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揺れたり傷ついたり気づいたり。エッセイにはいつも時間が流れている。

第三回『THE NEW COOLNORTER賞』
エッセイ部門(8月15日〆切)募集中です!

noteを始めてから1年、日にちにカウントすると

300日と少し、毎日文章を書かなかった日は一度も

ないことになる。

みんなどんなふうに書いているんだろうって

いつも気になりながらわたしも書いている。

エッセイ講座のようなものに通ったことも

ないし。

誰かに教わったという記憶もない。

頭打ちながら、違うよねこれは違うよと

一文一文石を積み上げるように書いて

きたのかもしれないなって思う。

何かを書こうとする時ってどんな心の

動きがあるんだろう。

なにか針が触れるみたいに今なにか

感知したよね?

みたいな感じなのかもしれないけれど。

これについてなんか書きたいって心の針が

微動して。

それをいざ書き始めようとするときって、

そのエッセイの最後の。まる。句点については

あたりまでだけどまだ見えていない。

わりと空白だったりする。

ましてや答えがあるのかもわからないのだ。

そういう書き方しかできなくて、いつも

noteでも他の場所でもそうやって書いてきた。

わたしは今、微力ながらもご縁を頂き

第三回『THE NEW COOLNORTER賞』

エッセイ部門(8月15日〆切)の審査員を

担当させていただいています。

 そこで、いくつか拝読させて頂きながら

わたしが日ごろ考えているエッセイとは

みたいなものにとても似ていらっしゃるなって

方がいらっしゃいましたので紹介させて下さい。

渡辺杜太朗さん。


応募して頂いたのはこちらの作品です。


タイトルのエッセイ/ノスタルジー。

このタイトルを拝見した時、エッセイって

どこかノスタルジーな部分を含んでいる

ことがあるなって思った。

ノスタルジーは過去の領域に分類されるように、

エッセイを書く時にいきなり未来のことは

書けないわけで、なにかしら振り返る作業を

誰もがしている。

渡辺さんは、冒頭で

埼玉県にある西武園ゆうえんちがリニューアルしたらしい。気になってヤフってみた結果、僕は次の連休にでも自室でひたすらにNetflixと戯れる友達を誘って、早々に足を運びたくなった。そこはまるで、映画【ALWAYS 三丁目の夕日】の様な昭和の街並みを再現しているテーマパーク。その時代を生きていないゆとり世代の僕からしても、ノスタルジックな空気感が画面越しにホカホカと伝わってくる。

西武園ゆうえんちが一度終わってまた

リニューアルしたことを端的に表現されている。

読者の人がもし西武園ゆうえんちのことを

知らなくても、想像はできますよね。

そんな、導入部。

そしてそのリニューアルされた遊園地は、

なんだかノスタルジーな空気が漂っているのだと。

これもなんとなく頷けますね。

ここまでは誰もがノスタルジーってあれね、

あの感じよねって、読者の共感を誘うわけです。

しかし渡辺さんはそれがリニューアルとは言うけれど。

未来に属さないリニューアルだと気づく。

昭和という時代を、美しく輪郭だけをなぞったかの

ような。

なぞるだけではなく、現在に戻りたくなくなるような

装置がこのアトラクション施設には仕掛けられて

いるのではないかと、考察してみる。

ちょっと大胆に、たとえばこんなふうに。

ただひとつだけ、僕の心をモヤつかせる心配な案件がある。
それはケンとチャコの存在だ。ケンとチャコとは、映画【クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲】に登場する悪の組織。イエスタデイ・ワンスモアの首謀者の二人である。この恐らくカーペンターズになんの許可も取っていないであろう組織は、ストレス溢れる現代社会から逃避し、なにもかもが輝いていた昭和の時代をもう一度取り戻そうと、昭和の街並みを模した都市、20世紀博を建築しノスタルジックで懐古的罠を用いて、大人達を20世紀博に誘い、懐かしさに取り憑かれた大勢の大人達をここで囲っては未来ではなく模造の過去で永遠に暮らそうと企む組織のことである。

西武園ゆうえんちのリニューアルは人々を

ノスタルジーな場所に誘う装置だけれど

それを有名なアニメーションの映画に

なぞらえながら。

渡辺さんのこのエッセイを拝読しながら

エッセイを書くとはただただ過去を想いだす

作業だけではないことに気づかされます。

思い出というのはより美しく書き換えられ、肉付きよく誇張されたりと、なにかと蜃気楼の様に陽炎揺らめくものだと僕は思う。つきまとう懐古な影が未来へと帆を進める面舵の邪魔をするのはいかがなものかと感じる。

過去を書きながら現在にも照らし合わせる。

ノスタルジー誘う思い出を振り返る時、

記憶には彩りが添えらてしまうこと。

それがわたし達の中に住みついていることも

忘れずに、用意周到にノスタルジックな気持ちに

陥ることへの危うさについても言葉を尽くします。

そしてノスタルジーは、心地よさだけじゃなくて

弱った心に思い出は突き刺さるのだと再び

考察しながらも、それは西武園遊ゆうえんちの

リニューアルだけに限ったことではない。

ノスタルジーはあらゆる場所に仕掛けられている

ことだともういちど気づくのです。

これは渡辺さんが感じたノスタルジー論です。

でも、読者のひとりひとりに、過去の思い出とどう

向き合うかと、やさしく問いかけてくれている、

そんなふうに想うのです。

読者自身も過去とどうやって向き合っているだろう

かとすこし立ち止まらせてくれるような。

渡辺さんのエッセイは、1行ずつに思考の過程が

みえます。

そうかとわたしは気づきます。

1行なにかを問いかけたら次の1行でまたその

問いかけにじぶんなりに答えたりわからないと

思ったりする思考のプロセスをありのまま言葉に

する作業こそがエッセイを書くということなの

かもしれないと。

渡辺さんのエッセイを拝読しながら、あらためて

エッセイを書くとはどういう作業なのかという

ことを教えてもらった気がします。

渡辺さん、素敵なエッセイをありがとうございました。

「THE NEW COOLNORTER賞」エッセイ部門に応募

してみたい方はこちらをご覧くださいね。

■応募方法
その1
応募記事に、以下ハッシュタグを必ずつけてください。
#第3回THE_NEW_COOL_NOTER賞_ 8月参加
①ご応募いただけるのは、お一人様月に1作品までです。
②月をまたいで、他のテーマに複数応募することは可能です。
例)7月に1作品、8月に1作品応募 → 可
  8月に2作品応募 → 不可
※つまり、7月の文芸部門に参加いただいている方でも、別記事で8月のエッセイ部門にご参加いただくことは可能です。
③有料記事は応募不可です。
その2
応募の際は、応募記事とは別に、THE NEW COOL NOTER賞へ参加したことについての紹介記事を投稿してください。
紹介記事には、THE NEW COOL NOTER賞の以下のロゴを使用していただくようお願いいたします。

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