後手四間飛車対エルモ①▲4九金・▲4六銀型 その1

今日から後手四間飛車対エルモ囲いの研究をしていきたいと思います。

これは今まで遭遇率が低かったので金を左に上がってお茶を濁すことも多かったのですが、どうも武装しないとこの先思いやられる気がしたので、重い腰を上げて研究を進めるに至りました。

これはかなり大長編になると思われます。私の中でもまだ結論が出ているわけではなく、あくまで学んだことの備忘録として書いているにすぎないので、本当は結論違うでしょお前のせいで負けたんだよこのクソブログが…という厳しいツッコミはご容赦ください(^^:こういう手があるよ、というような意見は大歓迎なのでコメントがあると嬉しいです。

盲目的に研究を進めてもしょうがないのでまずはエルモ囲いのバリエーションを整理。

①右金の位置で▲4九金、▲4八金、▲5九金、▲5八金の4通り(▲6九金はもう知りません^^)

②仕掛けコースが
▲4六銀~▲3五歩、
(▲5七銀型で)▲4六歩~▲4五歩、
(腰掛け銀で)▲4六歩~▲4五歩の3通り

ということで大別して12通りあるわけですねー。これを全部解明するのは気が遠くなる作業なので、全て白黒はっきりさせるというよりは、大まかな方針を言語化して実戦で応用が利くようにする、というのがゴールになりそうです。先入観をなくすため、形勢判断の際にはソフトと私の大局観だけを頼りにします。他の方の先行研究は一切見ない、或いは信じません(笑)。鵜呑みにしても自分が理解したことにはなりませんから。

以上、前置きが長くなりましたが
今日はまず▲4九金型から。

メリット:手数をかけずに攻められる、飛車に紐がついている

デメリット:4七の地点が薄い、2七角の筋がある

といったところでしょうか。
その中でもまずは▲4六銀型を見ていきます。

初手より
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩
▲4八銀 △4二飛 ▲5六歩 △3二銀
▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二銀
▲2五歩 △3三角 ▲5七銀 △7一玉
▲3六歩 △5二金左▲6八銀上 △8二玉
▲9六歩 △9四歩 ▲7九金 △4三銀
▲4六銀(基本図)

この局面を基本図とします。ここで振り飛車の待ち方としては△1二香、△3二飛もあるところですが、一番自然な△5四歩を見ていきます。

対クラシカル急戦で△5四歩のデメリットは、玉頭銀がなくなるため▲4五歩早仕掛けにされることですが、この局面では▲4六銀型でそれがないので基本的にはデメリットがないと判断します。これで良ければ話は早いです。

対して居飛車は▲3五歩と突きますが、そこで△4五歩が一回考えたくなる手順。(第1図)

△3二飛が本筋ですがそれは次回話します。今回は△4五歩と突いたらどうなるかを見ていきます。これは村田本にも載っている手順で、振り飛車うまく立ち回っているために居飛車は▲1六歩という手待ちが必要だ、との結論を下していますが、果たして本当にそうなのか疑問に思ったので深く掘り下げていきます。

第1図以下
▲3三角成 △同 桂 ▲3七銀 △2二飛
で第2図。

角交換した後の▲3七銀が大事な順で、型とばかりに▲5七銀と引くと△6四角が先手で入るのが厳しく、▲2六飛としても△2二飛と受けられた後が悩ましいです。本譜▲3七銀に対して次の2筋交換を受けるには△2二飛しかありませんが…

第2図以下
▲3四歩 △同 銀 ▲3一角 △3二飛
▲7五角成 △4四角 ▲7七桂
で第3図。

居飛車は▲3四歩で形を乱してから平凡に馬作りを進めます。▲3一角に対しては△2一飛もあるところでこれも後に触れます。本譜は△3二飛に対して▲7五角成。

▲8六角成もあるところですが、馬の可動域を考えた際に7五のほうが勝るでしょう。△6四角の時に当たりが強くなる恐れがありますが、この場合は▲同角~▲2一角で再度馬を作ることができるので気にする必要はありません。

対して後手は△4四角。ここで後手は次の▲2四歩を受ける必要があり、平凡な△2二飛には▲3一馬と入られてしまいます。

そこで、銀か桂で2五歩を払いにいく必要があります。本譜は先に角を打ちましたが、角を打たずに単に△2五桂、△2五銀も考えられます。

しかし△2五桂は▲3六銀と立たれたときに桂取りになるので△2四歩と支えておくくらいですが、食いちぎって▲4四桂が両取りになってしまい、美濃囲いを乱されるので実戦的に勝ちづらいです。

△2五銀の場合は▲2六銀とぶつけてしまいます。銀交換すると▲4一銀があるので後手は△3四銀とするくらいですが、▲3五歩△4三銀▲3七銀とすれば次の飛車成が受けづらいです。

というわけで△4四角と打つわけですが、これは△4四桂の傷を消すと同時に▲6六馬をなくして馬の価値を下げ、更には△3五歩、△2六歩と止める展開を視野に入れた攻防の角です。
対して先手は▲7七桂。形よく受けたと同時に将来の端攻めも見据えていてこちらも味の良い活用です。

この第3図の局面でも実は△2五桂は指しづらく、なぜなら▲4四桂の筋は消えましたが、▲3六銀△2四歩に▲2六歩で桂を殺す手があり、△4三銀には▲4五銀で一度角に当たるのが幸便です。よって第3図以降は△2五銀を本線とします。

再掲第3図

第3図以下
△2五銀 ▲5九金 △3六歩 ▲4八銀
△5三角 ▲6五馬 △6四角 ▲同 馬
△同 歩 ▲2一角
(結果図1)にて居飛車指しやすい。

△2五銀には▲5九金と締まっておくのが実戦的な指し回し。振り飛車に有効手がないことを見越しています。

対して△1四歩の手待ちならさらに▲6九金と固めます。△2四歩と支えようとするとすかさず▲3四歩が飛んでくるので無効です。

囲いを発展しようにも馬が強力で伸ばす歩がありません、というわけで△3六歩と一回打っておくくらいですが、▲4八銀と下がる手が実は次に▲3七歩△同歩成▲同桂を狙っており、急かされた後手は△5三角として△6四角を狙ってきますが、平凡に馬角交換して再度▲2一角とした結果図は居飛車が指しやすいでしょう。

続いて第2図に戻り、▲3一角に△2一飛の変化を検討します。

再掲第2図

第2図以下
▲3四歩 △同 銀 ▲3一角 △2一飛
▲7五角成 △4四角 ▲7七桂 △2四歩
▲同 歩 △2五歩 ▲5七馬
(結果図2)で振り飛車つまらない。

△2一飛の狙いは2筋の逆襲にありました。しかし平凡に▲5七馬と対応されて2四の歩を払えないようでは振り飛車の作戦が失敗なのは明白です。

クラシカルな急戦では居飛車に馬を作らせても2筋逆襲が成功して振り飛車軽い形のため形勢互角、という変化がありますが、それと比べて結果図2は振り飛車の主張が一切ない局面です。というわけで△2一飛も芳しくない結果となりました。

<今回のまとめ>

・▲4九金▲4六銀型で▲3五歩の仕掛けに△4五歩の反発はやや無理筋。

・居飛車の馬の力が大きいため、全体的に振り飛車が押される変化に。

次は▲3五歩の仕掛けに△3二飛と回る変化を見ていきます。

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