茉莉亜まり

ことばのひとです。ことばにはっとしたりとっつかまったりだきしめられたりすてきにとりつか…

茉莉亜まり

ことばのひとです。ことばにはっとしたりとっつかまったりだきしめられたりすてきにとりつかれたりします。もうすこし書くと川柳と詩とエッセイのひとです。

記事一覧

満月抱くやわらかな音

おかやまより東行 最終鈍行の車窓より。 今宵、夏至。 雲ひとつたなびかぬ宵漆黑は  満月抱くやわらかな音 #短歌 #tanka #月音花声

茉莉亜まり
4時間前
2

ポップな闇

かたくなな闇ふわふわとまたひとり ふるるるるポップな闇へすべり込む ブラウスはシルク闇こそやわらかい #川柳 #Senryu   #月音花声

8

呪のひかり

紅の衣にシャーマンは裸足 囚われの宿世の暗く美しい 呪のひかり貝殻に月閉じ込めて #川柳 #Senryu   #月音花声

茉莉亜まり
11日前
8

終わりしか見ない

やすらかにちいさな村に旗立てて この旅の果てへ果てへと波に風 たたかひは終わり終わりと海へ出る 一巻の終わり辺りに植える種 終わりしか見ない瞳であたたかい #川

茉莉亜まり
11日前
9

朝顔の花冠

いつも死を思えば朝顔の花冠 1週間ほど家を空けてのち帰宅した翌朝、 双葉も本葉もなしにひょろりんと伸びた 蔓に今季いちばんの朝顔が咲きました。 引っ越した娘が今年…

茉莉亜まり
3週間前
7

届かない月

愛だからぢゃなくて 月が満ち満ちている 捨てに行こう 月の寒さを あの気高き山を越えたところの 湖へ 愛だったとかぢゃなくて あすから欠けてゆく その月を 世界のあっ…

茉莉亜まり
4週間前
3

まっしろな

さざずずずと 鳩尾からこぼれる いまへの違和と 未来へと向かう あしあとと もどってもすすんでも 愛にはもう遅い つぎのページにあるのは 青色のペンで描かれようとして…

茉莉亜まり
4週間前
4

たすけての便りはソーダ水の泡

ふつふつの たすけてといふ泡として ソーダ水には無限の記憶 #川柳 #Senryu   #短歌 #tanka #jtanka #月音花声

茉莉亜まり
1か月前
9

水たまからこぼれるはなし

2600余字の原稿を書くため、浅学は浅学なりをもって折口信夫という崇高な山に分け入っています。一昨年、おかやま文学おかやま文学フェスティバルでお役目のおはなしをさせ…

茉莉亜まり
1か月前
5

水たま

ぽろんとこぼれる 水はわたしから わたしの外へと 川へ 海へ 空へ 宇宙とかまでへも いのちのすべてを 運んでは またもどる 水は玉、となり 玉は珠、を産み 靈の内へと…

茉莉亜まり
1か月前
6

フラスコ

おおきさの知れないフラスコ なかでぶくぐちゃとしているのは ごめんなさい ごめんなさい 過剰なのです 生きること そのありようが 稀薄に生まれついたのです いのち そ…

茉莉亜まり
1か月前
5

とけてゆく実験

とけてゆく輪郭探る湖の底 noteをよたよたとつかいはじめました。 ルビが入るなんてしらなくて、ってか、そもそもできない体でしらべてなかったなあなまんまつかってるよ…

茉莉亜まり
1か月前
4

水音(すいおん)

水の奥神なるものに遭うための とけてゆく輪郭探る湖の底 愛うすく凍れば切れるような水 わたくしを委ね川面に射す陽の手 侵されぬこの深淵の苔に露 魂魄を漱ぐいまか…

茉莉亜まり
1か月前
9

海を海として

こんなにも泣いていた 海は海だったから いつかわたしが わたしを 置き去ろうとした その 海は とおい海だけれど いまもここにある どくんどくん 置き去ることを 置き去…

茉莉亜まり
1か月前
11

なんじゃもんじゃ

き・どあい・らく春の時間のその先の 極彩の春愁湖底へと放つ ピーチティ嘘彩りの鮮やかに 再誕へミライとミイラ往き来して かたかたとなんきんはぜのはなし声 産むた…

茉莉亜まり
1か月前
16

だんだんこ、われ、た、い

宇宙に抜けてゆく、 とか 空にとけてとけきる、 とか 湖の底に沈んでいる ガラスのかけらに変身する、 とか 花の話したことのはになって 蝶に連れ去られる、 とか 散歩…

茉莉亜まり
1か月前
5
満月抱くやわらかな音

満月抱くやわらかな音

おかやまより東行

最終鈍行の車窓より。

今宵、夏至。

雲ひとつたなびかぬ宵漆黑は

 満月抱くやわらかな音
#短歌 #tanka #月音花声

ポップな闇

ポップな闇

かたくなな闇ふわふわとまたひとり

ふるるるるポップな闇へすべり込む

ブラウスはシルク闇こそやわらかい
#川柳 #Senryu   #月音花声

呪のひかり

呪のひかり

紅の衣にシャーマンは裸足

囚われの宿世の暗く美しい

呪のひかり貝殻に月閉じ込めて
#川柳 #Senryu   #月音花声

終わりしか見ない

終わりしか見ない

やすらかにちいさな村に旗立てて

この旅の果てへ果てへと波に風

たたかひは終わり終わりと海へ出る

一巻の終わり辺りに植える種

終わりしか見ない瞳であたたかい
#川柳 #Senryu #月音花声

朝顔の花冠

朝顔の花冠

いつも死を思えば朝顔の花冠

1週間ほど家を空けてのち帰宅した翌朝、
双葉も本葉もなしにひょろりんと伸びた
蔓に今季いちばんの朝顔が咲きました。

引っ越した娘が今年の3月まで住んでいた奈良大和郡山の佐保川のそば、「の山にいでし月かも」と続けたくなるメゾン三笠の、北東には若草山を臨むアパートのベランダで咲いていた朝顔です。

娘は当時の職場の先輩から「咲いてのお楽しみ」と、どんな朝顔かを知らされず

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届かない月

届かない月

愛だからぢゃなくて
月が満ち満ちている

捨てに行こう
月の寒さを
あの気高き山を越えたところの
湖へ

愛だったとかぢゃなくて
あすから欠けてゆく
その月を

世界のあっちのほうのすみっこと
世界のこっちすぎるすみっこと
うんと手を伸ばして
届かないを届けながら
届かないままを
愛して
#詩

まっしろな

まっしろな

さざずずずと
鳩尾からこぼれる
いまへの違和と
未来へと向かう
あしあとと

もどってもすすんでも
愛にはもう遅い

つぎのページにあるのは
青色のペンで描かれようとしている
空になる手前の
まっしろな

#詩

水たまからこぼれるはなし

水たまからこぼれるはなし

2600余字の原稿を書くため、浅学は浅学なりをもって折口信夫という崇高な山に分け入っています。一昨年、おかやま文学おかやま文学フェスティバルでお役目のおはなしをさせていただいたときに一度分け入り、ふたたびこの山にやってきました。

林浩平さんの『折口信夫 霊性の思索者』を読み進めていき、きのうの明け方、ある部分にきて、ああ、この方は、となり、今日びのことでごめんなさいとウィキペディアカンニングをさ

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水たま

水たま

ぽろんとこぼれる

水はわたしから
わたしの外へと

川へ
海へ
空へ
宇宙とかまでへも

いのちのすべてを
運んでは
またもどる

水は玉、となり
玉は珠、を産み
靈の内へと
吸われゆく

すべては巡り
巡らせる
その巨いなる掌の中
水たまは
ぽろん
ころんと
光って
#詩 #poem #月音花声
#水 #水たま

フラスコ

フラスコ

おおきさの知れないフラスコ
なかでぶくぐちゃとしているのは

ごめんなさい
ごめんなさい
過剰なのです
生きること
そのありようが

稀薄に生まれついたのです
いのち
その濃度が

フラスコの過剰
ぶくぐちゃと濃度をますための
そのさまは
空のうら側のその向こうそのあたりで
やれるといいのに

その向こうは永遠ほど遠く
いのちが生身に巣食ううちには
たどり着くこと決して叶わず

ぶくぐちゃと
フラ

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とけてゆく実験

とけてゆく実験

とけてゆく輪郭探る湖の底

noteをよたよたとつかいはじめました。
ルビが入るなんてしらなくて、ってか、そもそもできない体でしらべてなかったなあなまんまつかってるよ〜、で

湖(うみ)

ってしてたら、note、ルビ入りますよ、ってまつりぺきんさんにリンクまで張ってお教えいただき(もうね、めちゃめちゃありがとうございまっす!です)、なるほどなるほどアップしたあとでも編集できるのね、とリンク先のA

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水音(すいおん)

水音(すいおん)

水の奥神なるものに遭うための

とけてゆく輪郭探る湖の底

愛うすく凍れば切れるような水

わたくしを委ね川面に射す陽の手

侵されぬこの深淵の苔に露

魂魄を漱ぐいまから往く海へ

水の音たったひとこと泣いた日の
#川柳 #Senryu   #月音花声
湖(うみ)

海を海として

海を海として

こんなにも泣いていた
海は海だったから

いつかわたしが
わたしを
置き去ろうとした
その
海は

とおい海だけれど
いまもここにある

どくんどくん
置き去ることを
置き去って戻ってきた
わたしは

日々を日々として重ね
海を海として
ずっと泣きながら
ときにだれかの瞳の中に
映ったり映らなかったり
#詩 #月音花声

なんじゃもんじゃ

なんじゃもんじゃ

き・どあい・らく春の時間のその先の

極彩の春愁湖底へと放つ

ピーチティ嘘彩りの鮮やかに

再誕へミライとミイラ往き来して

かたかたとなんきんはぜのはなし声

産むために木彫りの梟は割れて

ものがたり塔の普遍のその先の

ミライへとなにも待てない葉が繁る

くるしひをまるごと電球はまるい

たすけてのたよりはソーダ水の泡

流離譚ちっちゃな石を蹴り続け

のるそるのこの新緑の息ぐるし

夢ま

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だんだんこ、われ、た、い

だんだんこ、われ、た、い

宇宙に抜けてゆく、
とか

空にとけてとけきる、
とか

湖の底に沈んでいる
ガラスのかけらに変身する、
とか

花の話したことのはになって
蝶に連れ去られる、
とか

散歩してる犬のしっぽのさきっぽで
ぶんぶんふりまわされて飛んでっちゃって 
二度と
もう二度と
いまのここに帰ってきたりはしない、
とか

とかとかとかを
まぜこぜにして
どれでもいいにして

だんだんこ、
われ、
て、 
い、

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