「ハードボイルド書店員・Y2K☮の選書フェア」①
近頃、本屋で著名人の「選書フェア」をよく見掛けます。
私は一介の非正規書店員です。あらゆる意味において著名人ではありません。しかし本屋で働いているがゆえに、フェアを自分で考えて実現できなくもない立場です(時間と場所の確保がなかなかの高難度だけど)。ただ本音を言うと、大量の書籍を店内の一等地にドーンと平積みし、発注したパネルとかで飾り立てるのは好みではない。
本は煽られて買うものではなく、出会うべくして出会うもの。まだ見ぬ己を見出すためのもの。少なくとも私はそう思っています。
きっちり売り切ることのできる量だけを仕入れ、サラッと手書きのPOPを付け、店の片隅で静かに紹介する。それぐらいが身の丈に合っています。
もしいま「ハードボイルド書店員・Y2K☮の選書フェア」をやるとしたら、どんなラインナップになるだろう。考えてみました。多くてもお互いに大変なので、とりあえず7冊。ラッキーセブン。
いきなり絶版本でスイマセン。ぜひ復刊してほしい。様々な出版社から出ている名作ですが、元ネタや旅案内が充実しているこのシリーズなら読んで終わりではなく、その後の日常まで物語の余韻が広がっていきそう。
篠崎にある「読書のすすめ」の店主・清水克衛さんによるブックガイド。この本を読むと読書がしたくなるし、無性に新たな挑戦を始めたくなります。魂を熱く奮い立たせてくれる一冊をぜひお手元に。
前の職場を辞め、不安と期待を胸にぶらぶらしていた時期にこの本と出会いました。そしてnoteを始め、現在に至っています。もし著者のことが好きじゃなくても、この本及びこの本を書いた時の著者はきっと好きになるはず。
全13巻。1巻を読んだらあっという間です。「三国志」には「正史」と「演義」があり、両者はいわば格闘技とプロレスの関係性。この「北方三国志」は双方の長所をアウフヘーベンした奇跡の名作です。面白くて生々しい。
大傑作。読み終え、最初に考えたのは「どう頑張っても俺には書けない」でした。娯楽小説におけるひとつの最高到達点というか。フィクションだからこそ細部のリアリティが重要で、それが弱いと説得力を担保できない。
絵本です。できたら棚に置くときにシュリンクしたくない。中を見てほしいから。立ち読みで終わってしまったら切ない。でも一度開いたら家に持ち帰ってじっくり読みたくなるはず。
政治のことや憲法のことがイマイチわからない。野党は頼りないし、とりあえず自民党でいいのでは? そんな風に考えている方々にオススメです。あまり軽々しく言いたくないけど、これ読んどけば間違いない。
以上選んでみました。またいずれ続きをやるかもしれません。お求めはお近くの書店にて。