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ニューヨーク金融市場

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#金融

先週のグローバルマーケッツ(米国経済、英国債、FRB高官発言、注目チャートについて)

先週のグローバルマーケッツ(米国経済、英国債、FRB高官発言、注目チャートについて)

先週もマーケットのボラティリティが高い1週間でした。
また、多くのヘッドラインが市場を動かし、その一つ一つのヘッドラインが何を意味するのか解釈しきれなかった投資家も多かったかと思います。

今日は先週の振り返りを兼ねて、重要な項目に的を絞って解説していきたいと思います。

米国の経済指標まずは先週発表された米国の経済指標をスライドにしました。

いくつかの重要な指標が発表されましたが、大切なのは「

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大荒れとなったマーケット 〜FOMC,為替介入,英国債の解説〜

大荒れとなったマーケット 〜FOMC,為替介入,英国債の解説〜

先週(2022.09.19〜09.23)のマーケットはFOMCや日本の為替介入、急落した英国債など多くの出来事がありました。
歴史に残る1週間だったと言っても過言では無いでしょう。

今日はその中でも特に重要だった「FOMC」「日本の為替介入」「英国債相場」について書きたいと思います。

①FOMCを受けた市場の解釈ポイントを簡単にスライドにしてみました。

まず、FOMC(米国の金融政策決定会合

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Redditとは何なのか?

Redditとは何なのか?

今日ほど『Reddit』という単語が経済メディアで報道された日は無いかもしれません。

CNBCでお馴染みのJim Cramerは『Redditの個人投資家が結託して、ウォール街のヘッジファンドを完膚なきまでに叩きのめした、これは新しいパラダイムシフトだ』と述べています。

今日のニューヨーク市場ではいくつかの銘柄が暴騰と暴落を繰り返し、さながらフラッシュクラッシュ状態となりました。

その代表格

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12月FOMCのポイント

12月FOMCのポイント

久しぶりの更新になります。
最近はもっぱらTwitterでの更新がメインだった為、noteとブログの更新をさぼっていました。

さて、今日は12月16日(東京17日早朝4時)に行われるFOMCのポイントについて解説したいと思います。

ポイント① フォワードガイダンスの変更前回のFOMC議事録のPage.4を読むと、量的緩和のフォワードガイダンス変更の可能性は極めて高いと言えます。

The Se

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大統領選以上に注目を集める『議会選挙』

大統領選以上に注目を集める『議会選挙』

11月3日の大統領選まで残りわずかとなりました。
大統領選がマーケットにとって重要なイベントであることに変わりはありませんが、いま投資家の間でより話題になっているのは、同日行われる『議会選挙』です。

実は、マーケットで注目されている『経済対策案』や『税制改革』といった法案は、大統領の一存だけでは行うことが出来ません。

必ず、上院議会と下院議会の承認が必要になるのです。

そして現在の議会構成は

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モノサシを変えて眺める「株価」の本当の実力

モノサシを変えて眺める「株価」の本当の実力

円安になると日経平均が上昇するという相関関係は、日本人にとっては感覚的に理解しやすいものだと思います。

なぜ、円安になると日経平均が上昇するのか?という質問に対して、多くの人が次のように答えると思います。

『輸出企業が多い日本にとって、円安は日本企業の期待収益を上げるので株価が上昇する』

この理解は将来の企業収益(=損益計算書)に基づく解釈であり、正しいです。
しかし、『通貨安と株高』の組み

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早わかり!7月FOMCのポイントは?

早わかり!7月FOMCのポイントは?

7月29日14:00(東京7月30日深夜3:00)にFOMCが行われます。
今回の注目ポイントをおさらいしたいと思います。

次の政策オプションとして考えられているのは3つ前回(6月)の会合は5月の雇用統計が大幅に上振れ、経済のV字回復期待が高まる中で行われました。

それから1ヶ月間が経ち、7月に公表された経済指標は引き続き改善傾向にありますが、改善幅は徐々に縮小してきています。
加えて南部の州

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「金価格」の上昇と「実質金利」の低下について

「金価格」の上昇と「実質金利」の低下について

金価格が遂に1オンス1900ドルを突破し、2011年来の高値まで上昇しました。

4月2日に『全ての国が”金融緩和と財政出動”を行なった次の世界にあるもの』という記事を書きましたが、世界中で行われている金融緩和と財政政策が、貨幣価値の毀損に繋がり、逃避マネーが「金」に流れ込んでいるというのが私の理解です。

実は「金」というのは不思議なプロダクトで、通常、コモディティに分類されますが、一種の「通貨

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コロナで激減する観光需要が直撃する国は?

コロナで激減する観光需要が直撃する国は?

日本は『Go To トラベル』というギャグみたいなキャンペーンが検討されているそうですが、皆様もご存知の通り、グローバルにみるとまだまだ旅行自粛ムードです。

一方、アジアでは観光産業が、その国を支える根幹事業となっている国も少なくありません。日本でも観光収支が2014年から黒字化し、経常収支を支える一つの柱になってきました。

実際にアジア各国の観光収支と、観光収支が経常収支の大きさに占める割合

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中国ファンダメンタルズをチェック

中国ファンダメンタルズをチェック

今月に入ってから上海総合指数は、15%も上昇しており、2015年の中国株バブルを彷彿させる。

マーケットでは6日に中国証券報が論説で『コロナウイルス後の世界で、中国株はさらなる上昇が必要』と報じたことが火をつけたと言われている。

もう少し裏を読むと、そもそもマーケットは『コロナウイルス後の中国の政策対応は金利の引き下げ』が主であると考えられていた。

実際、4月までは国務院やPBOCも「積極的

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金在庫の急増は価格下落の前触れなのか?

金在庫の急増は価格下落の前触れなのか?

最近、こんな質問を頂きました。

金在庫が急増していると聞きました。
4月に原油在庫が急増して、その直後に原油価格がマイナス圏まで暴落したのは記憶に新しいです。金でも同じことが起こると思いますか?

確かにいくつかの点で金在庫の急増は4月に見られた原油在庫の急増に似ています。

例えば以下のような点です。

1)コロナショックでインドや中国などの装飾需要が急減している点(実需の急減)
⇒原油もロッ

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5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開の最新動向について

5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開の最新動向について

今月の頭に「マクロファンドが考える5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開について」という記事を書いた。

5月も残り僅かだが、概ねこの3つがカタリストとなり、マーケットを動かしている。

今日はこれら3つのカタリストの最新動向を整理したい。

エスカレートする米中関係
まず、今年の米中関係を理解する上で、欠かせないのが「中国側から見た米国大統領選」である。

昨年5月、中国が作り上げてき

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投資家もマイナス金利には懐疑的?厳しい中国制裁案で米株は反落。

投資家もマイナス金利には懐疑的?厳しい中国制裁案で米株は反落。

投資家もFED関係者もマイナス金利に懐疑的
5月11日時点のJP債券投資家サーベイは久しぶりに動きがあり、ネットショートが拡大。
先週、FF金利先物がドルのマイナス金利を織り込む形で、米金利は低下したが、多くの投資家が"それは無いだろう"と懐疑的であることを示している。

先週、申し上げたが今週から国債入札や起債など、債券の供給が多く、需給的には金利が上昇しやすい。

そのような中、FF金先がテク

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米国もマイナス金利に突入するのか?

米国もマイナス金利に突入するのか?

米国の将来の政策金利を予想するFF金利先物(Federal Funds Futures)が初めてマイナス金利を織り込む水準に突入した。

上のグラフはFF金利先物を金利に直して、年限別に並べたものである。
2020年12月から0を下回っており、2021年5月は−0.03%の織り込みとなっている。現在のFederal Funds Effective Rate(やや雑な言い方だが政策金利と捉えて頂いて

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