茉莉亜まり

ことばのひとです。ことばにはっとしたりとっつかまったりだきしめられたりすてきにとりつか…

茉莉亜まり

ことばのひとです。ことばにはっとしたりとっつかまったりだきしめられたりすてきにとりつかれたりします。もうすこし書くと川柳と詩とエッセイのひとです。

記事一覧

ギャラリーあいうゑむ@須磨

7/1〜15まで、ひねもす連句の会グループ展の中で、とし総子さんと川柳、詩の展示をさせていただいています。 本を1冊手にとっていただくのはなかなかにハードルが高いので…

茉莉亜まり
15時間前
2

満月刺す塔

嘘という雨どっさりとまた多弁 どっと闇ころしたものは灰に埋め 切り捨ててうすいカミソリうすみどり ドクダミの十字罪など詰め込んで 神判を下す満月塔に刺し #川柳

6

ふたばZINEフェスティバルの白い幻

ふたばZINEフェスティバル、様々な方とことばを交わしたり旧知の方が通りがかってくださったりで、文芸アドレナリンが出っぱなしあっという間の5時間でした。 ひと瓶に川…

6

ふたばZINEフェスティバルの白い幻

ふたばZINEフェスティバル、様々な方とことばを交わしたり旧知の方が通りがかってくださったりで、文芸アドレナリンが出っぱなしあっという間の5時間でした。 ひと瓶に川…

2

曇天の彼方とほどけ方

くもり空が続いています。近年、気圧弱者ということばを耳にし、こ、これだわ、よくぞ名付けてくれたことよ、と合点しました。 頭痛もちは小学校の頃からで、からだが女の…

7

ひねもす句会グループ展のお知らせ

昨年、須磨のあいうゑむさんで展示をさせていただいたご縁で、徳島からお見えの梅村光明さんが講師兼捌きをおつとめくださる連句の会 「ひねもす句会」に連ならせていただ…

茉莉亜まり
10日前
8

墓標空白

白昼に満月きのう遇った人 三つ買う呪文月夜の露店にて 紙の月不実の半分を愛す 冤罪のはや十度目で虹を出す 約束の時間へ空は深くなる 墓標空白天使の羽を葬って #…

茉莉亜まり
11日前
15

山梔子(くちなし)

夏の気配の深くなった 朝を歩く 葉ばかりを繁らせた 山梔子の茂みから その命を終え 褐色に朽ちたその白い花のあとも いつしか消えていた そこかしこに その一瞬を叩きつ…

茉莉亜まり
11日前
11

満月抱くやわらかな音

おかやまより東行 最終鈍行の車窓より。 今宵、夏至。 雲ひとつたなびかぬ宵漆黑は  満月抱くやわらかな音 #短歌 #tanka #月音花声

茉莉亜まり
13日前
6

ポップな闇

かたくなな闇ふわふわとまたひとり ふるるるるポップな闇へすべり込む ブラウスはシルク闇こそやわらかい #川柳 #Senryu   #月音花声

茉莉亜まり
2週間前
8

呪のひかり

紅の衣にシャーマンは裸足 囚われの宿世の暗く美しい 呪のひかり貝殻に月閉じ込めて #川柳 #Senryu   #月音花声

茉莉亜まり
3週間前
8

終わりしか見ない

やすらかにちいさな村に旗立てて この旅の果てへ果てへと波に風 たたかひは終わり終わりと海へ出る 一巻の終わり辺りに植える種 終わりしか見ない瞳であたたかい #川

茉莉亜まり
3週間前
9

朝顔の花冠

いつも死を思えば朝顔の花冠 1週間ほど家を空けてのち帰宅した翌朝、 双葉も本葉もなしにひょろりんと伸びた 蔓に今季いちばんの朝顔が咲きました。 引っ越した娘が今年…

茉莉亜まり
1か月前
7

届かない月

愛だからぢゃなくて 月が満ち満ちている 捨てに行こう 月の寒さを あの気高き山を越えたところの 湖へ 愛だったとかぢゃなくて あすから欠けてゆく その月を 世界のあっ…

茉莉亜まり
1か月前
3

まっしろな

さざずずずと 鳩尾からこぼれる いまへの違和と 未来へと向かう あしあとと もどってもすすんでも 愛にはもう遅い つぎのページにあるのは 青色のペンで描かれようとして…

茉莉亜まり
1か月前
4

たすけての便りはソーダ水の泡

ふつふつの たすけてといふ泡として ソーダ水には無限の記憶 #川柳 #Senryu   #短歌 #tanka #jtanka #月音花声

茉莉亜まり
1か月前
9
ギャラリーあいうゑむ@須磨

ギャラリーあいうゑむ@須磨

7/1〜15まで、ひねもす連句の会グループ展の中で、とし総子さんと川柳、詩の展示をさせていただいています。

本を1冊手にとっていただくのはなかなかにハードルが高いのですが、会場でさまざまな川柳一句に出合っていただけるのはありがたいです。

今年の2月に初開催されたおかやまZINEフェスティバルのときにはじめてこしらえたことのはこびん。ひと瓶に川柳一句。この度の瓶にはことばの種としてふうせんかずら

もっとみる
満月刺す塔

満月刺す塔

嘘という雨どっさりとまた多弁

どっと闇ころしたものは灰に埋め

切り捨ててうすいカミソリうすみどり

ドクダミの十字罪など詰め込んで

神判を下す満月塔に刺し
#川柳 #Senryu #月音花声

ふたばZINEフェスティバルの白い幻

ふたばZINEフェスティバル、様々な方とことばを交わしたり旧知の方が通りがかってくださったりで、文芸アドレナリンが出っぱなしあっという間の5時間でした。

ひと瓶に川柳一句を積めた「ことのはのこびん」は、ぽろぽろとお連れいただけました。自身のことを思うと、本1冊を手にとって開くのはすこし心に負荷がかかります。まして作者が目の前に座っていたりするとなおさらです。

作り手にすれば、本を手にとって開い

もっとみる
ふたばZINEフェスティバルの白い幻

ふたばZINEフェスティバルの白い幻

ふたばZINEフェスティバル、様々な方とことばを交わしたり旧知の方が通りがかってくださったりで、文芸アドレナリンが出っぱなしあっという間の5時間でした。

ひと瓶に川柳一句を詰めた「ことのはのこびん」は、ぽろぽろとお連れいただけました。自身のことを思うと、本1冊を手にとって開くのはすこし心に負荷がかかります。まして作者が目の前に座っていたりするとなおさらです。

作り手にすれば、本を手にとって開い

もっとみる
曇天の彼方とほどけ方

曇天の彼方とほどけ方

くもり空が続いています。近年、気圧弱者ということばを耳にし、こ、これだわ、よくぞ名付けてくれたことよ、と合点しました。

頭痛もちは小学校の頃からで、からだが女の子になってからはいわゆる月経困難症で、数日続く頭痛の間は市版の頭痛も効かず、ずきずきに合わせるように嘔吐を続けては胃の中を洗浄するようなことで、ただただ嵐が去るのをじっと待つのみでした。その様子を見慣れることとなってしまった当時3歳くらい

もっとみる
ひねもす句会グループ展のお知らせ

ひねもす句会グループ展のお知らせ

昨年、須磨のあいうゑむさんで展示をさせていただいたご縁で、徳島からお見えの梅村光明さんが講師兼捌きをおつとめくださる連句の会

「ひねもす句会」に連ならせていただいています。

「十七季」をぱらぱらと繰り、浅学ははじめて知るゆたかな日本語に出合いながら出句しますが、連句のきまりごとはまだまだ頭に入ってはおらず、入っているものも、句を考えているとどこへやらでついつい頭から飛んでしまいがちです。

もっとみる
墓標空白

墓標空白

白昼に満月きのう遇った人

三つ買う呪文月夜の露店にて

紙の月不実の半分を愛す

冤罪のはや十度目で虹を出す

約束の時間へ空は深くなる

墓標空白天使の羽を葬って
#川柳 #Senryu #月音花声 #創作大賞2024

山梔子(くちなし)

山梔子(くちなし)

夏の気配の深くなった
朝を歩く

葉ばかりを繁らせた
山梔子の茂みから
その命を終え
褐色に朽ちたその白い花のあとも
いつしか消えていた

そこかしこに
その一瞬を叩きつけるように
一気懸命に降りそそぐ
蟬の声

と、すすみゆく季節の
忘れ形見として
世界が見逃して
たいせつに残していた
名残の山梔子

そのいち輪の真白に
きょうという日を託される

生きて

どんな風に生きようと
#詩 #p

もっとみる
満月抱くやわらかな音

満月抱くやわらかな音

おかやまより東行

最終鈍行の車窓より。

今宵、夏至。

雲ひとつたなびかぬ宵漆黑は

 満月抱くやわらかな音
#短歌 #tanka #月音花声

ポップな闇

ポップな闇

かたくなな闇ふわふわとまたひとり

ふるるるるポップな闇へすべり込む

ブラウスはシルク闇こそやわらかい
#川柳 #Senryu   #月音花声

呪のひかり

呪のひかり

紅の衣にシャーマンは裸足

囚われの宿世の暗く美しい

呪のひかり貝殻に月閉じ込めて
#川柳 #Senryu   #月音花声

終わりしか見ない

終わりしか見ない

やすらかにちいさな村に旗立てて

この旅の果てへ果てへと波に風

たたかひは終わり終わりと海へ出る

一巻の終わり辺りに植える種

終わりしか見ない瞳であたたかい
#川柳 #Senryu #月音花声

朝顔の花冠

朝顔の花冠

いつも死を思えば朝顔の花冠

1週間ほど家を空けてのち帰宅した翌朝、
双葉も本葉もなしにひょろりんと伸びた
蔓に今季いちばんの朝顔が咲きました。

引っ越した娘が今年の3月まで住んでいた奈良大和郡山の佐保川のそば、「の山にいでし月かも」と続けたくなるメゾン三笠の、北東には若草山を臨むアパートのベランダで咲いていた朝顔です。

娘は当時の職場の先輩から「咲いてのお楽しみ」と、どんな朝顔かを知らされず

もっとみる
届かない月

届かない月

愛だからぢゃなくて
月が満ち満ちている

捨てに行こう
月の寒さを
あの気高き山を越えたところの
湖へ

愛だったとかぢゃなくて
あすから欠けてゆく
その月を

世界のあっちのほうのすみっこと
世界のこっちすぎるすみっこと
うんと手を伸ばして
届かないを届けながら
届かないままを
愛して
#詩

まっしろな

まっしろな

さざずずずと
鳩尾からこぼれる
いまへの違和と
未来へと向かう
あしあとと

もどってもすすんでも
愛にはもう遅い

つぎのページにあるのは
青色のペンで描かれようとしている
空になる手前の
まっしろな

#詩