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小説『サウダージ』/生きるか死ぬかのはざまにある、スパイス。

そばにいると熱い人。

あなたが来たことがわかるのは

あなたに体温があるからだ。

暑い日は、むりに涼しい場所を

求めて行脚するよりかは、もう暑いん

だから暑さとほどほどに仲良くする

しかないんだなってあきらめつつ。

クーラーは、まあまあ好きだけど。

書いている部屋にはクーラーはついて

いなくて。

西と東と南、たぶんあっていると思う

けど。

その3方の窓を全開にしてパソコンの前に

座る。

そして暑いけど、自然の風カモンって感じで

note書いたりしている。

今日は夜風が気持ちいいです。

母のいる部屋はクーラー三昧なので、たまに

降りていくとここは楽園か! と汗もひいて

ゆくのだけれど。

暑い時は熱いものを食べて、元気になるって

よくいうように。

あっつい時は、あっつい食べ物が出てくる

小説を読んで暑気払いすればいい。

わたしが真夏を感じる小説と言えば

盛田隆二さんの『サウダージ』だ。

これは東京の暑い夏の8日間を描いた作品。

タイトルが日付になってる。

登場人物はパキスタン人の労働者シカンデルさん

フィリピン人のバーのママのミルナさん

そして人材派遣会社で出稼ぎ労働者の方に

仕事の斡旋やトラブル解決などの仕事を

している日本人とインドのダブルスの主人公

風間裕一がいる。

この小説にはバゴーンとかサンパロック

いった調味料を使ったフィリピン料理や

パキスタンの辛い料理が登場する。

わたしは初めてこの小説で知った。

調味料をトマトとかなすとかインゲン

たまねぎなどを入れてじっくり

煮込んだ料理が登場する。

思い切り辛い。

舌が痺れきっちゃうようなそんな

スーパースパイシーな煮込み料理だ。

この小説は引用を禁止しますって書いて

あるので、一節は紹介できないけれど。

読んだ時はその時それってどんなもん

だろうって描写のままに想像していた。

そして細部よりも筋がやはり気になるので

そのままほったらかしにしていた。

で、今日何気なくググってみた。

その音がごっつい感じのバゴーン

この調味料を使った料理が、涼しい顏して

でてきました。☟


クックパッドって凄いなって。

クックパッドにお世話になった

ことのない私はちょっと感激して

おります。

まだまだあります☟

そしてサンパロックの調味料を使った

COOKPADはこちら☟


昔この小説を読んだ時。

生きるか死ぬかのはざまにいる登場人物たちの

熱気がそのままに伝わってきて。

たぶん口にしたとたん、からだのすみずみに

熱がフルスピードでゆきわたってゆくような

そんな想像をめぐらしながら読んでいた。

そしてこの間も、暑い日には熱い小説を

読んでみようって夜中、表紙を再び開いて

みた。

次のトラブルに備えるつかのまの安息の

ようにひと呼吸おきながらページをめくる。

みんなやるせなくて、切なくて。

何かを失ったまま、失ったものを取り戻す

ことの意味さえわからなくなっている。

そんな時、ひとりじゃないと感じるのは、

共に同じものを作り同じものを食べる

シーンだった。

ひとりだと仕方ない義務感みたいなのに

でもふたりだとなにかをわけあっている

至福感がある。

それも手につかないような解決策が見えない

時はなおさらそうに違いない。

たぶん、相手の身体がすぐそばにいてくれる

ことへの感謝みたいなものかもしれないなぁと、

つらつら思っていた。

そんな時の食事ってお腹がっていうより、心が

満たされてしまうからいつまでも忘れられ

なかったりする。

そういう罠がこの小説には仕掛けてあった。

そして、この小説はフィクションだから、

登場人物の裕一もシカンデルもミルナも

作り物なのだけど。

唯一リアルなのはこの料理だった。

裕一は出稼ぎ労働者の彼らの話を台所で

ビールを飲みながら話を聞いている。

飲酒が禁じられているのでビールを飲むのは

裕一だけだ。

彼らは裕一に料理をふるまう。

料理が作られるまでのプロセスも含めて、

描写されているから、どこかとてもリアルで。

よく考えるとこの小説でほんとうのことは

この料理たちなのだと気づく。

料理だけは輪郭も確かに存在している。

そのせいか私たち読者はこの8日間の出来事が

どこかフィクションであることを忘れてしまい

そうになるのだ。

暑い夏に熱い料理の小説を読むって、わたしの

今年の夏の過ごし方のひとつになりそうな

そんな予感がしている。

左利き アボカドヒネル どこかで逢える
右利きの アナタガキザム どこかに帰る




   

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