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第4章#37 任せて育てる

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約3000字)


「育成」なんて、おこがましいので…

最初に、注釈をつけておく。
「人材育成」という言い方をすると、高みから物を言っているようでおこがましい。
しかし、便利で分かりやすいので、敢えて「育成」と言わせていただく。

「育成」とは、いわば、「仕事をしやすくなるための手助け」である。

第2章で述べた、「負担感」の軽減につながる。

授業がうまくなると、気持ちが楽になる。
生活指導の力が身につけば、日々の対応が楽になる。
若手が育てば、主任教諭が楽になる。
先生方の気持ちが楽になると、ゆとりが生まれ、子供たちにとって、とても良い環境になる…
という、良いスパイラルになる。

ここまでうまくいかなくても、管理職たるものそれを目指していく。
これが、「育成」


育成の範囲

主任教諭→主幹教諭→教頭→校長と役職が上がれば、当然、育成すべき対象の範囲は広がっていく。
つまり、校長は、全職員を育成する責務を負うわけだ。
しかし、それは、全職員に直接指導することとは違う

主任教諭は、担当する教諭を育成する。
教頭や主幹教諭に、育成の進捗状況や課題を報告する。

主幹教諭は、主任教諭を育成、とまではいかなくても、主任教諭に助言する。そして、教諭については、直接本人に助言したらその内容を育成担当の主任教諭に伝える。
教頭に、教諭や主任教諭の育成の進捗状況や課題を報告する。

教頭は、主幹教諭、主任教諭を育成する。教諭については、直接本人に助言したらその内容を、必ず育成担当の主任教諭に伝える。
校長に、全教員の育成の進捗状況や課題を報告する。

校長は、育成の方針を決め、教頭に伝え、教頭が人材育成の要となれるように、教頭を育成する。
教頭からの報告を受け、自分でも確認したのち、方針の追加や変更を行う。

このように、特に、教頭の育成は、校長にかかっている。


キーワードは「任せて育てる」

#34 組織の原理」でも述べたが、以前の学校は、「なべぶた型組織」だった。

「なべぶた型組織」では、トップの力以上に組織を発展させることが難しくなる。
人材育成にしても同様。

組織が組織として正常に機能するためには、順番を守ることから始める。
順番とは、「#6 職員会議スリム化の副次的効果と留意点」の、「付け足し~各職層の意識向上」に書いたとおりである。

付け足し~各職層の意識向上
私は、新たな情報を伝える際や課題について相談する際など、できるだけ順番を飛ばさないようにしています。
順番とは、
教頭⇒主幹教諭⇒各主任⇒全職員
単純なことですが、飛ばして話をしないことで、各職層の意識が向上します。

つまり、先程述べたような方法で育成を進めると、主任教諭や主幹教諭が、持てる力を発揮しやすくなる。

主任教諭の負担が増えるのでは?と思われるかもしれないが、若手と日々行動を共にする主任教諭をとばして管理職が指導していると、主任教諭が何か課題に気づいたとしても、果たしてこれは管理職からの指示なのか、本人がわかっていないだけなのか、指導していいのか、口を出さない方がいいのか、逡巡することになり、逆に大きなストレスになる。

だから、主幹教諭、主任教諭の力を十分に発揮できるよう、そして、教頭が育成の要になれるよう、校長は「任せて育てる」のだ。


教頭先生の育成① 具体例〈年度初め〉

まず、年度初めの1・2週間は、教頭にはできる限り、先生方の授業の様子を見に行ってもらう。
そして、教頭は、気づいたことを先生方にどんどん助言する。
同じく、校長も各学級を回り、必要であれば助言する。
(*この時の、助言は、必ずスモールステップで!)

そして、教頭と校長の見立てをすり合わせ、育成の方向性を決める。
例えば、
「〇年〇組の初任の先生、指導したことが改善しないから、学年主任に本人の課題を伝えて、まずはそれが改善できるよう重点的に指導してもらおう。」
「教頭先生は、〇〇学級を、1日に1回、見に行くようにしよう。」
「主任教諭には、教頭先生から確認しよう。」
というようなこと。

このように、対応していると、若手はまず、主任教諭に相談するようになり、主幹教諭や主任教諭は、教頭に報告・相談するようになる。
組織として正常に動くようになる。


教頭先生の育成② 授業観察後の打ち合わせ

教頭の中には、若手には指導しやすいが、主任教諭、ましてや主幹教諭、年配の先生には指導しにくい、という苦手意識を持っている人もいる。

授業観察については、「#16 授業観察のスモールステップ」に書いたとおり。
この時、実は教頭と、それぞれの先生方の指導の方向性について打ち合わせをしていた。

授業観察は、1単位時間。
校長はもちろんだが、できる限り、教頭にもしっかり見てもらう。
授業を見た後私は、教頭がその授業をどのように受け止めたか聞くことにしていた。
方向性が違っているときは修正することもあるが、なるべくその見方を尊重し、教頭から授業者に指導する内容を整理する。
一度、校長と確認しておけば、年配の先生に対してでも、自信もって指導できるだろう。

そして、授業者が校長に指導を受けに来た時には、教頭からどのような指導を受けたか確認するようにした。
教頭からの指導を受けてない場合は、「教頭先生からも話があると思うけど…」と前置きして話すことや、「教頭先生にも聞いてね」と、促すことを心がけた。

こうすることで、先生方の教頭に対する信頼度を上げていく。

これが、教頭に対する育成である。

事務仕事云々はさておき、教員の指導育成ができるようになってこそ、本物の管理職だと思っている。

教頭の仕事は、職員に仕事を割り振り進行管理をすることであり、すべてを自分で行うことではない。
実際は、そうやって割り振ったとしても、調査とか、業者とか、地域の方とか、日々様々な対応がある。
本来、教頭先生には、教員の指導育成に力を入れてほしい。
人それぞれ仕事のスピードは違うにせよ、指導育成をメインにできるような働き方ができれば、先生方に管理職の魅力を伝えることができると思うからである。

#26 先生方の助っ人」から


「任せて育てる」⇐忍耐

#24 対応力を身に付けよう」でも述べましたが、先生方に任せることで力が身に付くというのは事実です。
教頭先生も同じです。
そして、任せて育てるために、校長には、忍耐力が必要です。

校長としては、自分がやった方が早いなーとか、もうちょっとこうしてほしいなーとか・・・
つい言いたくなってしまうし、出しゃばりたくなってしまう。

しかし、教頭先生をとばしてしまうようでは、組織としてNG。
(こそっと見に行ってましたけど=^_^=)

教頭先生に対して指導をする際にも、言い方を工夫したり、小出しにしたり、気を使いました。

たった二人しかいない管理職ですから、大切に育てたいものです。
(「え?怒ってましたよね…」と、思われた方がいたらすみません。時々、怒ってました…だって、人間だもの…)

教頭先生を指導育成の要にすると、教頭先生の仕事が大変になるのでは?
と、思われるかも知れませんが、先生方から信頼されると、職員室の雰囲気がよくなり、仕事の割り振りもしやすくなると思います。

最初に述べたように、教頭先生や先生方が、「仕事をしやすくなるための手助け」が、育成なのです=^_^=


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