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「5年前の思い出」&「特殊」だって

とてもいい記事です。

たしかに万城目学さんと森見登美彦さんには、なんとなく近いものを感じます。京都というキーワードもさることながら、モノの見方にもうひとひねり加えずにはいられぬ性が共通しているような。

変化球投手、というよりは真っ直ぐを投げてもナチュラルにスライダー回転したりシュートしたりするイメージです。直球を待っていない打者に「よしストレート!」と投げ込んでも自ずとボールが曲がり、しばしば痛打される。

思い出すのは2019年1月。

ちょうど芥川&直木賞が発表された直後です。かつて働いていた書店へ足を運びました。先輩が文芸書の棚の付近にいたので声を掛け、少しだけ立ち話をしました(よくも悪くも暇なお店なので)。

直木賞受賞作である真藤順丈「宝島」が山積みされていて驚きました。私の職場では早々に売り切れ、重版待ちだったのに。先輩いわく「ヤマを張った」。つまり必ず受賞すると踏み、取れるときに多めに仕入れていたわけです。さすがの慧眼。

一方、私は森見さんの「熱帯」が獲ると予想していました。その話をしたら「あれはないよ~」「特殊だもん」と一笑に付されてしまいました。

ただ、私だけが感じていたのかもしれませんが「そろそろ森見?」という雰囲気が多少なりともあったのは事実。もし真っ直ぐを投げていたらあるいは。でもそこで「特殊」を貫いてこそ森見登美彦という気もしました。

例の先輩がいまも文芸書担当をしているなら、万城目さんの「八月の御所グラウンド」が獲るとは予想していなかったはず。こういうことだってあるんですよと伝えたい。河崎秋子さんの「ともぐい」の受賞はしっかり的中させ、一等地に平積みしていると思いますが。

「特殊」だって直木賞を獲れる。なぜか若干励みになりました。万城目さん、おめでとうございます。次は森見さんです!!

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