見出し画像

「4年前の支え」と「誇りたい同志」

2020年春。

某感染症の流行に伴い、各プロレス団体は興行を自粛。無観客で収録した試合をネットで配信する形へ切り替えました。

当時の楽しみは、毎週土曜に最新回がアップされた全日本プロレス。現在進行形の闘いから元気をもらえて助かりました。

緊急事態宣言が出てお店は休業。それでも荷物は入るので週に2度だけ出社しました。膨大な量の雑誌を棚に出し、まったく減らぬまま返品。そんな仕事を続ければ気分が滅入ってきます。人に会えず外出もままならない。プロレスだけが心の支えでした。

お客さんのいない静かなリング。そこで腹の底から叫び、がむしゃらに闘う姿に「俺も頑張ろう」と奮い立ったのを覚えています。

あの頃は前座の若手に過ぎなかった田村男児(だん)選手とライジングHAYATO選手。そんな彼らが世界ジュニア王座を懸け、後楽園大会で激突しました。ヘビー級のタイトル戦が組まれていたにもかかわらずメインで。

4年前、愛媛プロレスから参戦していたHAYATO選手を初めて見たときは「こんなに爽やかで健康的なイケメンがいるのか」と驚きました。それがいつしかヴィジュアル系の個性を打ち出すようになり、得意技に「シド・ヴィシャス」と命名。思想性を帯びたパンクなのです。

コメントや試合から確信しました。この姿こそ彼の本質だと。

なおかつリング外では好青年。決してエゴイスティックではありません。↓をぜひ。

社会生活でワガママを押し通すのではなく、内なる声をアレンジして仕事へ落とし込む。他人や多数派の目に囚われず、エゴで周りを振り回しもしない。そんなバランス感覚をHAYATO選手から学び、働き方に活かしています。

愛媛の人間ではないけど、パンクなハードボイルド書店員として同志の栄光を誇らせてください。

※最後にひと言。10日の試合後に亡くなった吉江豊選手。いつでも会場を沸かせてくれる明るいレスラーでした。まだ信じられません。ご冥福をお祈りします。

この記事が参加している募集

振り返りnote

すごい選手がいるんです

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!