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運が良いひと【スパリゾートプレジデント@御徒町駅】(2/2)

 御徒町駅に到着したのは昼の12時半ごろのこと。天気は快晴で日差しは強く、季節外れの半袖短パンスタイルで外出したにもかかわらず、全身からはじっとりと汗が出るくらい暑かった。まだ梅雨入りすらしていないはずだが、気候はすっかりと夏である。

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「こんなところで汗をかいている場合ではない」

 僕は妙な使命感に駆られて歩き始めると、駅から1分ほどで今日の目的地にたどり着いた。

「写真で見た通りだな〜」

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 そう、今回訪れたのはスパリゾートプレジデント、通称「プレジ」だ。プレジデントは僕がTwitterでフォローしている方々がよく利用していて、以前から気になっていたのである。
 こちらもカプセルイン大塚アスティルマルシンスパレインボー新小岩、そしてオリエンタル1などと同様にパチンコが併設されているけれど、例によって今回も深くは考えないようにしよう。

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 はやる気持ちを抑えきれず、そそくさと暖簾をくぐって中に入ると、目の前には階段とエレベーターがあった。どうやら受付は2階にあるらしく、僕は壁に貼られた大量のイベント告知ポスターを横目に階段を上ることにしたのだが、ここで驚くべき事実を知ることになる。

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 2階に到着し、奥に見える受付を目指して歩き始めると、ふと通路脇に置かれているポスターが目に留まった。なにやらキャンペーンを実施しているようだ。

「ん? お誕生日キャンペーン? ……えっ!!」

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 僕は知らなかったのだ。プレジデントでは、誕生月であれば無料で12時間コースを利用できてしまうことを。そう、何を隠そう僕は5月生まれなのである。これほどまでに運が良いことがあるなんて。もともと3時間コースでサクッと帰る予定だったので仕事道具のパソコンを持ってこなかったことが悔やまれるが、そんな贅沢を言っていられる場合ではない。

 思いがけず知ってしまったお得な情報に心を躍らせながら、僕は靴を下駄箱に入れ、念のため受付時にスタッフに「誕生月であれば無料なのでしょうか?」と聞いたところ、やはり間違いないそうだ。
 僕は免許証を提示して、ありがたくキャンペーンの恩恵を受けることにしたのだが、「もしよかったら来年もどうぞご利用ください」とまで言われてしまい、この時点で僕はプレジデントに惚れてしまった。

 受付を済ませてロッカーキーを受け取り、浴場に向かおうとしたところ、すぐ脇にフェイスタオルが積まれていることがわかった。そこから1枚手に取って奥に進むとロッカースペースがあり、指定されたロッカーを開けると中にはバスタオルと館内着が用意されていた。

 館内着に着替え、タオルセットを持って同じフロアにある浴場へと進むと、そのドア付近には荷物置き用の棚があった。僕は着ていた館内着とバスタオルをその棚に預け、いよいよ浴場へと足を踏み入れた。

「お〜、天井が高いな!」

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(プレジデント公式サイト: https://sparesortpresident.com/ )

 露天スペースは無く、窓から外気が入ってくるわけでもないのだけれど、天井がものすごく高いために開放感がある大浴場だった。
 さっそく身を清めてお風呂で体を温めたのだけれど、このお湯は二股温泉の石灰華の成分を溶け込ませた人工の炭酸カルシウム泉らしく、しっとりと優しい肌触りだ。

 ほどよく体を温められたところで、僕はいよいよサウナ室へと向かった。プレジデントにはドライサウナと薬草スチームサウナの2種類があるのだが、まずはドライサウナからいただくことにする。僕は全身の水分をタオルで拭き取って、ゆっくりと扉を開けた。

「広いな!」

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(aumo: https://aumo.jp/articles/53589

 先客は5人ほどいたが、物理的には15〜18人は余裕をもって座ることができる広さがあり、快適に過ごすことができそうである。僕は空いている最上段に腰をかけて、まずはサウナの仕様を確認した。
 サウナ室はとても広く、温度の維持が難しそうではあるが、正面の巨大な遠赤外線ガスヒーターがパワフルに室内全体を熱してくれているおかげで94℃に保たれている。
 僕のほかには40〜70代の常連と思われる個人客ばかりで、2人以上のグループで利用している人はいなかったため、結果的に会話が発生することもなく、とても治安が良い。そもそも、浴場内のいたるところに入浴のルールやマナーを促す注意書きが目立つように掲示されていることもあって、平和な気持ちで過ごすことができている。設備やセッティングよりも客層でサウナの満足度が大きく変わってしまう僕からすると、これだけで勝ったようなものだった。
 その様子に安心しながら、壁に埋め込まれたテレビの音声に耳を傾けていると6〜7分ほどで全身からは大量の汗が流れ出していた。呼吸は荒れ、心臓の鼓動が激しくなっている。

「そろそろ出よう……」

 僕は立ち上がり、サウナ室を出て全身の汗を流してから水風呂に肩まで沈み込んだ。

「うおおぉぉぉおおおおお!! なかなか刺激的!!!」

 水温は15℃でキンキンに冷たいのだが、一番の特徴は長崎が誇るサウナの名店「サウナサン」発の濾過装置、通称「サウナサンシステム」を導入していることだ。

 僕は今まで水風呂の水質に特徴を持っている店舗で満足できなかったことが無く、それはプレジデントも同様だった。その良質な冷水に身を委ねていると、30秒ほど経過したところで僕の身体は適度に鎮められたのだった。
 僕はそれからゆっくりと立ち上がり、すぐそばにあった ”ととのい椅子” に腰をかけて、大きく深呼吸をした。

「はぁ〜、最高だ……」

 そこで数分間の休憩をして、興奮状態にあった身体がすっかりと落ち着いたところで、次は浴場内の螺旋階段を上って薬草スチームサウナの扉を開けた。

「うわっ!! なにこれ!! すごいwww」

 中に入ると、熱を帯びた大量のスチームが僕の体を襲ってきた。沸騰したお湯の上に吊るされた状態を疑似体験しているようだ。その蒸気に圧倒されながらも、僕はなんとかサウナ室内のベンチに腰をかけることに成功した。
 室内は、さまざまな薬草がブレンドされた香り豊かな熱蒸気で満たされており、目の前は真っ白でなにも見ることができない。その状況において鼻呼吸などできるわけもなく、僕はタオルで口元を押さえながらやっとの思いで口から酸素を取り込んだ。
 おそらく室温はそれほど高くはないはずなのだが、皮膚が火傷するほどのスチームによって生命の危機を感じるほど体感温度は高かった。先日伺った赤坂のオリエンタルで受けたアウフグースを思い出したが、あの時のロウリュが常に発生しているような状態である。明らかに先ほどのドライサウナよりも身体への負担は大きく、心臓は破裂しそうになるほど激しく動いていた。
 正直、3分が限界だった。あまりの過酷な環境に耐えきれず、僕は外に飛び出して螺旋階段を下り、一目散に水風呂へと向かった。全身の汗を流し、肩までいっきに冷水に浸かる。

「うおおおぉぉぉおおお!! やばい!!!」

 ドライサウナよりもスチームサウナのほうが身体に負担がかかっていたためか、先ほど水風呂に入った時よりも強い刺激を感じた。全身が締め付けられるようだ。
 冷水に身を委ねていると、浅く小刻みに荒れていた呼吸は徐々に深くゆっくりと平常時のペースを取り戻し、心臓の鼓動も落ち着いてきたところで、僕は立ち上がって再び近くの ”ととのい椅子” に腰をかけた。

「これは、やばいぞ……」

 五感が研ぎ澄まされ、周囲の音がクリアに聞こえてくる。全身の力が抜けて、視界がぼんやりと揺らいできたところで、僕の意識は理性から解放され、ただ思うがままに宙を漂った。

ーーたまたま訪れたサウナがこれほどまでに素晴らしく、そしてタイミング良く無料で利用ができるキャンペーンの期間中に訪れることができるなんて、やはり僕は運が良いのかもしれない……。

 成功にしろ失敗にしろ、結果には原因が伴う。その原因の探求を怠った時に便利な言葉が「運も実力のうち」である。
 ただ、あえて原因を突き詰めずに「運が良かった」だけで片付けることができる心の余裕を持つことも、人生においては大切なのではないだろうか。きっと、さまざまな原因が重なって今回の幸運がもたらされているのだろうけれど、この際そんな細かいことは、もうどうでもいいような気がした。

「最高の気分だ……」

 僕の顔には、自然と笑みが溢れていた。

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 結局、僕はその後にいったん浴場を出て3階の休憩ラウンジで小一時間ほど過ごし、再び浴場に戻ってサウナを数セットいただいてから帰路に就くことにした。
 時刻は16時。僕は受付を済ませて階段を下り、暖簾をくぐって外に出ると、ちょうど2人組の男性が談笑しながら僕と入れ替わりでプレジデントの中に入っていったのだった。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
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①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます