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恋なんかしてないくせに。9.11に惑わされてワン切りした日。(加筆修正してしまいました)

恋って、恋のなにかを綴るひとって。みんないま恋してる人なのかな?
って。
しているときと、していないときってどっちが書きたくなるんだろうって。

恋しているひとすごいと思う。ほんまに。
こんなに恋が遠くなってどうすんの? っていうぐらい遠いけれど。

そう思ったら恋のこと書きたくなってた。

バックが青で。下から仰ぎ見る感じのビルがふたつそびえたっている。
すがすがしく空に馴染んでる。

雑誌『paperback』のNEW YORK LOVES YOU。

ニューヨーク特集の雑誌を編集者のМさんから送られてきたのは、
まだ2001年の春ごろで。

わたしも、彼にお世話になっていたこともあって、彼が雑誌を突然
作りたくなって協力お願いできたら、っておっしゃるそのオファー
が、なによりもうれしくて。

短歌で参加させていただいた。

そのブルーバックに白抜きのタイトルの表紙を飾るのは、まだその頃は
健在だったワールドトレードセンターのツインタワーで。

それから、9月がやってきて。

誰もがしるあの場所で
誰もがしるあんなことが起きて。


その雑誌、vol1号の『papereback』は、なにかの予兆のように、
わたしにとっても忘れられない一冊になったのだけれど。

あの頃、まだこっち関東方面に引っ越してきたばかりで。
なにもかもが、個人的にも終わったあとだったので。
反射的に9.11の後、みんな終わってしまうんだ。
思っていたよりもワールズエンドは、早かったなって。

ひたすらに日々この世の終わりだと思ったわたしは、
一度だけある人の携帯に電話してしまったことがあった。

それもワン切りで。
ワン切りってそれ犯罪やん。

世の中が終わってしまう前に、一度だけでいいから声が
聴きたかったのだ。
とかって。声が聴きたいって、オーソドックスな!

携帯電話の番号も変えていたので、こないと思ったら
その人は律儀にも、ワン切りの愚行にちゃんと折り返し電話
してくれた。
知らん番号やのに!

めちゃくちゃ狂った文章書きはるのに、日常はいたって
グッドマナーなひとだった。

もう、ますますこっちの犯罪者意識が、植え付けられて
トラウマやん。

あんなに聞きたかった声なのに。

なんでかけてくるん?

なんども言うけどワン切りやで。

かけへんでもええんとちゃうの?

そんな気持ちを隠しつつ携帯にでた。

わたしだと知ったら、きっとあの人は怒るかスルーか、どっちかだよ
って思ってたら、わたしの名前をいつも呼んでいた呼び方で、呼んだ。

そんなことどーでもいいよね。どーでもいい。名前なんて誰が
呼ぼうがカンけーねーんだけど。

青いとかっていう年齢でもなかったけど。
終わりのない言い争いをクリスマスの翌日、夜中までして、
それ以来会ってはいないのに。
あの日の言い争いは、彼を取り巻く人間関係までをも、変えて
しまったし。

その後のわたしの日々に、かなりの逡巡と後悔をもたらして
しまったけれど。

<もう、あれからずっーとどうしていたの? ずっと気になってた>

って矢継ぎ早に問いかけてくる。

誰かとまちがってるんやないかい?

一瞬そんなことが過った。
あの思いがけないリアクションというか、今うそみたいに喋ってる
一応会話は成立してるよって、不思議だった。

そしてわだかまった時間が一瞬熱い紅茶の中で、溶けていったような
そんな錯覚に陥った。ちょっと盛ったけど。あの頃はほんとうに、
そんな
感じで。

喧嘩したときは、それこそもう死んでしまえばいいぐらい思っていたし。
死んでもいいよって思っていたのに。

あのざらついていた表面は、いまは摩滅してさらっとしてしまっている。

あれからずいぶん時間が経ちました。

その人の名前をみるたびに、どこかでこころがいやに、微動する感じが、
むかしはずっとしていたのに。

いまは、ただの文字の連なりのようにしかみえなくて。平気になった。
ただの漢字やん。
漢字テストみたいなもんやんって。

この平気になるまでの時間って、数えていないけれど、なんか
たいへんな時間やったと思う。年もとるわけや。

大人の人は、そういうことなにもなかったかのように雑踏を
歩いたりしているけれど、みんなえらいなって思ってた
中学生ぐらいの頃も同時に思い出していた。

恋のことなんか書きたくなって。すぐ削除してしまうかも
しれないけれど。

喧嘩したあのどろどろした日々もふくめてぜんぶ、
出逢わなければよかったと思ってないし、いまありがとうっ
て言いたいんやなって。

こんな戯言につきあってくださってほんとうにサンキューです!

ゆるすとか ゆるせないとか 声重なって
春の風 さらってゆくよ ほどけてゆくよ


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