セルフ・スティグマという闇/うつ病の初心者向け総合ガイド
スティグマ(偏見、差別)やハラスメント(いじめ、嫌がらせ)が、自分に向かう事があります。セルフネグレクトという言葉もあり、個々人で解釈が判れそうですね。
多かれ少なかれ、スティグマをしている人はいるかもしれません。それが精神疾患を発症してから、自分に向かってしまうことがあるようです。知らず知らずのうちに自分を苦しめている人もいると思います。
この記事ではセルフスティグマとは?や、どのような対処法があるかを、お伝えしていこうと思います。
スティグマとは?
改めてスティグマ(偏見、差別)とはどういったものかを考えてみます。スティグマは英語で烙印、レッテルという意味です。例えばダメ人間とレッテルを貼るのをスティグマと言います。
精神疾患に対するスティグマは多かれ少なかれ持っていることが多いと思います。例えばこれまで以下のように思ってる、あるいは思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
辛いからって仕事を休んではいけない
逃げてはいけない
誰だって辛いのを乗り越えて仕事をしているんだ
自分に甘いから精神疾患になるんだ
どこへ行っても一緒
などなど・・・
もっと過剰な言葉を使ったこともあるかもしれません。これらは自分以外に向けられた場合は、パブリック・スティグマ(公的スティグマ)と言い、差別や偏見でイメージされるものかと思います。
セルフ・スティグマとは?
しかし、こういったパブリック・スティグマを持っている人が、精神疾患を持つと、スティグマが自分に向けられる場合があります。これをセルフ・スティグマと言うそうです。
パブリック・スティグマを持っている人が、適応障害やうつ病を発症した場合、自分に対して同じように「仕事を休んではいけない」、「甘えないようにしなきゃ」と自分に言い聞かせ、最悪な場合は精神科や心療内科への受診や、治療を遅らせる原因になります。
こうなると悪循環なので、治療も長引き、慢性化や重症化することもあるでしょう。セルフ・スティグマを持つことは、治療が長期化する一因になりかねません。これはセルフ・ネグレクトに近いことになると思います。(自分に対して必要な治療を放棄している状態)
しかし、先入観や固定観念に囚われている人は、なかなか考え方が変えることができません。強引な説得や無理に固定観念を変えようとすると、それこそトラブルになりかねません。
例えば、親御さんと同居されている患者さんの場合、親御さんがスティグマを持っていた場合は、なかなか精神疾患の概念やスティグマを変えられず、「甘えだ!」、「いいかげんにしろ!」などの言葉で患者さん(お子さん)を責めるパターンが多いです。
これは固定観念を変えることができないために、病状が良くならなかったり、精神疾患を甘えだと決めつけている「固定観念を変えること」に対する抵抗をしているからです。
同じようなことが、自分自身にも起こり、固定観念を変えることが、なかなかできないため、自分自身を責め続けたり、罪悪感に苛まれたりします。
セルフ・スティグマの対処法
最近ではスティグマの対処用の動画が出ているようです。その動画を見ると一時的にではありますが、効果があるとのことです。
また、書籍などでも正しい情報が得られますし、インターネットでセルフ・スティグマ、あるいはスティグマで検索すると記事がたくさんヒットします。
自分の固定観念に縛られて頑なになる前に、正しい情報を仕入れ、何の根拠もない考え方だったと自覚するだけでも、だいぶ違ってくると思います。
さいごに
とはいえ、個人でできる事にも限界があります。スティグマは環境にも左右されてしまうため、社会全般が抱える問題でもあると思います。
障害や病気を持つ人が、努力して社会的なルールに近づける、あるいは努力して合わせることが無い社会、むしろ、障害や精神疾患に配慮する社会になっていけば、スティグマも少なくなっていくのではないでしょうか。