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書き手のつぶやき。

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フリーランスのライター・ディレクターとしての話、教員としての話、子育ての話など、雑多なものいっぱい。
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2020年3月の記事一覧

過去の私を、超えられなくても。

過去の私を、超えられなくても。

押し入れの掃除をしていたら、昔つらつら書いていたノートが出てきた。

それは高校から大学にかけて使っていたもので、日記だったり、エッセイだったり、小説だったり、ただの散文だったりする、ただ「書きたいと思ったことを書く」だけのノートである。
今ではパソコンを使っているが、昔はシャープペンシルでびっしり書く方が好きで、ただただ熱心にノートに向かっていた。
最近めっきりしていなかったので、懐かしくてパラ

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トイストーリー的な4歳娘の「To infinity...and beyond!(無限の彼方へ!)」

トイストーリー的な4歳娘の「To infinity...and beyond!(無限の彼方へ!)」

「おかあさん、ろけっとにのろう」

4歳の娘が生み出す世界は、いつも唐突だ。

「ロケット?」
「こっち、こっち」

通称「ふとんのへや」と呼ばれている、その名そのまま布団が敷いてある部屋に連れて行かれる。

「はーい、ろけっとはっしゃしますー。はいってくださーい」

娘が羽毛布団に潜り込み、手の先だけぴこぴこ出して私を誘う。枕元には、ノベルティでもらったキーホルダーと、洗濯ばさみと、クレーンで取

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「お前は小説家になれない」

「お前は小説家になれない」

今、宮本輝のエッセイ「二十歳の火影」を読んでいる。

こどもたちが休校のさなか、私は「よし、本を10冊読もう」と決め、とりあえず近くの本屋で目についた本10冊を大人買いしてきた。そのうちの一冊が「二十歳の火影」である。

なぜこれを選んだかというと、ぱらぱらとめくったときに「私と富山」という章が目に入ったからだ。

幼少期、宮本輝氏が富山に住んでいたことは何となく知っていたが、彼の目から見て富山は

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