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「世の中」を回している者

総当たりのリーグ戦を2ブロックでおこない、得点トップの2名が最終戦で優勝決定戦。1991年から続く「G1クライマックス」の熱い戦いが今年も始まります。

私の「最注目カード」は9月30日(木)に後楽園ホールでおこなわれる「内藤哲也 vs 高橋裕二郎」です。

言わずと知れた元タッグパートナー同士の一戦。しかしいまや宇宙空間と地下5Fほどに人気と実績の差が開いています。内藤選手が負けると思う人はまずいないでしょう。前回の対戦(2014年)で裕二郎選手が勝っていることすら最近のファンには信じ難いはず。

しかし裕二郎選手に居場所がないかと言ったらそんなこともない。たとえば開幕戦。病み上がりである飯伏選手の相手は彼です。昨年ヘビー級に増量したウィル・オスプレイの一発目の相手も彼が務めました。

これは「裕二郎に当てればどういう状態かわかる」「裕二郎なら対戦相手の魅力をファンに植え付けてくれる」という会社からの信用を意味します(もちろん選手からの信頼も)。ベストバウト級の試合をするわけではないのですが「ジャストシンプルマッチ」というか、引き締まった戦いを毎回キッチリと見せてくれます。

元々はアマレスの下地を活かした豪快なパワーファイトが売りで、ムーンサルトプレスなどの飛び技も使っていました。しかし2015年に首の負傷で欠場してから明らかに身体が萎み、戦い方もインサイドワーク重視の小ズルい感じになりました。

最近知ったのですが、彼のスタイルが変わった原因は大胸筋の断裂だったようです。それで力が入らなくなったとか。裕二郎選手からしたら、長年積み重ねたものを一気に奪われた気分だったかもしれません。それでも生き残るために考え、自分自分ではなく相手やタッグパートナーの良さを引き出す方向へシフトチェンジ。なかなかできることじゃないです。

内藤選手の躍進を見て「俺だって怪我さえなければ」とジェラシーを抱いた時期もあったはず。でも私はいまの裕二郎選手が好きです。彼の頑張りを励みにしている部分もあります。スターと勝者だけでは世の中は回らない。その意地と誇りを存分に見せつけて欲しいです。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!