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ハードボイルド書店員が「元スペイン代表MF」から学んだこと

2010年代の初頭はサッカーに夢中でした。

といっても、見るのはほぼWOWOWのリーガ・エスパニョーラのみ。グアルディオラ監督の指揮するFCバルセロナが大好きだったのです。

キーパーを起点にして短いパスを繋ぎ、ボールを少しずつ前へ運ぶ。暗号を解いてゴールへ至るキーを探りつつ、緑のフィールドに美しい模様を描く。相手チームへじわじわとプレッシャーを掛け、綻びを見つけたらすかさず飛び込む。観戦するだけで右脳が鍛えられました。

中心はフォワードのリオネル・メッシ。シャビとイニエスタはパスを回し、機を見て前線へボールを送る役割を担っていました。もちろん彼らも点を獲ります。特にイニエスタはピンチの局面で鮮やかなミドルシュートを放ち、チームを救うことが何度かありました。

ただ基本的にはメッシのサポート。バンドでいえばベースやドラムでした。

しかし2012年のUEFA欧州選手権で、彼は別の一面を見せます。

当時のスペイン代表は主力選手の怪我もあり、フォワードを置かないフォーメーションをよく用いました。バルセロナでは左の中盤に入っていたイニエスタが真ん中でプレー。すると普段はパサーに徹している彼がドリブルで切り込み、相手ディフェンダーを数人抜いたのです。ソロデビューした渋いベーシストが甘い歌声を披露するように。

その時思いました。「この人、こういう個人技もできるんだ」「バルセロナではメッシがいるからやらないだけなんだ」と。

彼のプレースタイルは書店員としての自分の働き方に影響を与えています。かつてはメッシ級の上司がいたため、私はサポート役に徹していればよかった。出しゃばらない方が店のためだった。でもいまは。

メッシの代わりは無理。ただもう少し前に出るべきかな、と感じています。できないのではなくやらないだけ。そう言えるように精進したい。

たまにはミドルシュートを決めます。

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