エルモの崩し方①

どうもご無沙汰しております。

最近エルモの実戦を観戦していて、恐らく互角の変化なんだろうけどエルモの急所が分からないために方針が立てにくく、実戦的に振り飛車が指しづらいように感じたので、エルモの崩し方を考察することにしました。仮想図を3つ作って、ソフトの力を借りて方針の立て方を見ていきます。

ここで採用している手順はソフトに深く読ませてないため最善ではないと思います。あくまで参考程度に捉えて、ご自身の読み筋と比べてみてください。

それでは第1問。振り飛車番です。

問1

エルモ金銀4枚に馬付きなのでどこから崩せばよいか途方に暮れますが、それでも実戦なら何かしら指さないといけないですよね。幸いにも美濃も完全体で残っているのでこちらも十分堅いです。さあどうしますか。


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答えは▲7四歩。相手を穴熊と思ってしまえば自然と「と金攻め」の発想に至るはず。ここまで堅いと正攻法しかないです。ここでやっていけないのはとりあえず▲2六香のような力を貯める手で、すかさず△2二香から目標にされてしまいます。

お互いどこから攻めればよいか分からないような場面ではできるだけマイナスになりにくい手(この場合はと金攻め)を見せて相手を焦らせるのが好手となる場合が多いようです。

さて上図から居飛車は恐らく端を狙ってきますが、堂々と迎え撃ちましょう。理想図は下図のような展開。

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相手に香を走らせて1筋が空いた瞬間に▲2六香です。これで次に▲1二銀、場合によっては香を入手して▲2五香打を狙えば効率よくエルモを裏側から攻略できます。

まとめると、第1問の振り飛車の戦略は

敵陣に隙がないのでと金攻めを見せて相手を焦らす→相手の端攻めを誘発→端に隙ができるので囲いの裏側からエルモ攻略を図る

となります。個人的に端攻めを逆用する発想はなかったので参考になりました。

次に第2図。これも振り飛車の手番。

問2

似たような形ですが居飛車に歩があります。この場合のソフトのおススメを見てみましょう。3手。


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答えは▲8四角△4一金▲7一竜。

まず、▲8四角△4一金の交換を入れます。実戦だとこれが得かどうかわからない場合が多いですが、ソフトは打ち得だとみています。守りに働くことを評価しているのでしょう。

次に▲7一竜。先ほどと違って居飛車に歩があるため、▲7四歩は△7六歩を嫌ったみたいです。▲同銀に△1五歩と突かれると銀が離れているのでなんとなく気持ち悪さはありますよね。

とはいえ△7六歩を防ぐためだけに▲7一竜とよるのも中々させない手ではあります。いつでも底歩を打てる準備をしたという意味はありますが、どちらかというと相手に有効手がないことを見越して少しでもプラスになる手待ちをした意味合いが強いように感じます。

余談ですが、この手順を見て私は孫子の兵法の「昔の善く戦う者は、先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ」という一節を思い浮かべました。まずは自分が負けない態勢になってから、相手が崩れるのを待つという意味なのですが、実戦でこれが指せる人は相当強いと思います。私ならよくわからないところに桂香設置して勝手に自爆してそう…。

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ちなみに上図からの理想の展開は第1問と同じく、居飛車に端攻めをさせて反動を利用して裏側からエルモの攻略です。どうやらエルモの急所は2三の地点みたいですね。舟囲いと同じです。

最後に第3問。前の2問はどちらかというと戦略の話だったので本問ではもう少し具体的にエルモを崩す順を見ていきます。振り飛車番で、手番の分良いはずですが、さてどうしますか。

問3


答えは▲5三銀。

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▲5三香も筋はいいのですが△5二香とあわされたときに今一つぱっとしません。

例えばここで相手が△同銀▲5一竜に△4二銀打と弾くのであれば龍を逃げておき、次に▲5二金を見せて振り飛車指しやすいです。△5一金がいなくなった後の▲5二金は対エルモの1つの急所です。

という訳で△同銀とは指しづらいのですが、ではここで相手が△7六角と打ったとします。

するとすかさず▲4二銀成△同金右▲2四桂(下図)で一丁上がりです。

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取ったら▲2三銀で崩壊ですし、△2二玉と逃げても▲1二銀の追撃が厳しく振り飛車優勢です。

よって居飛車は△7六角に代えて△2四香とする方が良いのですが…

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上図のように▲4五桂とつなぐのが地味ながら好手。次に▲3三香のぶち込みを見せます。さっきの▲2四桂は派手な技ですが、相手に正しく受けられたら結局は力ずくで押すしかないみたいです。


今日はここまで。また面白い攻め筋があったら紹介しようと思います。

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