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ガラスの欠片ように、ふたり漂いながら。

銅板でつくられた大きなシーラカンスや、魚たちが
間接照明の明るさに包まれた店の天と地のあいだを
泳いでいる。

微かなゼンマイの音をたてながら。

「calling you」が店内に響く。

音に身を包んでいると。

海や森のずっと奥深い場所にいるかのように
錯覚してしまう。

路地を抜けて海岸線へ少し近づくたびに
海の匂いも近づいてくる。

そんな神奈川県大磯の砂浜を歩いていた道すがら。

魚屋さんという名の沖縄料理のお店を
みつけた。

ゴーヤチャンプルーに温かい紹興酒に

喉鼓を鳴らす。

お酒が冷えた身体の隅々までゆきわたる。

緑色の半透明な硝子の欠片の<とんぼ>

砂浜に漂流してきた硝子が時間を
積み重ねながら波に磨かれて、

あらたな生を得て、ここに生きていた。

物が捨てられ拾われて。
いのちがつながる確率って、一体どれぐらいなんだろう。

あなたの声が零れる。

ものがそこに在ること、そしてあなたがそこに居ること。

ただ

それだけがかけがえなくて。


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