ひきこもる君を残して〜親たちの休日〜|詩
6月の日曜日。
家から出たくない君を残して、
私たちは気晴らしに遠出した。
久しぶりの山、ロープウェイ
山上に降りてから、
植物園まで歩く。
思ったより園は離れていて、
日差しはきつかった。
二人して息を切らし、
何故か口数は少なくなった。
とにかく、前へ、前へ…
植物園の花は美しかった。
高山特有の清楚な花々。
私たちは笑顔になりながら、
きっとお互いに思っていたはず
(あの子にも 見せたかった…)
園を出て、見晴らし台に着いた。
遠くまでひらけたパノラマ。
手前には野生の紫陽花、
ビル、様々な色の屋根。
知っている街だけどどこか違って
見える
その先の海は青く、
どこまでも 優しく続いている
無言で眺めたあの時、あの横顔
「何」を考えていたのだろう?
二人だけの休日。
きっとまた、繰り返すだろう記憶。
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