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龍の棲む處

苔むす岩肌からしとしとと
水が滴る
山道をてつてつと登り
その山に棲むという龍
そのものに会いにゆく

せせらぎの音が肌をなで 
俗の皮膜をうすくうすく
こそぎ落とす

やがての滝
そのものそれこそが
龍の姿となり
天翔ける

あなたを
あなたたちみなを
ほかならぬいまのいま
此処へと呼んだのだ

そんな証を見せた
龍は  

いついかなるときも
水として
雲として
見えはしない
存在そのものとして
流れ
留まることなど知る由もなく

渡ってゆく


#詩 #ポエム #月音花声 #龍
 #創作大賞2024

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