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成功体験が増えると自信になる



彼と付き合ってから1ヶ月が過ぎた
12月のある日、
息子と一緒に彼の家に
お泊まりに行くことになった。


彼の住んでる家の最寄り駅まで
電車で1時間40分くらい。


いつもは私の地元まで彼が
会いに来てくれているから
今回初めて私たちが会いに行く。


彼は私のパニックのことは知っており、
こういう状況が苦手とか、
これは出来ないなど伝えてあり
理解してくれている。


前の週に息子の習い事の遠征で
電車とバスで2時間くらいのところまで
息子と2人で泊まりで行き、
何事もなく帰ってきてるので
彼のところに泊まりに行くのも
距離的には同じくらいだし
大丈夫だろうと思った。



この1ヶ月の間に、
彼の運転で1時間くらい車に乗って
出かけるということにも
チャレンジして成功している。


彼は電車に30分乗ったところの
乗り換えの駅で降りてくれれば
ピックアップしてくれると
言っていたのだけど、
そこから高速に20分乗って
下道で40分くらいかかるらしい。


電車には乗れるようになっているが、
車に対しての不安はまだかなりある。


私の頭の中は、
高速に乗れるかな……
途中で渋滞になったら?
電車で行こうかな……
具合が悪くなったらどうしよう……
車の中でお腹痛くなっちゃったら……?

この思考がループし続けていた。


予期不安が強く、
悩みすぎて疲れた。



妹や母に相談すると、
自分が運転してないから
大丈夫じゃない?
と言う。



自分が運転していなくても、
渋滞は嫌なのだ。


いつもパニックで具合が悪くなると
お腹が痛くなってくだしてしまうから、
彼の前でそんなことになったらと
考えると耐えられない。


お泊まりに向かうギリギリまで
私は決断ができなかったが、
冬休みに入っていて交通量も
多いだろうと予測し、
わざわざこんな日にチャレンジ
しなくてもまた来年の
普通の日にチャレンジしようと思った。


ピックアップしてもらうのはやめて
結局最寄り駅まで電車で行くことに。



帰りは私の実家まで車で
送ってくれると言っていたのだけど、
それはそれで嫌で、
電車で帰ろうかと考えていた。


健康な人なら喜んで
乗せてもらうのだろうけど、
日曜日は道が混んでる
イメージがあるので、
そんな中家まで
送ってもらうことも嫌だった。


準備をして母に駅まで
送ってもらいキャリーバッグ片手に
息子と電車に乗った。  


電車で行くんだから、
渋滞の心配は全くない。


母とバイバイしてから
駅の切符売り場に着いた頃、
いつもの違和感がやってきたのだ。



あれ?



私電車乗れるかな……



足の力が少し抜けてきたような、
いつものあの感覚だ。


久しぶりにやってきた。



今から1時間40分かけて
電車に乗らなければ行けないこと、
明日また同じ時間をかけて
帰らなければ行けないこと、
もし行きに具合が悪くなったら
明日帰って来れなくなるかもしれない、
帰るには電車か送ってもらうしかない、
息子がいるのに電車の中で
具合が悪くなったらどうしよう……


色んな考えが一気に
バァーーーーっと浮かんでくる。


とりあえず電車に座り、
発車まで5分。


その間に落ち着こうと試みる。


4分


3分


2分




扉が閉まるのがせまってくるにつれて、
不安感が大きくなっていく。

普段は抗うつ薬などの薬は
一切飲んでいないが、
お守りとしてもっていた
アルプラゾラムを咄嗟に口に入れ、
家族のグループLINEに
具合が悪いと連絡をいれる。


私の地元のローカル線は、
途中で降りてしまうと
次の電車が来るまでに
30-40分待たなければならない。


具合が悪い状態で
そんなに待つことを考えると、
とてもじゃないけど無理だと思った。



「〇〇駅なら迎えに行くよ!」


2駅先の駅の名前だ。



母がそう言ってくれたので、
とりあえずそこまで様子を見た。


降りたい……
帰りたい……
が本音だったが心の中で僅かに
このまま進んで見ようかな…
とも思ったので、
そのまま進んだ。



彼にも連絡をいれる。



具合が悪くて、
予定通りに着かないかもしれない…と。




そしたら乗り換えをした先の
H駅まで迎えに来てくれることになった。


こんなことになるなら
最初から車で
迎えにきてもらえばよかった…
と後悔したが、
その日にならなければ
分からなかったので仕方がない。


電車で息子が、
あれみて!と話しかけてくるが、
それどころではない。



話しかけてくれても
上の空で返事をしていた。



ごめんね。と思いつつ
その場をやり過ごす。


乗り換えた頃には
アルプラゾラムも効いていて、
待ち合わせの駅まで
ウトウトしながら
たどり着くことが出来た。



彼と合流して安心した私は
眠気に襲われ、
大丈夫?寝てていいよ。と
言ってくれたので
そのまま車内で寝てしまった。



その日は私たちに豪勢なお寿司を
ご馳走してくれると言っていて
予約してくれている日だった。



お寿司屋さんに到着した頃には
すっかり元気になっていて、
一体あれは
なんだったのだろうという気分だ。


お寿司をお腹いっぱい
食べさせてもらい、
彼の家へ向かう。


次の日の朝、
今日どうする?車で帰る?
という話になりGoogleマップをみると
私の家まで1時間となっていて、
渋滞している様子はなかった。



ほんとに?


疑いの目で見る私に、
車のナビも見てくるね。
と言って調べてくれた。

「ナビも1時間だったよ。


高速自体は30分くらいしか乗らないよ。」



と言うので、
チャレンジしてみることにした。



行ってみると本当にどこも
渋滞しておらず
本当に1時間で着いてしまった。



途中でカーナビに
事故のマークが付いた時は、
事故渋滞してるのかと思って
手汗がドバっと吹き出てきたが、
渋滞してなかったので大丈夫だった。



ナビの到着時刻と現在時刻を
交互に確認しながらの1時間だったが、
思っていたより早かった。


前の日に、お守りにしていた薬を
飲んでしまったことに
敗北感を感じてしまっていたが
高速に乗れたことで少し薄れた。



高速に乗っている時に、

『具合が悪くなると
お腹が痛くなって
トイレに行きたくなるから
それ考えたら本当に
乗りたくなかったんだ』

と伝えたら、
両手で受け止めるような手の形をして、
どうぞとでも言わんばかりの
表情をして優しく茶化してくれた。


お泊まりにいくまでの間
ずっと頭の中でループしていた考えも
吐き出してみた。


そんな私の話をいつも
絶対に馬鹿にしないで聞いてくれる。


妹にお泊まりのことを相談した時に、

『彼氏の車じゃなくてE(叔父の名前)の車
だったらそこまで行けると思う?』


と質問され、


うん。と答えた。


『じゃあお母さんだったら?』


乗れる。


そう答えると、


『本当にパニックだったら、
誰の車とか関係なく乗れないじゃん?
彼氏の車でだけそう思うってことは
パニック関係ないじゃん。

信頼関係とか、
安心感の問題じゃない?』



たしかに言われてみれば
そうかもしれないと思った。


私が本当に病気なら、
電車に乗ろうとも思わないだろうし
出かけられないはずなのだ。


それなのに自分のことを
分かってくれていて絶対に
どうにかしてくれる人の車には乗れる。


おかしな話だ。


でも付き合って1ヶ月と
ちょっとの人のことを信頼しきって
安心出来てる方がおかしくないか?


そう感じる私の心は
間違っていないはずだ。


彼と話をしながら
妹との会話を思い浮かべ、


(今伝えたみたいに
もっと彼にしっかり伝えてみよう。

そしてしっかりと安心出来る
基盤を作って行こう。)


そんな風に心に決めた。



地元についたら
ショッピングモールに
行くことになっていた。


駐車場が激混みで停められないので
場外の駐車場からバスに乗ることになった。


満員のバスに乗るのも嫌だった。


運転手さんに、
『最大でどれくらいかかりますか?』
と予め聞いてみると
10分くらいと言うので
それなら頑張れそうと思って
乗ってみた。


本当に10分ほどでついて、
何事もなく乗ることが出来た。


いつも予期不安が強いだけで
やってしまえばなんてことはないのだ。


無事にショッピングモールに着き、
ご飯を食べて帰宅。


何はともあれ、
電車に乗って彼の家まで行き、
帰ってこれたのだ。


そしてお泊まりから帰った3日後にも
お泊まりに行く約束を前からしていた。


電車のことが少しトラウマになっていて
またあの距離を電車に乗っていくと
思うと億劫だったが、
このままでは彼の家に行くたびに
薬に頼ってしまうんじゃないか…
という不安に打ち勝つために、
次は絶対に飲まないと決めて
再チャレンジをした。


約束の日になった。


仕事が終わり、
息子を学童に迎えに行き、
支度をして駅まで向かう。


仕事が終わったあたりから
またあの電車に乗ると考えると
動悸がしておさまらなかった。



駅に着いた時、
もう帰りたいと思った。


どうせまたなるんだ……と。


でも、そしたらずっと
自分から会いに
行けなくなるかもしれない。


その方が嫌だった。


彼に予め、


『途中で降りてもいいつもりで、
ゆっくり向かいます』

と連絡を入れると、


「ゆっくりおいで。
何かあったら時間はかかるけど
迎えに行くから」


と言ってくれた。




扉が閉まる数分前まで
降りたい…
と思っていたが腹を括って
そのまま乗ってみた。


最初の10分がしんどくて
友達にも連絡をいれる。


友達も、いつでも連絡してきていいし
電話もしてくれて構わないと
言ってくれた。


半分上の空で友達が貸してくれた
文庫本を読む。



10分をすぎた頃、
落ち着きを取り戻し
いつも通りに乗ることができた。


彼と友達が連絡をずっと
取っていてくれたこともあり
乗り越えられ、
上の空で読んでいた
文庫本にも段々集中できるようになった。


あと15分で着くぞという頃には、
電車の中で文庫本を読んで
笑いを堪えるという状態にまでなり
腹を抱えて笑いたい気分だった(笑)


電車に乗る前と、乗ってから10分の
あの時の自分に伝えてやりたい(笑)


あなた1時間後には
電車の中で笑いこらえてますよ。と。




乗り換えをして、
無事に彼の住む最寄り駅へ到着。




2回目は成功したのだ。



私はこの成功体験が
とても大切だと思っていて、
これを積み重ねることで
良くなっていくと思っている。



2時間近く電車に乗って
彼に会いに行こうと思えたこと、


薬は飲んだけど電車に乗って行けたこと、


高速に乗って帰ってこれたこと、


またチャレンジして
電車に乗ったらたどり着けたこと


1週間の間にたくさんの成功体験を
ゲットできた私は
この次の日も彼と息子と
車で1時間くらいのところまで
お出かけをしに行ったのだ。


3日前にも別のショッピングモールに
連れて行ってもらい、
道が混んでいるところがあったが
なんともなくその日を楽しむことができた。


彼が色んなところに無理なく
連れ出してくれるので
色んなところに
行けるようになってきて
とても嬉しい。


これからたくさん色んなところに
出掛けてみたいという気持ちも
生まれてきて、
感謝の気持ちでいっぱいだ。


次回彼の最寄り駅まで電車で行くのは
もう大丈夫だろうという自信がついた。


私の不安はだいたい思い込みが9割で
実際には起こっていない。

日曜日は道が混んでいて渋滞するとか、
そういうのは勝手な思い込み
なんだなと気付き始めた。


もちろんそういう日も
あるのだろうけど
私の想像していた
"混んでいる"とは違かった。

体験していない未知のことに
不安を抱いたところで
体験するまでそれは分からないのだ。


諦めずに3日後に再チャレンジした
自分に拍手を送りたい。


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