巡宙艦ボンタ

巡宙艦ボンタ

マガジン

  • これからの未来を語ろう

    • 20本

    10/19発売

記事一覧

忘れ去られたツェッペリンたち/風船空撮の研究

 去る6月11日、埼玉某所川沿いにて謎の浮遊体が目撃されていた……というか謎の浮遊体を我々が掲揚していた。それはほとんどゴムとヘリウムガスの合体したものであり、あ…

巡宙艦ボンタ
2か月前
66

科学の冷たい眼 ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉についてのメモ

 街のど真ん中に巨大な競技場があり、そこにウマ娘が集う。ウマ娘とはなにやら有蹄類のような耳を頭上に持つ少女たちのことだ。  ゲート内に導かれた彼女たちは、客席に…

巡宙艦ボンタ
2か月前
37

異世界で写真を撮る方法ですか?(あるいは最近やっていることの説明)

 俺は平凡な高校生。趣味は写真、尊敬する人は森山大道とロバート・キャパ。その日も道を歩きながらストリートスナップを撮っていたところ、乗用車とトラックと電車(東武…

巡宙艦ボンタ
10か月前
34

『Cotillion』MV制作に関する覚え書き:または郵政と戦争とアニメーション

 本日、自分がアニメーションを担当した『Cotillion』のMVが投稿されました。皆さんはもうご覧いただけたでしょうか。  さて、本作はBilibiliに投稿されている事からも…

21

アークナイツのアニメーション

 アークナイツはスマホゲームである。それもアニメーション作品に恵まれたスマホゲームだ。8章ある本編シナリオのうち5章からそれぞれにアニメPVがある他、イベントがある…

11

しんぐ・あろんぐ しんぐ・ふぉ・あ・ろんぐ

Sing along, Sing for a long. はじめに これを書いているのは2021年12月4日の朝である。空には綺麗な青空が広がっており、太陽が出てもなお空気は冷えている。早朝に第…

36

ある映写機を巡る思いもよらない旅 -アークナイツ情報処理室アイコンについての覚え書き-

⚠️この記事にはアークナイツ本編8章含むあらゆるネタバレが入っている恐れがありますなぜ映写機の話をするためにそこまでネタバレをせざるを得ないのかよくわかりません…

6

わしとアークナイツと今

 さて、唐突だが最近ソシャゲを始めた。アークナイツだ。いや実は唐突ではない。おかしなことにちゃんと伏線のある出会いだったとも言える。順を追って話そう。  起点は…

13

スキュラレーエの博物学士

 ざわり、ざわり。  北方の山脈から吹く風に、盛んに騒ぐ森を抜けると、梢が消えて空が広くなった。長くて湿っぽい道を抜けた先に、小さな畑を持った、これまた小さな家…

30

家畜奪取プリキュア

「………え………」  夢の中で声がする。杖を持った禍々しい老婆が、その皺まみれの手であたしを指差す。 「………ばえ………」  イン〇タ映え………? 最近じゃもは…

7

RaspberryPiを使って(超初心者が)自作端末を作る

”将来現れるかもしれない盗人に、地獄に落ちよと呪いをかける写本もあった。しかしより確実な方法は、表紙の上か下かに鎖をつけて、書見台の下もしくは書棚の中の鉄の棒…

7
この記事は
マガジンの購入者だけが読めます。

人形劇が浅い眠りから目覚めるとき ~巡宙艦ボンタ~

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

100
12
忘れ去られたツェッペリンたち/風船空撮の研究

忘れ去られたツェッペリンたち/風船空撮の研究

 去る6月11日、埼玉某所川沿いにて謎の浮遊体が目撃されていた……というか謎の浮遊体を我々が掲揚していた。それはほとんどゴムとヘリウムガスの合体したものであり、あとはごく僅かなプラスチックパイプとビニール膜、小型アクションカメラから構成される。
 私は人々の助けを借りながら風船で空撮をする実験をしていたのだ。成果は上に掲げる通りであり、数々の貴重な小失敗を繰り返しながらも大部分で成功を収めることが

もっとみる

科学の冷たい眼 ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉についてのメモ


 街のど真ん中に巨大な競技場があり、そこにウマ娘が集う。ウマ娘とはなにやら有蹄類のような耳を頭上に持つ少女たちのことだ。
 ゲート内に導かれた彼女たちは、客席に座る大勢の人々が口々に上げる歓声の中、何かにとりつかれたかのように走り出していく。
 小判型に湾曲したコースをつばぜり合いを演じながら駆けるトップスピードはオートバイを超え車と比肩する。追い縋りあう出走者以外の世界は横に引き伸ばされ抽象化

もっとみる
異世界で写真を撮る方法ですか?(あるいは最近やっていることの説明)

異世界で写真を撮る方法ですか?(あるいは最近やっていることの説明)

 俺は平凡な高校生。趣味は写真、尊敬する人は森山大道とロバート・キャパ。その日も道を歩きながらストリートスナップを撮っていたところ、乗用車とトラックと電車(東武東上線ふじみ野川越駅間)が絡む事故に巻き込まれて異世界転生してしまった! この西洋中世なんだか近世なんだかよくわからない異世界でも写真を撮りたいんだけど、どうすれば良いのだろう?

 以上お便りでした。お久しぶりです、巡宙艦ボンタです。
 

もっとみる
『Cotillion』MV制作に関する覚え書き:または郵政と戦争とアニメーション

『Cotillion』MV制作に関する覚え書き:または郵政と戦争とアニメーション

 本日、自分がアニメーションを担当した『Cotillion』のMVが投稿されました。皆さんはもうご覧いただけたでしょうか。

 さて、本作はBilibiliに投稿されている事からもわかるように、幼安さんという非常に熱心な中国のVtuberファンからの発注で作られました。つまり作品の受容される先も多くは大陸のファンなわけで、日本の視聴者の方は「これは何の何?」という気持ちになったかもしれません。もち

もっとみる

アークナイツのアニメーション

 アークナイツはスマホゲームである。それもアニメーション作品に恵まれたスマホゲームだ。8章ある本編シナリオのうち5章からそれぞれにアニメPVがある他、イベントがある度にまた新しくアニメPVが発表される。加えてその他のYoutubeコンテンツにも様々なスタイルのアニメーションが見られる。アニメートの手法は多岐にわたり、トラディショナルな2Dアニメから、キャラクターデザインを忠実に守りつつ、ハンドドロ

もっとみる
しんぐ・あろんぐ しんぐ・ふぉ・あ・ろんぐ

しんぐ・あろんぐ しんぐ・ふぉ・あ・ろんぐ

Sing along, Sing for a long.

はじめに これを書いているのは2021年12月4日の朝である。空には綺麗な青空が広がっており、太陽が出てもなお空気は冷えている。早朝に第三回Vtuber楽曲大賞が発表され、もしかしたら自分の関わった楽曲も入っているかもしれないと思っていたが、無かった。第二回の『星凪の地』の時は無いだろうと思ってトイレに入り、出てからMV部門6位だと知らさ

もっとみる
ある映写機を巡る思いもよらない旅 -アークナイツ情報処理室アイコンについての覚え書き-

ある映写機を巡る思いもよらない旅 -アークナイツ情報処理室アイコンについての覚え書き-

⚠️この記事にはアークナイツ本編8章含むあらゆるネタバレが入っている恐れがありますなぜ映写機の話をするためにそこまでネタバレをせざるを得ないのかよくわかりませんがご了承ください

 ずっと気になっていたことがある

 ソーシャルゲーム『アークナイツ』内に存在する情報処理室のアイコンだ。正確にはこのアイコンに描かれている映写機のことがずっと気になっていた。

 なぜならアークナイツ世界にはビデオテー

もっとみる
わしとアークナイツと今

わしとアークナイツと今

 さて、唐突だが最近ソシャゲを始めた。アークナイツだ。いや実は唐突ではない。おかしなことにちゃんと伏線のある出会いだったとも言える。順を追って話そう。

 起点は『星凪の地』という素晴らしい曲のMVを作る、その以前に存在する。スマホ麻雀ゲーム「雀魂」で戦いまくり、血で血を洗うという趣旨の会が存在し、その場に居たのが星凪の地参加メンバーだった。そこでなにか作品を作ろうと言いだして星凪の地がスタートし

もっとみる
スキュラレーエの博物学士

スキュラレーエの博物学士

 ざわり、ざわり。
 北方の山脈から吹く風に、盛んに騒ぐ森を抜けると、梢が消えて空が広くなった。長くて湿っぽい道を抜けた先に、小さな畑を持った、これまた小さな家がある。
 家の主は今この瞬間、白い壁を持つ簡素な書斎の、木枠にいびつなガラスが嵌まった窓の下で、机に突っ伏して寝息を立てていた。丸椅子に腰を下ろし、背を丸めて、意識より深い場所で夢を見ていたのだった。
 そして次の一瞬には、燈芯が焦げて煤

もっとみる
家畜奪取プリキュア

家畜奪取プリキュア

「………え………」

 夢の中で声がする。杖を持った禍々しい老婆が、その皺まみれの手であたしを指差す。

「………ばえ………」

 イン〇タ映え………? 最近じゃもはや死語だよ………。
 そんな罵倒を知ってか知らずか、彼女は、その老いた体のどこから出ているのか分からないほどの声量で、叫ぶ。

「奪え!!!」
 洞窟の中に響くその絶叫は、耳の中で、けたたましく鳴る目覚まし時計のベル音へと変わった。

もっとみる

RaspberryPiを使って(超初心者が)自作端末を作る



”将来現れるかもしれない盗人に、地獄に落ちよと呪いをかける写本もあった。しかしより確実な方法は、表紙の上か下かに鎖をつけて、書見台の下もしくは書棚の中の鉄の棒に輪で固定することだった”

クラウディア・ブリンカー・フォン・デア・ハイデ (一條麻美子訳) 『写本の文化史 ヨーロッパ中世の文学とメディア』

”ドノヴァンが、「あれを見ろ!」と言って、きれいな目盛りのついた計器の上の文字を指さした。

もっとみる