エルモの崩し方④

前回が2問だったので本日は4問構成です。早速見ていきましょう。

まずは第1問。振り飛車番。

馬2枚でどうエルモを寄せるかという問題。簡単なように見えますが明快な順を逃すとかなり厄介です。どう寄せますか?

答えは7手1組の手順。▲4一銀△同金▲4四桂△同歩▲4一馬△同玉に▲4三香。(下図)

これにて居飛車は寄り筋です。この後居飛車が銀を繋いで受けてきたら▲4二香成~▲4三銀、金か角で受けてきたら▲4二香成~▲5三銀の要領です。

また、上図までの手順中、最初の▲4一銀に△2二玉は▲3二香があります。以下△8九飛▲3一香成△5八竜なら▲2五桂と先着して振り飛車の勝ちです。

さて、問題図を見た瞬間▲4二馬が浮かんだ方は多いのではないでしょうか。

これは別に悪手ではないのですが、かなりの量を読む必要があります。

居飛車は同金と同玉の両方が考えられますが、それぞれ一例を見ていきましょう。まずは同金の場合。

これには▲5一銀と掛けますが△4一金打(下図)とするのが大事な一手。

この手の意味は金銀の入れ替えです。今だと狙いが分かりにくいのでもう少し進めてみましょう。

△4一金打以下▲4二銀成△同金に▲5一銀とお代わりをしますが、そこで△8九飛と攻めあいます。振り飛車は▲4二銀成△同玉に▲4五桂と縛るのが並の対応ですが△3二玉(下図)と早逃げした局面がかなり厄介なのです。

ここで振り飛車は▲3三香と打ちたいのですが、それには△同桂が成立します。この時振り飛車の持ち駒が金銀だと▲同桂成から▲2五桂として即詰みなのですが、金二枚だと玉が上に逃げてきたときに掛ける王手がありません。ここまで読んで居飛車は△4一金打と受けたのですね。ただ受け一方の手ではなくて、攻めあったときに振り飛車の条件を悪くするために金銀を入れ替えるという高等テクニックだったのです。

ちなみに上図で▲6四馬と寄る手はぎりぎり詰めろではないため△5八竜と取られてしまいます。最善を尽くせば互角なのですが、人間の目線からするとこの局面は振り飛車難局でしょう。

さて、問題図に戻って▲4二馬に△同玉はどうでしょう。(下図)

これも粘り強い手で、一見すると▲6四馬△3二玉▲4四桂△同歩▲4三銀△同玉▲3一馬(下図)が厳しいように見えますが…。

実はこれもぎりぎり詰めろになっていないため、△8九飛と詰めろをかけられて振り飛車難局です。もう少し攻め方を工夫すれば形勢自体は難しいのですが、攻め自体はやや細いといえます。このように、問題図では振り飛車が勝てそうでも明快な順を逃すと大変なことになってしまいます。

さて第2問。△5二金型を咎めましょう。

答えは5手1組。▲2二香△同金▲同馬△同玉に▲4一角(下図)まで、振り飛車良しです。

▲2二香に△3三桂は▲2一香成があります。仕方のない△同金に、▲4一銀ではなく、▲同馬~▲4一角と狭い側に玉を追います。この場合は持ち駒に角があり、なおかつ居飛車に△5二金という浮き駒があったので成立しましたが知っておいて損はない筋です。

ちなみに△5一金型の場合は▲2六桂から地道に削りに行くのが普通のようです。但しこの場合はやや遅い攻めとなります。

続いて第3問。先ほどと同じく▲1一馬型からどう攻めるかという問題。

▲2六桂もありますが少々遅いです。ここは左辺がいい形なのでうまく利用して挟撃形をイメージしましょう。

答えは▲1二銀です。これに対して並に△7九飛と打ってしまうと▲2四桂が痛打。△同歩と取れないため△4一玉ですが、▲2一銀成とすれば一手勝ちでしょう。ちなみに△7八飛の場合は▲2四桂△4一玉を決めてから▲5八香と手を戻せばよいです。

さて▲1二銀に居飛車は一旦受けた方がいいようなので△2二銀と受けますが、ここで怯まず▲2六香が大事な一手。(下図)

△1一銀と馬を取られますが、▲2三香成~▲1一銀成とすれば挟撃形が見えてきます。

この後は▲4五桂や▲6三角といった要領で攻めればよいでしょう。ちなみに現局面の形勢自体は互角で、居飛車にも△2六歩や△7八飛~△7四飛成といった手段が多いです。

最後に第4問。

右四間飛車で出てきそうな形です。例えばここで▲2六香は△4四馬との交換でいまいちぱっとしません。戦力がやや足りないので増やしたいですが、さてどう指しますか?

答えは▲6三歩△6一歩の交換を入れて▲5二銀。居飛車は銀を取るよりないですが、▲同竜としてから▲6一竜と歩を外せばと金づくりが約束されます。問題図から単に▲5二銀は△同金▲同竜に△4一銀くらいでもぱっとしませんが、と金づくりと組み合わせることで▲5二銀の威力が増しているのです。

また、問題図からのと金づくりはもう1つ方法があって、それが▲6二銀△4一金右▲6四歩(下図)という手順です。

但しこれは答えと比べると一手遅く、加えて居飛車が一歩持っているため△1五歩の端攻めがぎりぎり成立しているので難解な戦いです。

今日はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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