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わたしも星の砂のひとつぶだなと思いながら、「小さな恋のうた」を聴いていた。

星の砂や貝殻がちいさな筒状につめられた

瓶が箱の中からいくつか出てきた。

まだ幼かったときに沖縄に住む親戚の

おじさん達がおみやげに買ってきてくれた

ものだった。

まだとってあったんだと思いつつ、この捨てがたい

思いはきっとこの瓶のせいだなっておもった。

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たとえばむきだしの星の砂(ありえないけれど)。

硝子の外側には、はかりしれない世界が

広がっているのに、この内側はどこかで

均衡が保たれている感じ。

ばらばらっとこぼれたら、きっと果てしないけど。

この瓶の中には安堵感があるのかなって思った。

いつかうっかり指をすべらせて、コルクのふたを

閉めそこなって倒してしまえばたぶん外と内を

へだてていた硝子のバリヤーはこなごなになって、

中に集っていたものたちはバランスをいっきに

崩してしまうだろう。

そんなあやふやさも含めて、わたしは瓶につめ

られたものたちを捨てがたいんだってことに

気づいた。

こんなにおおざっぱでデリカシーのない人間が

瓶につめられたものたちを好きだなんてすっごい

バランス悪いなぁと正直おもうけど。

そして、ちょっとだけ思った。

わたしも瓶の中の星の砂みたいなもんだなって。

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たよりなげで、ひとつ失くしてもたぶん誰も

気づかない。

それでも、こんな星の砂みたいなわたしと

親しくしてくれたり、言葉をかけてくれたり

してくれている人達がいる。

noteのなかの幾人かの人達のアイコンを思い

浮かべる。

アイコンと言うよりは記事を通してもうひとつの

その人達の輪郭をみているような気がする。

たぶん、1年ちょっとのnoteの世界でわたしは

そんなふうにnoteの中の世界のことを感じて

暮らして来たのかもしれないなって思って

いたら。

出窓の下あたりでふいに遠くから男の子たちの

歌声が聞こえてきた。

自転車に乗って歌を幾人かで歌ってる

みたいだった。

広い宇宙の数ある一つ 青い地球の広い世界で
ちいさな恋の思いは届く ちいさな島のあなたのもとへ
あなたと出会い 時は流れる 想いを込めた手紙もふえる

彼らは声をあわせて歌をマスクの中で

歌ってるらしい。

ちょっとこもった声が聞こえて来た。

この歌聞いたことあるって思ったら、

MONGOL800の「小さな恋のうた」

だった。

あぁと、その声をふいに聞きながら

ちょっとふざけて歌っているのじゃなくて

真剣に彼らが歌っているのがわかって。

なんかわからないけど胸にじんときた。

いつしか二人互いに響く 時に激しく 時に切なく
響くは遠く 遥か彼方へ やさしい歌は世界を変える

あ、この後の歌詞、サビが聞きたいって思った

ところで彼らの声が遠く去って行くのが

わかった。

それでも段々ちいさくなる声は、微かに聞こえて

いた。

ほら あなたにとって大事なひとほど すぐそばに
いるの あなたにだけ届いて欲しい 響け恋の歌

夏の午後は、彼らの精一杯の声ですこし

満たされた気分だった。

ここ何日か、ずっと心が苦しかった。

じぶんのことを説明することの苦しさが

ずっと底流で漂っている気分だった。

そして、偶然のようにこの歌声に出会った。

まだちいさい彼らが、「小さな恋のうた」

この夏に歌っていること。

うまく言えないけれど、花火を観た後みたいな

すこし切ない気分と勇気をつれてきてくれた

みたいだった。

名前も顔もしらない夏休みの子供達、

ほんとうにありがとう。

風の中 音符が舞うよ どこどこまでも
あの歌を 耳のどこかに とじこめてゆく


     

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