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映画「ミッドナイトスワン」を観て

12月30日「ミッドナイトスワン」という映画を観た。
2020年の日本映画で、内田 英治 監督の作品だ。

キャストは、凪沙(武田健二)役の草彅 剛桜田一果役の服部 樹咲桜田早織役の水川 あさみ片平実花役の真飛 聖などである。

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あらすじは、

故郷の広島を離れて東京・新宿で生きることを決断した凪沙。彼女は男性として生まれたが肉体の性別違和のため女性の姿で暮らしている。今にも崩れそうな自分を自分自身で支えさまよっている。親にはカミングアウトしておらず、定期的に親から電話がかかってきた際も男の声色で受けていた。親戚の娘・中学生の一果が彼女のもとに預けられることとなったが、叔父だと思い訪ねてきた一果は、凪沙の姿を見て戸惑う。
一果は親から虐待されてきたこともあり、当初は周囲に心を閉ざしていたが、凪沙の持っていたニューハーフショークラブの衣装(チュチュ)、そして近所のバレエ教室をのぞき見し先生から声を掛けられたことから、バレエ教室に興味を持つ(後に、一果は広島でバレエを習っていたことがわかる)。教室に体験入室した際、買い替えたばかりだからと一果に古いバレエシューズをくれた少女が、一果が通うことになった新宿の公立中学生のりんで、二人は友人となる。
性別適合手術のため貯金していた凪沙だったが、次第に一果が実娘のように思え、自分の理解者になっていく一果のため、バレエ教室の費用として貯金を切り崩す決意をする。そんな凪沙の応援あって才能を伸ばす一果だったが、ある時のコンクールで…。凪沙もタイで性別適合手術をするが、帰国後の無理がたたり、体調を崩していく。

出典:Wikipedia

と、いった内容。
で、観終わっての感想。

凪沙も一果も、一般世界と心が離れている同士

一見、凪沙と一果は、全く別の世界の人間のように見える。
でも、ボクが思ったのは、いわゆる一般世間から離れたところにいるのが、この2人である。
だからこそ、心の奥深い場所で、共感しあう2人がいるのだと思う。
では、一般世間とは、本当に”普通”なのだろうか。
この映画を観ていて、一般世間と呼ばれるところこそ、実は普通ではなく「異常」な世界であるように感じた。
離れた場所で、自分の中の本当の自分を、守ろうとしているのである。

実の母親より、母親らしい凪沙

一果の実の母親。ネグレクトがひどい。そして、母親になり切れていない。
感情のままに、自己中心的に生きる実母である。
それに対し、凪沙。一見、一果に冷たい態度で接するも、心の中は優しい。
一緒に生活してゆくうちに、一果に対し、自然に母性を感じる行動をとるのである。
身体は男でありながら、心の中は優しい女性。そして、その延長線上に母としての心も持ち合わせる。
いったい、どちらが母親なのだろう?と思ってしまうのだ。

「お母さん」と言われ、うれしくなる

バレエ教室の先生に、「お母さん」と言われたことに、うれしくなる凪沙。
ほんの些細なことではあるが、何の違和感もなくかけられたその一言で、心は弾む。
なんて可愛らしい”女性”なのだろうと、思ってしまった。
このシーンは、実は重要な気がする。
彼女は、これまでどんな気持ちで世間からひどい仕打ちを受けてきたのだろう。それが想像できてしまうくらい、”普通でありながら普通でないシーン”として、受け止めた。

命と引き換えの、性転換手術

生まれながらにして、女性の心を持ち、男性の身体を持つこと。
その苦しみは、想像の域を超える。
到底ボクには、想像さえできない。
性転換手術を受けて、命を落とす事態になってでも、女性の身体に”戻りたい”。それが、苦しみの答えではないだろうか。
一見、周りから観たら、バカげているように見えても、それは本人にしか分からない苦しみなのだ。

だからこそ、個々の生き方を、周りにいる人は誹謗中傷しないこと。

それこそが、必要だと感じるのである。

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