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家族のこと

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私は家族が大好きです。変わり者で破天荒な父と優しく器のでかい母、ちょっと早めに空へかえった兄の話を主に書いています。
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#今こんな気分

1月なんて嫌い

1月なんて嫌い

明けましておめでとうございます。

なーんつって。もう1月も下旬だ。
つまり1月が間もなく終わるということであり、2月がすぐそこまで迫ってきているということになる。
恵方巻が楽しみだ。

…………ていうか早くない?

1月の体感7日くらいだ。
これには理由がある。ちゃんとある。
これからその理由について勢いよく書きなぐって行こうと思う。

私は1月に腹を立てている。
今年の1月は嫌いだ。大っ嫌いだ

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じさまとばさま

じさまとばさま

今日は敬老の日。
私にはお祖父様が2人、なんと、お祖母様まで2人いる。
え?みんな樣にも2人ずつ?
そいつぁ奇遇だ。

お祖父様&お祖母様、計4名様とも既にお空の上にご案内されてしまった。

父が生まれ育った家庭は複雑であり、父と祖父母の関係は悪くもないが良好でもないといった感じであった。

お祖父様はとてもとても無口で、ほぼ喋らない人だったと記憶している。
話し声は低く小さく、幼い私には少しだけ

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父と娘

父と娘

私はnoteでもTwitterでも家族のことをよく話題にしている。
1番身近にある豊富なネタだ。
父も母も私にとっては幼い頃から「そういうもの」として存在しているが、周りから観ると2人ともなかなかのハードパンチャーらしい。

幸い家族の関係性は悪くなく、むしろ良好と言える。
実際noteでもTwitterでも「ほっこり家族エピソード」や「実録ポンコツ家族ストーリー」を書いている。(つもりである)

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父と七夕

父と七夕

父の胃がんの手術から10日が経つ。

当日はとにかく長かった。
9時間もの長い時間を、母と私は院内の一角にあるラウンジで過ごした。

ラウンジの近くには売店(ローソン)があった。
患者さんやその家族、ときには職員さん達が買い物をするためにひっきりなしに売店にやって来た。
そしてそこで買ったものをラウンジで飲み食いしていた。

母と私も特に飲みたいわけでもないが何となくコーヒーを買ってテーブル席へと

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父の薬

父の薬

最近の私は職場でも薬のセットをして、実家でも薬のセットをしている。

81歳の父、70歳になろうという母どちらもこれまで健康であり、定期的な受診や内服薬とは無縁の人たちであった。

父は去年の冬に新型コロナに感染した。
年齢も年齢なので心配していたが微熱と関節痛くらいで軽症であった。
その後、数日間あけて母と私も感染したが母が最も症状が強く救急を要請したほどであった。

「俺のせいでお前達に感染さ

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父とロボット

父とロボット

その後の父である。

その後の父とは1回目の胃がんの手術を終えた父のことである。
あと1ヶ月ほどで2回目の手術を受ける予定となっている。
今度の手術は厄介な、大きい方の癌が相手である。

前回の手術は胃の下の方にある早期の胃がんを内視鏡で切除するものであった。
医師たちも「きれいに取り切れました!」と満面の笑みで話しており心から感謝した。

ただ「病理検査の詳しい結果次第では全摘の可能性もまだあり

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忘れていくこと

忘れていくこと

近所に住む高齢男性が最近よく下着姿でウロウロしている。
1軒1軒ご近所のお家の表札をじっと見て指でなぞったり、門扉の把手をガチャつかせたりすることもあるそうだ。

私はそのオジイをよく知っている。
小さい頃から可愛いがってくれていたから。
よく声を掛けてくれていたから。
「かをちゃん、おかえり!」
「かをちゃん、運動会がんばれよ!」
「かをちゃん、ちぃとスカート短かすぎやしねえか」
「かをちゃん、

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近づく入院日

近づく入院日

父の入院日が近づいてきた。

今回の入院では胃の下方にある比較的ライトな癌を取る手術なので、さほど長い入院期間にはならない予定だ。

父が手術を受ける病院は実家からバス→電車→バスと乗り継いだ先にある。
遠くはないが近くもない。
70歳の母と杖歩行(長距離時)の私にとっては遠く感じる。

洗濯物を預かったり届けたりするのも大変だろうと考えた私は「お父さん、パジャマとかタオルはリースで良いよね?病院

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お兄ちゃん、またね。

お兄ちゃん、またね。

私には4歳年長の兄が1人いる。
聡明で勇敢で公平で、そしてとにかく優しい兄だ。

そう、兄はとても優しかった。

兄の優しさについていつかnoteに書きたいと思っていたが、それは少しつらい作業になるため躊躇っていた。
それでも書いてみようと、ようやく心が決まった。

兄は大学を卒業したあと就職し、その翌年には実家を出て1人暮らしを始めた。
1人暮らしを始めて数年たった頃、兄に病気が見つかった。

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父占い

父占い

これまでに手相を見てもらったことが2回ある。

最初は20代半ばのころだろうか。
友達の付き添いで行ったはずであるが、いつの間にか占い師さんに手のひらを見せている私がいた。
派手な化粧の占い師さんに「働く環境が大きく変わりそうね。」と言われてビックリした。
ちょうど転職を考えているときだった。
隣にいる友達をジロリと見る。
(あんた、占い師さんに転職のこと喋ったね?)
私よりも驚いた顔をしている友

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結婚と井戸

結婚と井戸

母は15歳の時に福島から上京し、下町のとある会社に住み込みのお手伝いさんとして就職した。
その会社には父も勤めていた。
父は母より一回り以上も歳上であった。

母は当時の父の印象を次のように語る。
「しょっちゅうズボンや上着を逆さに振って銭湯に行く小銭を探していた。」
「しょっちゅう二日酔いで仕事を休み、せっかく作った食事を無駄にしていた。」
「しょっちゅう社員寮を抜け出して飲み屋の女のところに入

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