見出し画像

米国もマイナス金利に突入するのか?

米国の将来の政策金利を予想するFF金利先物(Federal Funds Futures)が初めてマイナス金利を織り込む水準に突入した。

上のグラフはFF金利先物を金利に直して、年限別に並べたものである。
2020年12月から0を下回っており、2021年5月は−0.03%の織り込みとなっている。現在のFederal Funds Effective Rate(やや雑な言い方だが政策金利と捉えて頂いてい良い)は+0.05%である為、1回あたりの利下げ幅を0.25%とすると、2021年5月までに15%の利下げを織り込んでいるとも言える(計算の仕方は以下の通り)。

現在のFederal Funds Effective Rateから1回あたりの利下げ幅を引く
0.05% − 0.25% = − 0.20% (a)
Federal Funds Futuresの織り込み金利と(a)を割ると市場が何割の利下げを織り込んでいるかを概ね把握できる。
−0.03% ÷ −0.20% = 15%

市場がマイナス金利を織り込むタイミングで、業界で有名なSimon Potter氏が話していたことや、昨日のガンドラック氏がマイナス金利を肯定したこともあり、マーケットはこれらに反応したのでは?と疑う声も見られた。

しかし、米中が新たな火種を生む中、債券市場が株式市場以上に悪材料を織り込みやすい傾向にあることを踏まえると、単に相場として仕掛けに行った可能性も十分にあるだろう。

昨日、書いたように今の市場にとって最悪な事態は「米中の貿易合意が破棄され、トランプも落選する」ことである。

このリスクのヘッジとして、今後一年間で追加利下げを15%織り込みに行くというのは、マーケットとして決して行き過ぎた織り込みではない。

一方、違和感があるのは株式市場の動きで、なぜここまで確りしているのかということであろう。
ただ、今のように株、金利、為替、コモディティとプロダクトによって、異なる動きを取るのは、マーケットが次のカタリスト(次に相場を動かすテーマ)を探している時に見られる現象である。

私自身は次のカタリストを「米中」「米国の財政パッケージ」「ロックダウン解除の成否」と考えており、今はバラバラの動きをしているプロダクトも徐々にこれらのテーマに沿って、同じ方向に向かうと考えている。


外銀を追い出したトルコ中銀
話は変わるが最近、よく話題になるトルコでショッキングな発表があった。
トルコ中銀の発表によると、トルコリラの下落を投機的に仕掛けたCiti, BNPパリバ, UBSをトルコリラの取引から締め出す模様。

正確には地場の金融機関がこれら3つの外銀にリラを貸し出すことを禁止するようである。(それによってトルコショートをしにくくなる)

背景になっているのは、中銀が外貨準備を使い果たすほど為替介入を行なっているにも関わらず、歯止めがかからないトルコリラ安だ。

しかし、トルコの通貨安は構造的な問題から来ており、外銀を締め出したところで簡単に解決はしないと思われる。
トルコは経常赤字国であり、フローの観点では常に海外からの資本投資が必要な国なのである。

投資家のフローは証券投資として計上され、トルコの経常赤字を埋める大きな役割を担って来た。

当然、投資家のフローなので、トルコリラが割高だと思えば資金を抜くし、割安だと思えば資金を入れるのである。

今、トルコが置かれている状況は、投資家の目線にマッチするだけの経済的メリットを提供することが出来ないというだけであり、投資家との橋渡しになっている外銀を取り締まるのは逆効果であると考えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?