「不条理な日常」を吹き飛ばせ
思い出すのは1998年の全日本プロレス。日本武道館で「世界最強タッグ決定リーグ戦」の参加チームが発表されたときです。
いくつか小さなどよめきが起き、「スタン・ハンセン&ベイダー組」で会場が大爆発しました。同年のドーム大会ですでに実現していたとはいえ、まさかまさかのドリームタッグ。欧州サッカーでたとえるなら、イブラヒモビッチとクリスティアーノ・ロナウドのツートップみたいなものです。
こういうリーグ戦は出場選手の「サプライズ枠」も期待感を煽る大切な要素。内藤選手の復帰が図らずもその役割を果たしました。9月に膝の靭帯を怪我して、まさか間に合うとは。。。
アメリカのプロレス界では、2003年に首の手術を受けたカート・アングルがわずか2か月で復帰しました。欠場前はヒール(悪役)だったのに、戻ってきたら大ヒーロー。そりゃそうですよね。我々の常識ではあり得ないことをやってくれたんですから。
ちなみにアングルは1996年アトランタ五輪のレスリング金メダリストですが、そのときも首を負傷していました。美談にしたらいけないのかもしれないけど、ファンがアスリートにこういう「非日常」を求めているのも事実でしょう。
私が子どもの頃、全日本プロレスの三沢光晴選手が右肩を負傷しても休まず、テーピングを自らむしり取ってエルボーを連発し、当時無敵だったジャンボ鶴田選手をフェースロックでギブアップさせたことがありました。もうただただ見惚れてましたよ。あの感動は忘れ難い。
だから内藤選手の決断に心から敬意を表します。「焦って復帰を決めたわけじゃないからご安心ください」というコメントにも「ファンの心理をちゃんとわかってるなあ」と感服しました。そして元・ライバル同士である内藤哲也&SANADA組はかつての武藤敬司&蝶野正洋組を彷彿とさせる華とドラマ性のあるチーム、佇まいだけで銭を取れるドリームタッグです。
今回は本腰入れて彼らを応援します。我々の日常が不条理だというのなら、もっと制御不能な非日常で吹き飛ばしてしまえばいい。期待しています!!
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!