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三位一体と統一感【縄文天然温泉 志楽の湯】(1/2)

 これだけサウナに関する記事を更新している僕がこんなことを書くのはおかしな話かもしれないけれど、僕の一番の趣味はグルメである。正直、グルメへの興味関心に比べれば、サウナへのそれは微々たるものだ。サウナへの興味が薄いと言いたいわけではなく、それほど相対的に見ればグルメの優先度が高いということである。
 僕は社会に出てから、新規で伺った飲食店を全て記録していて、その数は今日7月12日時点で1,200軒以上にもなっている。そのジャンルは大衆居酒屋からイタリアンレストランまでさまざまではあるものの、僕は初めて伺う飲食店については、値段設定や料理の写真、そして口コミなど事前に得られる情報をもとに、それまでの経験を踏まえた期待値を設定するようにしている。その期待値を上回ればリピートしたり友人に勧めたりするし、下回れば再訪は難しくなる。
 この「経験を踏まえる」ということについて、僕はこの話を誰かにするわけでもなく、あくまで自分自身で消化していたために深く考えたことがなかったのだが、先日ある飲食店経営者と話をした時に、気付きを得ることができたのだった。
 その方は、全国に70店舗以上を展開する和菓子店を創業した起業家なのだけれど、新しく店舗を立ち上げる際には必ず自分自身でプロデュースを担うことにしているそうだ。
 僕は、それほどの数の店舗を展開するとなれば、店舗デザインの仕様については効率化のために全店舗で統一するものだと思っていたのだけれど、実際には店舗ごとにコンセプトを変えているらしい。提供する商品は全国共通で、接客についてもマニュアルのようなものが用意されているのだけれど、空間についてはそれぞれの地域性や文化に合わせてゼロから考えているということだ。これによって、”チェーン店らしさ” を感じさせないようにしているのである。

 その方いわく、本当に長く愛される飲食店というのは、ここで挙げた「商品、接客、空間」の三位一体が欠かせないらしい。どれか一つでも欠けてしまえば、お客は幻滅してしまう。たとえば、小学校の教室で味わうフレンチのフルコースは、きっと料理自体の完成度が高かったとしても、違和感を覚えざるを得ない。なんなら、その完成度の高い料理の価値が下がってしまう可能性すらある。
 だからこそ、その三位一体を構築できるかどうかが店舗のブランド価値を決定づけるそうだ。
 そして、その三位一体が成り立っているかどうかを判断するためには、絶対的に「センス」を磨かなければならない。感覚的に良いものと悪いものを判断できるセンス、感覚的に右か左かを分けることができるセンスのことである。
 以前に読んだ本『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周 著)でも似たようなことが論じられていたけれど、現代はモノ(=商品)で溢れていて、機能的価値の重要性が低くなっている分、それに反比例するかのように情緒的価値、つまり「コト(=意味)」の重要性が高まっているらしい。「なにを食べるか」ではなく、商品を介して「どのような体験ができるか」という話である。
 この現代のニーズに合う店舗をつくるためには、三位一体を実現するコンセプト設計とそれぞれの要素の統一感が欠かせない。教室に合うのは、給食か手作りのお弁当だろう。そしてこれは、温浴施設にも言えることなのだった。

ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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