろうか 待ち受ける最高のテレパシー

          エスパー、世界は君のもの

          情食動物

          とある愛憎劇 お酒にぴったり うんざりしているのに 口寂しくて 吐き出したものを飲み込んで 紛らわすうち 喉に詰まらせて 死んでしまいました そのへんですぐ買えて ダラダラつまめる 安いスナック菓子 そんなんじゃ栄養にならんと 誰かに突っつかれたりもしたが 味が好きで食ってんだから 知ったこっちゃない ああいつか味わった 忘れられない感動をもう一度 なんでもない仲間たちと ありあわせの材料で ノリで作ってみた なんか歪んでいる みんなで口をつけて 「味うっす」つって 笑っ

          情食動物

          眠りに落ちるようにさよならしたい

          仲が良かったのにもう会うことのない人 好きで通ってたのにもう行くことのない場所 いつの間にか そうなる 「さよなら」せずに別れることのほうが そう告げて別れることより 多い 眠りに落ちるようにさよならしたい 少しずつ波が攫うように 眠りに落ちるようにさよならしたい 喪失の瞬間に気づかないように そんでいつか夢の中で 忘れた誰かにまた会いたい そして  優しくてなんにもない朝が来て また静かに忘れていく 優しくてなんにもない さよならがしたい 2021/10/30 病院

          眠りに落ちるようにさよならしたい

          星の灰

          落ちてきた ずっと遠い遥か向こうから 夜の匂いをした 君の名前を知らない 空が燃えていた 白く眩むような色をして 夜を裂いて咲いた 君の名前を知らない 埋めることのできない 大きな穴をあけて 君は僕の中に 散り散りになった どこから 何をしに いつから 何のために 聞けないままで 会えなくなって 舞い上がった灰が ゆっくりと降り積もる 冷えてゆく星の上を 僕は歩いた 星たちが消えた 暗い夜の底で 君の火を 思い出していた 昨日と同じ 息をしている間に いつでも世界は

          星の灰

          炭酸光

          夜に雨が降る中を 車の窓から見てみると 当たってはじけた雨粒が 明かりをシュワシュワさせている グラスの氷になってみる 耳を澄まして音を聞く パチパチ泡立つ水の中 夜がそっくり冷えている 2021/9/25 病院

          炭酸光