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イチ末端書店員が考える「不適切免税」の対策

難しい案件です。

国内での消費や転売目的での免税購入は認められない。しかし大量購入のすべてが転売を意図しているとは限らない。たとえば日本の文房具は質が高く、外国の方がカゴいっぱいに入れたボールペンや蛍光ペン、消しゴムを買っていくケースは珍しくありません。

超繁忙期で疲労困憊の現場に、免税にしていいかどうかの微妙な判断をその場で強いるのも酷な話です。そもそもいくつ以上が「大量購入」に当たるのか? 5個までは課税対象で6個目以降は免税なんてやっていたら何も解決しません。並び直されるのをいちいち注意するのも簡単ではない。

いちばんいいのは免税制度をやめること。購入時にいったん納めさせた消費税を出国時に還付する「リファンド方式」の導入は次善策と考えます(前提として、景気が回復するまでは消費税ゼロが望ましい)。

インバウンドで儲けたい国や企業からしたら、免税をやめる選択肢はないでしょう。しかし実際にレジを打っている末端従業員の感覚だと、必ずしもその見解が妥当とは思わない。

かつて免税をやっている書店で働いていました。いまの職場はやっていません。いずれも外国人観光客がかなり訪れるお店です。会社の規模の違いや様々な事情もあるから一概には言えませんが、前者は閉店しました。後者はいまも営業しています。

「タックスフリー?」に「ノー」と返す。それで買うのをやめるなら仕方ない。少なくとも書店では、ほとんどの方が快く購入してくれます。高額な画集や雑貨類であっても。先日は、明らかに日本語が堪能ではない観光客が村上春樹「街とその不確かな壁」を買ってくれました。3000円近くするのに。

本当にお客さんの欲しい商品、質の良い品物を置いていれば免税対象じゃなくても買ってもらえる。そこを目指す方が、より日本の長所を打ち出せてインバウンドに繋がるのではないでしょうか。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!