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第2章#16 授業観察のスモールステップ

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約2200字)

「#14 授業力up①校内研究は誰のため?」でちらっと触れたが、私の自治体では、管理職は、「平素から授業観察を行わなければならない」ことになっており、その方法としては「1単位時間程度とし、」「少なくとも年に2回以上実施すること」とされている。
私は、先生方に対し、各学期1回、年3回、必ず授業観察を行うことにしていた。
必要があれば増やすし、希望があればもちろん何回でも見に行く。



年度初めの視点

私は校長として、初任者や、異動してきた先生については、4月の初めに集中的に、授業開始部分、中盤、終末、給食、学級活動、朝の会、朝読書など、複数回に分けて見ることにしていた。
また、それ以外の先生方についても、新しい学級での子供たちとの相性などを、年度初めに確認しておいた。
そして、必要に応じて、指導・助言する。
課題がある場合は、年度当初に解決し、対応が後手に回らないようにしたいからだ。


授業観察の方法

1学期は、専科の先生以外は、国語を見せてもらう。
国語の授業を見れば、だいたいその先生の力量がわかる。

2学期は、自分の得意とする教科、領域。

3学期は、お任せ。
ただし、授業改善が進んでいない場合は、校長からリクエストすることもある。

必ず、略案を提出してもらって、私はそこに気付いたことを書き込む。
例えば、こんな感じ⇊⇊

板書が大変なことになっていたので、キーワードは「板書」
裏に、答え(立ったまま書いているので、ひどい走り書き!失礼(;^_^A)

授業後は、なるべくその日のうちに私のところに話を聞きに来てもらう。
そして、書き込んだ略案のコピーを渡して話す。
指導時間は、15分以内。
それ以上、いろいろ話しても一ぺんには改善できないからである。
スモールステップで、できるところから改善していく

は、よかったこと、前回指摘したことが改善されていた、など
は、問題点、改善点など
☆については、自分ができるところから改善していく。
「キーワード」で示してあるのが、今回の重点である。


授業観察のスモールステップ

私は、授業観察をするに当たり、自分の中で段階を決めた。
というのも、例えば、そもそも授業規律ができていないのに、主体的、対話的で深い学びを求めても、深い学びにつながる対話的な授業など望むべくもないからである。
主に、以下のステップで指導している。

授業規律…チャイムでの授業開始・終了・時間配分、子供たちの机上の事前準備、指名からの発言ルールの徹底、個人作業・考えさせる時間の確保、先生の声の大きさ、発問の量、個別指導 等

授業方法…導入の工夫、板書の方法(タイミング)、発問の内容、意図的指名、対話の方法、振り返りから終末 等

授業内容…学習の必然性、板書の内容、授業のねらい、授業展開、発問の質、教材分析、深い学びにつながる対話、振り返りの活用 等

評価…評価規準の設定、形成的評価、授業中の評価内容、個人記録の在り方 等

これらがすべてクリアしたら、その先生の優れているところの若手への伝授をお願いし、その方法等について助言することにしている。


授業観察の成果

前任校で実質2年目の先生に、「私、今回、初めて授業の内容についてご指導いただけましたよね。嬉しいです。」と、言われたことがある。
私は、その先生が自分の授業力の向上をきちんと自覚できていることが嬉しかった。
ここで、引用させてもらったF先生は、これまでの私のメモ入りの略案のコピーをすべて持っていて、二度と同じ指摘を受けないように気を付けているのだそうだ。
先生方の仕事のほとんどを占める授業
その授業力が向上すれば、先生方の負担感は相当減ることになる

校長にとっても、この授業観察はとても力になる。
先生方が20人いたとして、年3回60回の指導講評の練習になる。
私は、10年以上やっているので、単純計算で600回見たことになる。
しかも、各教科、領域の授業を見るためには、それぞれ学習指導要領で確認するなど、私自身の準備も必要である。
校長として、とても力がつく。そして自信になる。

管理職の先生、先生方ともに、この授業観察を有効活用してください。


余談

1単位時間見なければならない授業観察だが、私は、2度、途中で退散したことがある。
二人とも、臨時的任用(産休育休代替)の先生。
年度は違っていたが、二人とも、4月の授業だった。

一人は、あまりにも緩慢で同じことを繰り返すので、25分経ったところで、ギブアップ。
子供たちは、よく耐えられたと思う。子供たち偉い。
というか、ごめんなさい…
授業観察の前にも指摘したのだか、全くイメージがわかなかったらしい。
彼には、途中で退散した理由を伝え、「まず、主任の授業を見て、流れと時間配分をそのまままねしなさい。」と指導した。

もう一人は、大音量の声でしゃべり続けたので、15分でギブアップ。
授業観察前までも声は大きめで、声の大きさについては伝えてあったはずなのだが、この日は、張り切り過ぎてボリュームが振り切っていた。
しかも、本人は、夢中で気付いていなかったようだった。
子供たちは、よく耐えられたと思う。子供たち偉い。
というか、ごめんなさい…
彼には、声のボリュームはもちろんだが、先生の言葉数を減らすよう指導した。
教えることが好きな先生方は、つい、しゃべりすぎてしまう。
先生の言葉が多い授業は、いい授業ではない。
考えるのは子供たち、発言するのも子供たち。
先生の言葉数は、極力減らすこと。


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