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詩とか散文みたいなもの
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修羅の道

修羅の道

皆んな誰しも心の内に修羅がある

笑い話になれない諸々も
亡霊みたいに取り憑いた過去も

みんな纏めて修羅の道

可愛いあの子の頭の中も
きっと地獄に通じているから

あなたは何も間違ってはいないよ

いつかは全て忘れるとして

いつかは全て忘れるとして

私は私の存在が忘れられる事が堪らなく恐ろしい。

他人の中から自分の存在が消えてしまうことは思ってる以上につらくて苦痛を伴うものなんだ。

母方の曽祖母が鬼籍に入る半年くらい前、入院しているところを家族で見舞った際に彼女はすっかり私のことを忘れ去ってしまっていた。

余所者を見る目つきで私のことをひどく罵ったのを今でも鮮明に覚えている。軽くトラウマ。

それもあり、晩年施設住まいになった祖母には会

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宛名なし

宛名なし

君は生きてて良いんだよ
どんな過去があっても
今がどんなでも
これからどうなろうとも

それを忘れずに

浮き沈みのある世の中ですが
帰れる場所がありますように
生きたいように生きられるように
君のままでいられるように

だからさよならは言わない

唄う人魚

唄う人魚

古びた缶詰の蓋を開けると、魚のぶつ切りと一緒に小さな美しい人魚が入っていた。

私は急いで風呂場に連れて行き、鱗に傷がつかないように慎重に身体を綺麗にしてやり、浴槽の水を海と同じ塩分濃度に調節した。

しばらく様子を眺めていると人魚は少しずつ息を吹き返し始めた。その晩はずっと隣で過ごした。

その頃の私といえば、立て続けに嫌なことが起こっていたものだからひどく心は疲弊していた。だから浴槽の人魚に弱

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何処か遠くに行きたくなったら

何処か遠くに行きたくなったら

何処か遠くに行きたくなったら
今ある全てを捨てて行きましょう
誰もあなたを知らないし
詮索もしてこない素敵な街に
そこで縁側付きの古民家を借りて
日がな一日空の表情を眺めて過ごす

でも本当はそんなことは出来ない
私たちには人間関係がある
仕事がある規律がある義務がある
しがらみに縛られているから
私はお気に入りの風景アルバム
眺めて巡る旅をします

それでも気持ちが収まらない時は
本当の本当に全

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さみしさと海

さみしさと海

さみしい気持ちに包まれたなら
涙の雨を降らせてください
部屋を満たして海になったら
私も近くの海に身を投げます
海の底の底の底の方で
身体が朽ちて砂に変わるまで
これまでの話を聞かせてください

喪失は深い青色

喪失は深い青色

どうしようもなく悲しいことが起きても
月並みの言葉しか思い浮かばないときは
私は静かに熱くて苦いコーヒーを差し出す
それを飲み干したら海にでも行こうよ
喪失の色は海と同じ深い深い青色

少年期のおわり

少年期のおわり

閉塞感ある将来に対して無意味に打ち震えていた少年の私に伝えてあげたいことがある。

君はちゃんと大人になれているよ。

大人になった君は、夜中、コーヒーゼリーに山盛りのバニラアイスを添えているよ。

富や名声なんかよりも、好きなだけバニラアイスをお皿によそえる人間が真に幸せなのだ。

山盛りバニラアイスこそ、メシア。

夜行性

夜行性

うちの子になるかいと
声を掛けてみるけど
聞こえない振り
何処かへ駆け出す背中を見送る
夜行性の生き物1匹

中途覚醒クラブ

中途覚醒クラブ

僕等は中途覚醒クラブ。眠りの園から門前払い。僕等は中途覚醒クラブ。行き場なしの閉鎖空間。僕等は中途覚醒クラブ。ひとりで過ごすには長過ぎる時間の中で。僕等は中途覚醒クラブ。夜明けのあかりが目に沁みる。あゝ僕等は中途覚醒クラブ。夜の、夜の向こうへ連れて行って。

生活

生活

東京での生活と地元での生活

両方居心地が良くて、両方どこか具合が悪い。

一体自分はどこの人間なんだろうと悩みたくなる。
恐らく人間の居場所はその時々で変わるのだろう。

仕事に出れば職場の人間、うちに帰れば家の人間、遊びに出ればそこのお客さま等、ひとの属性は不定形のものなんだと理屈を捏ねて自分を納得させようとする。

が、私が言いたいのはそういうことではない。

心の奥底にあるものの居場所のこ

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夜の思索

夜の思索

深夜を徘徊 / 無心にはなれず

夜はいろんな記憶の出入り口 / 何かを思い出すのは夜 / 忘れさせてくれるのもまた夜

不規則な夜の重力圏 / 行き場なしの閉鎖空間

写真

写真

無人のコインランドリー

あやしい雰囲気。
排他的で無機質な空間。
無人であることが最重要。

遺失物

恨めしさや哀愁。
取りに戻ってきた持ち主と遭遇しないこと。

無人の建物

有人から無人。
生活感の対岸。

枯れかけの草木

どんなものでも終わりかけが美しい。
もののあわれ。

そびえ立つ鉄の塊
上昇と落下。
想像の飛躍。


美と畏れ。
美と神秘性。