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ツバサをください

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ノンフィクション、実話です。幼い息子の戦いの日々。
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ツバサをください 1【書けていた文字】

ツバサをください 1【書けていた文字】

 しかもそれは、「正しく書けていた字」が、ゆっくりと時間をかけて、だけど確実に「読むことが困難である、歪でバランスの悪い字」へと変化して行ったのです。
 もちろん、書いている本人も、とてもとても苦しそうで、見ていられないほどになって行く。
そうしていつの間にか、彼は「字が、書けなくなってしまった」。

 彼は「ぼくは発達障害」と言う作文を書き、それがとある賞に応募されることが決まり、「準特選」を頂

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ツバサをください 【発達障害】

ツバサをください 【発達障害】

 ― 彼が何故「字を書くことが出来ないのか」。

 それは、文字を書く為の筆記用具が握れない、手がない、指がない、腕がない、筋力がない、などの身体的障害によることが理由ではありません。

 そのような、目に見える疾患だとしたら、とてもわかりやすく、すぐにでも適切な支援を受けることが出来たかもしれないと、僅かでも考えてしまった自分に嫌悪感や罪悪感を覚えました。

 しかし、彼が持つ発達障害から来るも

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