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夜間飛行

著者 サン=テグジュペリ
訳 堀口大學
表紙装丁 宮崎駿

大人になってから再読した本。
新潮社の堀口大學訳を強く勧める。
夜間飛行と人間の土地の表紙装丁は、宮崎駿によるもの。

夕暮れ時、片付けてトラックの中でこれを書いている。


美しい写実的描写の静寂の中に、人の尊厳と葛藤が浮き彫りにされた作品。
リヴィエールの言葉を借りると
愛より大きい力を持った隠れた義務の観念
が描写されている。

サン=テグジュペリと言えば、「星の王子さま」を思い浮かべる人も多いかもしれない。
文句なしの名著なのは認める。
けれど、俺はサン=テグジュペリと言えば、この「夜間飛行」を推す。
どこか無人島へ本一冊持っていくなら、夜間飛行か志賀直哉の短編を持って行く。


大人になってからの感想を結論から端的に書く。

ファビアンは嫁大事になんでせんの?!
命がけの仕事の使命より新婚なら嫁のそばにおるべきやん
愛より大きい義務などない
ごめん、サン=テグジュペリ。
まあ、でもね、パイロットたちの人命がかかる仕事やから、ルール厳守、規律を徹底させる、するというのはわかりますよ?わかるけども。
しかしリヴィエールよく胃潰瘍にならんかったな。

こんなところだろうか。
結末を知っていても再読し始めると、眼下に夕暮れ時の海の光景が広がり、サン=テグジュペリの世界に引き込まれる。

さすが天才だなとしみじみ思う。

ブエノスアイレスから、静寂な夕暮れの水平線しか見えない海の上をパイロットになって飛んでみたい。
昔読んだ時、純粋に、そう思った。

サン=テグジュペリ自身、パイロットとして1920年代頃から飛行機関係に携わり、1944年にナチス戦闘機の撃墜により、地中海の海上にて行方不明。恐らくは、それにより亡くなったのであろう。

そんなパイロットとして日常的に見てきた彼の鋭い感性が散りばめられた操縦士目線からの夕暮れの風景や夜の星々の風景の描写が素晴らしく美しい。

彼の生きた時代、パイロットは命がけだった。
部下の命を守り、つつがなく荷物を運ぶという航空路の仕事を全うする為、支配人リヴィエールは非常に冷静であろうとする。

それと同時に、彼の人間らしい葛藤が描写もされている。

子どもの頃は、単純に静寂な夜や夕暮れ時の描写と冷徹なリヴィエールに腹を立てながら読んだ。

今は何となくリヴィエールの苦悩が推し量れる。
早く家族の待つ家へ帰ろう。

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