おおやま

将棋の研究記事を執筆しております。棋力は将棋倶楽部24で最高六段。 オールラウンダーを…

おおやま

将棋の研究記事を執筆しております。棋力は将棋倶楽部24で最高六段。 オールラウンダーを目指して日々奮闘中。

最近の記事

「現代調の将棋の研究」の研究③ テーマ2 右桂を使った急戦(矢倉)

今回はテーマ2 右桂を使った後手急戦矢倉について見ていきます。 急戦矢倉とありますが実際にはカウンター型なのかなと思います。 先手に仕掛けてもらって歩をもらって△8六歩や△7五歩から反撃するのがこの戦型の常套手段ですが、正直なところ急戦矢倉と呼んでいいのかちょっと分からないところがあります。雁木の類型…? しかし羽生先生が急戦に分類しているのできっとこれは急戦矢倉なのでしょう。 まあそこはどうでもよくて、テーマ図を見ていきましょう。 羽生先生が選んだテーマ図は△4五歩突

    • 「現代調の将棋の研究」の研究② テーマ1 後手、早繰り銀の速攻(矢倉)

      前回の続きです。 今回はテーマ図以降の検討に移る…と言いたいところですが、実はもう1つだけテーマ図までの変化で気になることがあったのでそちらを先に片づけたいと思います。 こちらがテーマ図ですが、この▲7九角に代えて単に▲7六歩と打ったらどうなるか、というのが私の疑問。 というのも、前回の記事では銀交換しても先手まずまずという結論だったので、だったらあっさり収めても問題ないのではないかと思うのも自然です。これが成立するならぎりぎりの変化考える必要ないですね。で、成立するか

      • 「現代調の将棋の研究」の研究① テーマ1 後手、早繰り銀の速攻(矢倉) テーマ図に至るまで

        皆さんこんばんは。羽生先生が新刊を出してから少しだけ将棋のモチベが上がりました。本が届き次第すぐに読み始めたのですが内容が中々に高度で難解のため、私のレベルをもってしては一読しただけでは到底理解できませんでした。そのため、疑問点についてソフトを使って色々と検討したのですが、その際に得た知識の整理をすべくnoteでまとめたいと思いまして記事執筆に至りました。 ※勿論ですが本の内容を垂れ流すわけにはいかないので本に書いてある手順は最小限の引用で済ませるつもりです、気になる方は是

        • 棋譜並べ 小池重明編① 四間飛車対急戦 (天野高志)

          久々のnote更新。今回から何回か(飽きるまで)棋譜並べやりたいと思います。以前の色んな記事が書きかけで放置されてますが、楽しみにしてる方申し訳ないです、飽き性なのをどうか許してください…(^^) 題材として選んだのは昭和の真剣師・小池重明。終盤の粘り強さと勝負術がアマチュアにとって参考になるのと、巷に小池重明棋譜集がないので、いっそのこと自分が作ってしまえということで執筆に至りました。 本局は朝日アマ名人の天野高志との1局です。91年の対局なので小池にとってはかなり晩年

        「現代調の将棋の研究」の研究③ テーマ2 右桂を使った急戦(矢倉)

        • 「現代調の将棋の研究」の研究② テーマ1 後手、早繰り銀の速攻(矢倉)

        • 「現代調の将棋の研究」の研究① テーマ1 後手、早繰り銀の速攻(矢倉) テーマ図に至るまで

        • 棋譜並べ 小池重明編① 四間飛車対急戦 (天野高志)

          第1回指定局面戦 先手エルモVS後手四間飛車

          昨日大山研を開催し、初めての企画で指定局面戦というものをやってみたのですが、同じ局面で皆さんがどのように指すのか知ることができていい勉強になりました。企画倒れにならずに済んだので次もやってみようかな。 今回選んだ指定局面戦は下図。後手の四間飛車に先手のエルモ囲い。 もう少し形を決めてもよかったかもしれませんが、どう駒組みを進めるのかを見たかったのであえて美濃囲いとエルモの骨格だけ決めて後は自由にする方針にしました。 その結果、4局中角交換型が2局、居飛車から角道を止めて

          第1回指定局面戦 先手エルモVS後手四間飛車

          嬉野流 端角対策の考察①

          こんばんは。 数日前に嬉野流への端角対策について書いた記事(西村さんの「嬉野流の潰し方」シリーズ)を読んで以来、嬉野流への有力な対策を持ち合わせてなかったこともあり、嬉野流には専ら端角を用いるようになりました。 しかしながら指していくうちに嬉野流側の嫌な対策がいくつか見つかってしまい、さてどうしたものかと西村さんの続編に期待すること数日。どうやら続編の兆しはなく、その間に嬉野流に当たったらRや達成率を吸い取られる由々しき事態になるので、嫌々ながら端角対策への対策を講じるこ

          嬉野流 端角対策の考察①

          エルモの崩し方⑤

          エルモの崩し方もいよいよ5回目。今回も4問構成です。そろそろネタが尽きてることもあり、一旦このシリーズはこれで終わりにしたいと思います。またネタが出てきたら続きを書くかもしれません。 まずは第1問。 エルモで△6三金、△6四銀型は時々終盤に残る形です。できればここに触らずエルモを攻略したいところ。さてどうしますか? 答えは▲3五歩。 とりあえず第一感で突きたくなるところです。まあこれは比較的簡単に浮かぶ手なのですが、さてここから△同歩▲3四香に△3三香と合わされたらど

          エルモの崩し方⑤

          エルモの崩し方④

          前回が2問だったので本日は4問構成です。早速見ていきましょう。 まずは第1問。振り飛車番。 馬2枚でどうエルモを寄せるかという問題。簡単なように見えますが明快な順を逃すとかなり厄介です。どう寄せますか? 答えは7手1組の手順。▲4一銀△同金▲4四桂△同歩▲4一馬△同玉に▲4三香。(下図) これにて居飛車は寄り筋です。この後居飛車が銀を繋いで受けてきたら▲4二香成~▲4三銀、金か角で受けてきたら▲4二香成~▲5三銀の要領です。 また、上図までの手順中、最初の▲4一銀に

          エルモの崩し方④

          エルモの崩し方③

          前回の続き。実は早速エルモネタが尽きそうだったのですが反響が思いのほかあったのでもうひと頑張り。少なくともpart5くらいまでは続けたいと思います。 話が少しそれますが、エルモの終盤が一段落したら次は美濃囲い(銀冠)の受け方について書こうと考えてます。美濃囲いの崩し方ばかりが出回っているこのご時世、いかにも美濃が簡単に崩れるようなイメージがありますが、受けの技術を磨けば実はそうでもないということを証明したいので。まあこれはあくまでもう少し先の話です。 さて、今回のエルモは

          エルモの崩し方③

          エルモの崩し方②

          前回の記事が意外と好評(?)のようだったので第二弾を書いていきます。今回も3問構成で全て振り飛車番です。再度言いますがここでいう答えは最善の保証はないのであくまでも参考程度に捉えてくださいね^^ まずは第1問。 ▲1一角成として舟囲いだったら振り飛車優勢となるものの、エルモ囲いのために距離感がよく分からずどう形勢判断すればよいか分からない、となった方は多いはず。ここからどう指しますか? 答えは▲2六香。 ここで他の手を指しても▲1二馬と指せば△2二銀と受けることになり

          エルモの崩し方②

          エルモの崩し方①

          どうもご無沙汰しております。 最近エルモの実戦を観戦していて、恐らく互角の変化なんだろうけどエルモの急所が分からないために方針が立てにくく、実戦的に振り飛車が指しづらいように感じたので、エルモの崩し方を考察することにしました。仮想図を3つ作って、ソフトの力を借りて方針の立て方を見ていきます。 ここで採用している手順はソフトに深く読ませてないため最善ではないと思います。あくまで参考程度に捉えて、ご自身の読み筋と比べてみてください。 それでは第1問。振り飛車番です。 エル

          エルモの崩し方①

          後手四間飛車対エルモ③▲4九金・▲4六歩型

          今日は▲4九金・▲4六歩型について見ていきます。 初手より ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲5六歩 △3二銀 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二銀 ▲2五歩 △3三角 ▲5七銀 △7一玉 ▲3六歩 △5二金左▲6八銀上 △8二玉 ▲9六歩 △9四歩 ▲7九金 △4三銀 ▲4六

          後手四間飛車対エルモ③▲4九金・▲4六歩型

          後手四間飛車対エルモ②▲4九金・▲4六銀型 その2

          前回に引き続きエルモ▲4九金▲4六銀型を見ていきます。今回は▲3五歩に従来の振り飛車らしく△3二飛と回る形です。 その前に1点。前回書き忘れたのですが、基本図より△5四歩に▲2六飛と待たれたらどうなるかを見ていきます。▲2六飛の意図としては一手パスして隙を待ちつつ、▲3七桂~▲3五歩~▲3六飛の陣形を目指してます。これには△4五歩(途中図)と突くのがお勧めの一手。 飛車が不安定な状態(2六、3八など)のときは常に△4五歩が成立する可能性があります。この手はリードを奪うとい

          後手四間飛車対エルモ②▲4九金・▲4六銀型 その2

          後手四間飛車対エルモ①▲4九金・▲4六銀型 その1

          今日から後手四間飛車対エルモ囲いの研究をしていきたいと思います。 これは今まで遭遇率が低かったので金を左に上がってお茶を濁すことも多かったのですが、どうも武装しないとこの先思いやられる気がしたので、重い腰を上げて研究を進めるに至りました。 これはかなり大長編になると思われます。私の中でもまだ結論が出ているわけではなく、あくまで学んだことの備忘録として書いているにすぎないので、本当は結論違うでしょお前のせいで負けたんだよこのクソブログが…という厳しいツッコミはご容赦ください

          後手四間飛車対エルモ①▲4九金・▲4六銀型 その1

          後手四間飛車対トーチカ ④

          前回に引き続きトーチカの研究です。 今回は居飛車が△4五歩を突かせない作戦について見ていきます。 初手より ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △3二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲2五歩 △3三角 ▲5六歩 △7二銀 ▲6六角 △7一玉 ▲7七桂 △4三銀 ▲5八金右

          後手四間飛車対トーチカ ④

          後手四間飛車対トーチカ ③

          前回に引き続きトーチカの研究です。 初手より ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △3二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲2五歩 △3三角 ▲5六歩 △7二銀 ▲6六角 △7一玉 ▲7七桂 △4三銀 ▲8八銀 △8二玉 ▲7九金 △5四歩

          後手四間飛車対トーチカ ③