曇り空の向こう側【レインボー新小岩店@新小岩駅】
この世には、無料のサービスがあり過ぎる。
フリーミアムモデルが普及しつつ、さらにテクノロジーが発達したおかげで、これまでは専門家にまとまった金額を渡さなければ手に入れることができなかったものであっても、現在は無料で簡単に入手することができるようになってきている。そういえば、noteも無料だ。
さて、なぜこのような話をしたのかというと、今回初めて行くことにしたサウナの公式サイトが、無料でWebサイトを作成することができるサービス「Wix」を利用されたものだったためだ。
そのサウナこそ、「カプセルホテルレインボー新小岩店」である。
(ちなみに、パソコンから開くとたどり着けないページに、スマホからアクセスすることでたどり着くことができる)
※今回の話を音声で聞きたい方はこちらから👉 https://youtu.be/W5lOqYhV0xs
そもそも新小岩に行くことになったきっかけは、たまたま新小岩にオフィスを構えている知人から別件で誘われたからである。せっかく生活圏外まで移動するのであれば、サウナも開拓しようと思ったわけだ。
しかし、新小岩は僕の普段の生活圏から離れ過ぎており、正直なところレインボーについて自ら調べたことは一切ない。たまたまTwitterのタイムラインに流れてくる「レインボー」という文字を認識していた程度である。にも関わらず、なぜか僕の頭の中には
【新小岩 × サウナ = レインボー】
という虹色の方程式が成立していたのだ。そう、新小岩に行くことが決まった瞬間にレインボーに行くことも同時に決まったようなものだった。Twitterよ、ありがとう。(Twitterも無料である)
お気に入りの「サウナイキタイ」のTシャツを纏い、いざ出陣である。
とはいえ、ここ最近は台風の影響もあり天気が不安定だった。そのため前日の夜も天気を心配していたのだが、幸いなことに10月12日(月)は曇り空ではあったものの雨が降る気配は無い。良かった。
ほぼ初めて降り立つ新小岩駅。土地勘はほとんどゼロに等しい。知人との用事を済ませた僕は、iPhoneを片手にGoogleマップに従って駅前のルミエール商店街を歩き始める。
どこか中野駅周辺や武蔵小山駅周辺を彷彿とさせるような適度なごちゃごちゃ感、人混み、田舎風情。ここに八百屋、精肉店、鮮魚店、パチスロ屋、おかしのまちおかが揃う。「商店街の全てがここに詰まっている」と言っても過言では無かった。
そんなことを考えながら歩いていると、商店街に入って2分も経たないうちに突然それは現れた。
「意外とあっさりだ…」
駅からの距離もあっさりだし、なにより外観があっさりだった。まさかこんなに商店街の中に溶け込んでいるとは思っていなかった。もっと独立した存在感を出しているかと思っていたのだ。おそらくネットで画像を見かけた「レインボー本八幡店」の印象が強く残っていたからだろう。
とはいえ、やはり目当てのサウナに到着すると気分も高揚するものである。たくさん写真を撮った。
(本当はこの3倍ほどの枚数を撮影した)
レインボーに到着したのは正午ごろ。
中は意外と広々としていた。今回は3時間コースで受付を済ませ、1600円(税込)を支払う。
脱衣所も広く、「UNDER ARMOUR」のCMに出ている長澤まさみバリに服を脱ぎ捨てた僕は、いよいよ浴場への扉を開けた。
「広い……というか、人が居ない……」
やはり平日の昼ごろは狙い時なのだろうか。とにかく空いている。僕を含めて5人程度しか見当たらない。サウナの中もガラガラであることがニオイでわかる。これならゆったりと過ごせる。
まずは身を清めて、体を熱に慣らすために、お風呂の中に足を入れてみた。
「冷たっ……!!! こっちは水風呂なのか!」
もしやと思い、その隣のバイブラ付きの浴槽の中にも足を入れてみた。
「こっちも冷たい…」
そう、圧倒的な存在感を放つ水風呂が2つ、浴場のド真ん中にあったのだ。しかも出入り口の近くに。そりゃあ、お風呂と間違うよ。というか、水風呂が主役じゃないですか。(褒めてる)
ちなみにバイブラの水風呂はパワーの調整を諦めたのか、大量の気泡が出過ぎて中心が山のように盛り上がっていた。まるで噴火だ。冷水がマグマに見える。早くサウナ後にちゃんと入りたい。
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僕は冷静さを取り戻して周囲を見回した。どうやらお風呂は浴場の一番奥にある円形の「ジャグジー風呂」と、その隣の「ひのき風呂」の2種類が設置されているようだ。サウナは「高温サウナ」と「ミストサウナ」、そして名前のついていないサウナ(※便宜上「サウナR」と呼ぶ)の3種類があった。
まずはジャグジー風呂に入ってみた。温度計は40℃を指していたが、ジャグジーの気泡によって少し冷まされているのか、そこまで熱く感じない。体感38〜39℃くらい。ひのき風呂の温度計も40〜41℃ほどを指していたが、こちらはそこそこ熱く感じた。
どちらも大人6〜8人程度はゆっくり入ることができるくらい広々としていたが、タイミングがばっちりだったので貸し切り状態である。実に快適。
「さて、体も温まったところで、いきますか」
3種類のサウナのうち、まずどこから入るか迷ったものの、レインボーさんが推している「高温サウナ」へと入ることにした。ドア付近に用意してくださっているサウナマットを掴んで中に入る。
「あっっっっっつ!!!」
……熱かった。それはそれは熱かった。ヒリヒリする。唇と髪の毛がどんどん乾燥していくのが分かる。慌ててサウナハットを被り、最上段である3段目へと向かったが、やはり猛烈に熱い。さてさて、温度は……
「116℃!? そりゃ熱いわ!!!」
心の中で叫んだ。普段は8〜10分程度はサウナ室にこもる僕も、流石に6分が限界だった。(本当は3分で出たくなってた)
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急いでサウナ室を出て、先ほどお風呂と間違って入りかけた水風呂へと向かう。と言っても、水風呂はサウナの目の前にあるのでシームレスだ。これは嬉しい。
頭から冷水を被り汗を流し、水風呂の中に肩まで沈み込んだ。
「キンッキンに冷えてやがる!!!」
本当に冷えていた。水温を確かめる。
「……14℃!? サウナからの高低差100℃オーバーじゃないか!!!」
少し動揺するも、とにかく今は熱し過ぎた体を冷やすことに集中しなければならない。とにかく冷水に包まれたい。じっと目を閉じた。
「10秒、20秒、30秒経過……。やばい。来るぞ来るぞ……。来た!!やばい!なんだこれは!やばい!」
時空が歪んだ。視界が揺れる。「インセプション」や「ドクター・ストレンジ」の世界線がそこにはあった。やばい。本当にやばい。「やばい」しか出てこないくらいやばい。周りに誰も居なかったから、耐えきれず声にも出した。
「やばいよやばいよ…!」
出川か。まぁそんなことはどうでもいい。本当に目が回る。焦点が定まらない。頭上に舞うミストがそれを加速させる。意識が朦朧としてきた。ここはどこだろうか。突如として目の前に現れた橋をものすごいスピードで駆け抜け、大気圏をそのまま突破した僕は、気付いたら宇宙を漂っていた。
「このままここに居たら、いよいよ本当に地球に戻れなくなる…」
さすがに命の危険を感じた僕は、足がふらつきながらも、浴場のいたるところに設置されている”ととのい椅子”の1つに腰をかけ、天井を見上げながら深呼吸をした。
「やばいよやばいよ…」
再び口にしてしまった。たぶん思考が停止しかけていたのだろう。
1セットをキメてから浴場を出て、休憩がてら1つ上のフロアへと向かう。ここには休憩スペースがあり、リラクゼーションチェアが並んでいる。漫画も豊富で、その隣のレストランでは昼から飲んでいる男性がちらほら居た。
ここで30分ほどの休憩を挟んでから、もう一度浴場へと戻った。次はミストサウナだ。サウナマットをお借りして扉を開けると、一気に大量の蒸気に包まれた。
温度は46℃と低めだが、湿度は100%に近く、体感では75〜80℃くらいだった。息ができないほどの蒸気で満たされた空間。これはこれで好き。
タイル張りのベンチに腰を掛けると、かすかに小鳥のさえずり(BGM)が聞こえてくる。そして視界に入ってくる鳥やワニ(の置物)。さらにポリエチレン製のグリーンガーランドが僕を囲む。謎のジャングル仕様だった。
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目を閉じて、ゆっくりと鼻で息を吸いこむ。ほのかに香るミントの清涼感。実に良い。落ち着く。高温のサウナとは違った味わいがあった。
じんわりと低温サウナで汗をかいた後に、さすがに14℃の水風呂に入ることはできなかった。そうか、こういう時のバイブラ水風呂か。こちらの温度は25℃らしい。
入ってみると、たしかに水の攻撃力は高くない。しかし、バイブラがバイブラしていて、なかなかのバイブラ。きっとこいつは”羽衣”によほど恨みがあるのだろう。執念を感じた。
そこから軽くジャグジー風呂で体を休めて、最後のサウナへと向かう。そう、「サウナR」だ。
中に入ってみると、想像していたよりも苦しむほどの熱さは感じない。10〜12人程度が入れる広さだろうか。とりあえず最上段である2段目へとのぼり、温度を確かめる。
「84℃か…」
どうしよう、ここまででインパクトの強いサウナを先に攻略してしまったから、無難中の無難に感じてしまう。ちょっと順番を間違ったかもしれない。強いて言えば、安定感のある万人受けするサウナ室ではあった。適度に熱い。適度に蒸される。THE 王道。ビバ 適度。
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10分ほど経過してサウナ室を出る。水風呂には入らず、水シャワーでサッと汗を流して浴場を出た。1セット目で体力をほとんど消耗してしまうほど全力を尽くしたので、これだけで十分だった。
さて、宇宙から無事に帰還した僕は、再び1つ上のフロアへ。今度は休憩室ではなくレストランに向かった。
「お疲れ様セット(350円※キャンペーン価格/通常700円)と「らージョ(450円)」を頼む。ちなみに「らージョ」とは、ジョッキに入ったラーメンのことである。僕も自分でなにを言っているのかわからないが、とにかく百聞は一見に如かずだ。
しめて800円(税込)である。
これを人は「お得」と呼ぶのだろう。ちなみに「らージョ」を食べたことによって、「人間は五感全てを使って食事を楽しんでいるのだ」ということを再認識した。それ以上でも、それ以下でも無い。
ただ、強いて言えば味は美味しかった。幼い頃にプールで食べたラーメンを思い出した。懐かしい味だった。
余談だが、この2つをオーダーすると一人で乾杯ができるようになる。
レインボーのレストランには、このほかにもサウナーの心をくすぐるメニューが豊富に揃っていた。普段の僕だったらカツカレー一択だったが、Twitter映えする「らージョ」の誘惑には勝てなかった。
(この他にも様々なメニューがある)
さて、そろそろタイムリミットである。3時間なんてあっという間であった。お腹と心を満たした僕は、受付で飲食代金の800円(税込)を支払い、レインボーをあとにした。
実に良いサウナだった。清々しい気分のまま、僕は新小岩駅へと歩き始めた。空は相変わらず雲が覆っていたが、3時間前と比べると、ところどころ晴れ間も見える。
改札を通過し、中央・総武線のホームに到着する。
「電車の到着まで残り3分か…」
その時、ふと顔を見上げると、そこにはなんと小さな虹がかかっていたのである……!!
「そうか、僕が宇宙に達した時に渡ったのはこれだったのか…!」
新小岩には、宇宙へと繋がる虹の架け橋があったのだ。この喜びは、有料だとか無料だとか、そういう次元の話ではなかった。
ありがとう、レインボー。
(written by ナオト:@bocci_naoto)
YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/channel/UCOXI5aYTX7BiSlTt3Z9Y0aQ
①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます